夕食時

ダンナが、私の隣を通ったのに気を取られ

私は、茶碗に指をひっかけて

床に落としてしまった。

 

 

不幸中の幸いで、茶碗の中は空っぽだったが、

茶碗自体は真っ二つ・・・。

 

 

ピリリ、と部屋の空気が張り詰める。

ダンナがキレると思って、みんなが覚悟する。

だが、ダンナは何も言わなかった。

 

 

落としたのが私でよかった。

今の私には、ダンナは何も言わない。

 

 

2人の関係が末期であることを

ダンナも感じているのだろう。

あるいは、もうどうでもよくなったか。

 

 

子供たちに

危ないから椅子から下りないで~

失礼しました~ごめんね~

と、努めて明るく謝り、掃除機をかける。

 

 

それでも、過去のダンナがフラッシュバックして

頭がクラクラした。

 

 

落としたのが長男だったら、と考えると

全身の血の気が引く。

 

 

何しとんねん!

床に傷つけんな!

お前のカネ(小遣い)から、

床の修理代引くからな!

 

 

きっと、そう言っていただろう。

床の修理なんかしないのに。

 

 

まだ、下の子たちが生まれていないころ

長男は家の中で一番弱い存在だった。

 

 

ダンナがキレた時の

恰好のターゲットにされ、

ひどい暴言もたくさん受けてきた。

 

 

そのたびに私がかばい、

かばったら必ずケンカになり

それがまた、長男を傷つけたと思う。

 

 

それでも、グレることもなく

鬱になることもなかった、

強い精神力をもった子だ。

 

 

私なんかより、全然強い。