Grim Saga Project

美樹本記者の事件ファイル 2

    詩織の真実

ファミレスに入った七人は店員の案内で奥の窓際の席に腰を下ろした。
美「ふうっ、やっと落ち着いた、って感じだよ・・・グリムたち、食べたい物、好きに注文していいぞ・・・」
亜「わっ、ンじゃそうしま~すっ」
摩「まずはドリンクバーですよねっ」
琴「だよねっ、あたしコーラ飲みたいっ」
詩「あっ、あたしもっ・・・」
琴「詩織っ、ムアムスで回復してるとは言えまだ病み上がりなんだから、あまり刺激の強い飲み物はまだ駄目だよっ」
亜「詩織っ、刺されたとこ見せて・・・」
詩「うっ、うん・・・」
詩織は刃物で刺されたところの服を捲り上げ、
琴「うんっ、まだ傷は残ってるけど大分回復してるよね、あとは刺されたところの内臓がしっかり再生すれば大丈夫だよ・・・」
摩耶は詩織のお腹を摩りながら、
摩「ここまで回復すればもう大丈夫だね、うんっ!」
詩「ちょっと摩耶ちゃんっ、くすぐったいってっ・・・」
そこへ先ほどから注文を取りたくて詩織の後ろに立っていた店員が
「あの~注文を伺ってもよろしいですかっ!?」
詩「あっ、はい、ごめんなさいっ、みんなっ、注文注文っ!」
亜「それじゃあたしは~・・・」
摩「何に、しようかなぁ・・・」
卓「まずはドリンクバーだっけ・・・」
琴「あの・・・おじさんたちは・・・」
美「あぁ、俺たちは君等が終わった後で良いよ・・・」
そして・・・グリムたちは注文を終え、其々、トイレやドリンクバーに歩いて行った。
そして店員は裕や拓也からも注文を聞き、立ち去ろうとしたが
美「あっ、店員さんっ・・・」
「はい、まだ何か!?・・・」
美「すいません、ちょっと変な質問ですが・・・」
「はい、何か?・・・」
美「店員さんの前に座っていた女の子ですが誰だか解かりますか!?」
岩「あっ !」
「いえ、解かりませんが・・・」
美「芸能人でアイドルの三嶋詩織ですが・・・」
「はぁ、私そのような名前の芸能人って知らないので・・・すいません、失礼しますっ」
そう言って店員は去って行った。
美「三嶋詩織を知らない、って・・・一体どうなってんだっ!?・・・」
岩「先輩っ! オレもさっき病院で先輩と全く同じ疑問を感じて・・・」
美「同じ疑問!?」
岩「えぇ、病院の1階で先輩たちと再会する少し前にオレと三嶋詩織は1階に上がっていたんですが、その1階に居る全ての人が三嶋詩織を知らないんですよ、何ていうか無反応で・・・まるで三嶋詩織って言う芸能人其の物の存在を知らない、っていうか、こんなこと有り得ませんよね・・・」
美「これは変、と言うより只事じゃないなっ」
そこへグラスや飲み物を持って琴音やすぐるが戻って来た、少しして
詩織もトイレから戻り、
詩「今病院までプラーセで飛んで来た・・・」
卓「えっ!? 詩織ちゃん病院行ってたの!?」
詩「うん、病室にバツグや私物置いたまま此処に来ちゃったから取りに行って来た、それに着替えも・・・あっ、そうだ、すぐるっ、
あたしが持ってた四神剣ロアナ、持ってるよね!?」
卓「うん、大丈夫持ってるよ、取られてないから・・・」
詩「良かった~、それ聞いて安心した~」
美「お~い、三嶋詩織~・・・」
詩「はいっ、なんですか?・・・」
美「ちょと聞きたいことがある・・・」
詩「は、い・・・」
亜衣と摩耶も席に戻り、此処で注文した食事が少しずつ運ばれてきた。
美「今此処の店員に三嶋詩織ってアイドル、知ってるかどうか聞いてみたところ、知らない、と言われてね、裕も病院で三嶋詩織を認識する者が一人も居なかったと言ってる、現に今、このファミレスに入る前の数分間は外の交差点にいたが、通行人は君を見ても三嶋詩織だと
騒ぎ立てる人も居なければ、アイドル歌手がいるっ! 芸能人がいる!  と認識する人も一人も居なかった、三嶋詩織と言えば国民の誰もが
知ってるアイドルスターだと俺は思ってる、そのアイドルが昼間新宿の交差点に立っていたら大騒ぎになると思うんだけど、以外にも誰も
君を見ても無反応だった、これは・・・」
琴「おじさんっ、待ってっ!」
美「・・・・・・」
琴「詩織を責めないでっ、詩織は悪く無いから・・・それに、これは
あたしたちが魔力を失くしたことが原因でもあるから・・・」
詩「あっ、やっぱりソレが原因になってるんだ・・・」
琴「うん、ごめんね詩織・・・」
美「いや、別に責めたりはしないよ、只どう言うことなのかなと・・・」
亜「ねぇ、おじさんっ、詩織の芸能人としての経歴って知ってる!?」
美「経歴?」
亜「そうそう、詩織が芸能界に入って何年、とか芸能界に入って今日までどんな活動していた、とか・・・」
美「それは・・・う~ん・・・え~・・・駄目だ、裕っ、知ってるか?」
岩「そうっスねぇ、オレも詳しくは知らないけど・・・確か、14歳の時、渋谷の街でスカウトされて、で芸能界に入って・・・16歳で歌手でデビューして、で今現在出した曲が2曲、その間ドラマに出たり、バラエティーにも少しずつ出るようになってきたってところかな・・・」
詩「おじさんっ 、ソレちょっと違うっ ! あたしがデビューしたのは
厳密に言うと15歳だよっ ! ソレにあたしが今まで出した曲は2曲
じゃ無くて3曲っ ! 3曲だからねっ ! 間違えないでっ !・・・」
美「アハハハッッ」
岩「ちょっと先輩っ ! 何笑ってんスかっ ソコ笑うとこじゃ
無いし !・・・」
詩「そうだよっ、全然ウケないっ !・・・」
美「ごめんごめんっ、そうだった・・・」
亜「まぁ、ちょっと誤差があったけど詩織のプロフィールは今詩織やおじさんが言った通りなんだよね、だけど・・・実は、詩織が芸能界に入ったのはつい最近なんだよね・・・詩織っ、今何歳っ?・・・」
詩「今、17歳とちょっとだよ・・・」
美「おいおい、そんな訳ないだろ、14歳で入って今17歳じゃ最低でも3年間は芸能界入りしてるだろっ・・・」
岩「そうそう、オレもさすがに今の言葉は信じられない・・・」
摩「ほらね、やっぱり信じられなかった・・・」
詩「おじさんっ、今亜衣ちゃんが言ったことが真実なの・・・あたし、
実際は芸能界に入ってまだ一カ月とちょっとなの・・・」
岩「うっ、嘘っ、嘘だろっ!? おっ、オレは信じないっ !」
美「しっ、信じないっ、信じられないっ !・・・」
詩「ホントなんですっ ! 信じてくださいっ !!」
岩「あぁ~、駄目だオレッ、立ち直れないっ、ショックだ~!・・・」
美「俺もだ・・・」
さすがにこの言葉には拓也も裕もおもいっきりショックを受けた。
詩「あの、ごめんなさい・・・」
岩「オレ・・・三嶋詩織の大ファンだったのに・・・ファンクラブ
にも入ってたんだよ・・・」
琴「へぇ~、このおじさんたち詩織の熱狂的ファンだったんだ・・・」
詩「あっ、あのっ、ホントにごめんなさいっ・・・」
そして暫くの間、七人に沈黙が流れた・・・


  つづく









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美樹本記者の事件ファイル 2

   お腹減ったぁ~

タクシーを降りて交差点の雑踏に降り立ったグリム5人と拓也たち2人だが、
拓也は周囲を見廻し、
美「おぉい、グリムたちっ・・・」
琴「なに?・・・」
美「取りあえず、此処まで逃げて来たけど、病院の屋上で襲ってきた
あの二人、君等が此処に居ることを感じ付いているのかな!?」
琴「えっ、なにそれ、言ってる意味解かんない ?・・・」
美「要するに、あの二人が君等を此処まで追って来るかどうかってこと・・・」
琴「それは無いと思う、詩織を除いて今のあたしたちは魔力が無いし只の女子高生と同じだから・・・それにあの二人が近くに居れば、
すぐるが気付く筈だし・・・」
卓「そうだね、ネイダならすぐに判るよ」
美「そうか・・・先ずは一安心、ってところか・・・」
卓「あの場から良く逃げられたよなぁ・・・」
亜「ハァ、マジ、殺られるかと思った・・・」
摩「あたしも、もう駄目かと思ったよ・・・」
琴「だよね・・・なんか・・・安心したらお腹減ってきた~・・・」
そう言いながら琴音はその場にしゃがみ込み、亜衣や摩耶も
亜「あたしも~、朝からロクに食べてないし・・・」
摩「お腹減ったァ~、御飯食べたぁ~いっ・・・」
詩「ちょっとぉ、みんな、そんなこと言って此処に座り込まないでよっ !・・・」
卓「ほらっ、みんなっ、立ってっ・・・」
岩「そう言えばオレたちも飯食って無かったッスね先輩っ・・・」
美「アハハッ、そう言うと思ったから此処に来たんだよっ」
そう言いながら拓也は顎でファミレスを癪ってみせた。
卓「えっ? それでこのファミレスまで逃げて来たんですか!?」
岩「あっ、それで此処なんだ・・・」
美「そうそう・・・」
亜「へぇ~、そうなんだ・・・」
美「ほらっ、みんな腹減ってるんだろ、入ろ、入ろっ・・・」
琴「えっ、良いのっ!?」
亜「でもみんな・・・お金無いよ!?・・・」
摩「うん、自信持って言うけど無いっ !・・・」
卓「僕も少ししか・・・」
美「良いよっ、俺が払うからっ」
琴「・・・・・・」
亜「・・・・・・」
摩「・・・・・・」
三人は顔を見合わせ、
卓「あの・・・ホントにお金無いですよ・・・」
美「解かってるよ、大丈夫だから、ほら、入って入ってっ」
琴「やったぁ~!」
摩「御飯っ、御飯~!・・・」
亜「喉乾いたぁ~、何か飲みたぁ~いっ!・・・」
卓「・・・・・・」
琴音、亜衣、摩耶の三人は立ち上がり、
摩「ほら、詩織も入ろうよっ」
詩「う、うんっ・・・」
美「あっ !・・・」
以前病院で裕が気に掛かったことを拓也も此処で気が付いた。
岩「先輩っ、どうかしたんスか?」
美「あっ、いっ、いやっ、なんでもない、後で話すっ・・・」
そして腹を空かした七人はファミレスに入って行った。


  つづく

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    奪われた魔力

岩「記憶が無い!? 何だソレ、どう言う意味 ?・・・」
詩「もしかしたらってことだよ、まだ判断できないし・・・」
岩「いや、だから・・・」
詩「それに、理解し難いと思うよ聞いても・・・」
岩「ハンッ、先ほど屋上でこれでもかっ、って言うほど理解出来ない
出来事を見て来たよっ、これ以上まだ理解出来ない事でも有るって言うの!?・・・」
詩「屋上!? 屋上で何があったのっ ?」
岩「あぁ、きみが・・・」
そのとき、
亜「詩織ぃ~!・・・」
声がした方向に詩織と裕は振り向き
詩「あっ、亜衣ちゃんだっ・・・わっ、みんなもっ!・・・」
10階で別れた琴音たちが無事1階に着き、詩織を見掛けるや、走り寄って来た。
琴「詩織っ、大丈夫なの~!?」」
詩「琴音ぇ~」
摩「詩織ぃ~」
卓「詩織ちゃんっ・・・」
美「裕っ!・・・」
岩「あっ、先輩っ、無事に着いたようですね・・・」
琴音たちは詩織の無事と再会を喜びあっていた、拓也は、
美「おいっ、喜ぶのは後にして、今は早く逃げようっ!」
すると、嬉しそうに会話していたグリムたちがピタッと話を止め、
亜衣は拓也と裕に近づき
亜「ねぇ、おじさんたち何者なの? 何であたしたちを助けたの? 何で
グリムって知ってるのっ、ねぇ、なんでっ!?・・・」
琴「あたしも知りたいっ!・・・」
摩「あたしもっ!」
卓「助けてくれたのは有り難いけど・・・僕も聞きたいっ・・・」
美「ちょっと待てっ! 今はそれどころじゃないだろっ!・・・」
おもいっきり不審者を見る目線で質問攻めに会い、
詩「あたし、さっき、ちょっと聞いたけど、この人たち雑誌の記者さんみたいだよっ・・・」
亜「雑誌の記者!?」
美「そうだよ、雑誌記者だ、それよりっ・・・」
岩「オレはカメラマンだよ・・・」
卓「あっ、そうだったんた・・・」
琴「へぇ~、記者かぁ~・・・」
摩「ふぅ~ん、記者、ねぇ・・・」
美「解かったんなら早く逃げよう、今度又襲われたら確実に殺られるぞっ!・・・」
詩「大丈夫っ、琴音たちがそう簡単に殺られる訳ないし、ねぇ琴音っ」
琴「えっ、あっ・・・」
詩「・・・? どうしたのよ琴音っ!?」
摩「あっ、あのね詩織、あたしたち・・・その・・・魔力・・・」
詩「魔力? それならみんな持ってるじゃない、グリムだし・・・」
亜「あっ、だからその魔力・・・みんな・・・奪われちゃって・・・」
詩「えっ!? 魔力奪われた?? そんなこと出来る訳ないじゃない!」
詩織はすぐるに視線を移し、
卓「それがどうも、ホントみたいだよ、僕には解からなかったけど・・・」
詩「えぇぇぇぇぇっ!!  うっ、 嘘でしょ嘘でしょ!? ねぇっ!・・・」
詩織は琴音の両肩を持って揺さぶり
詩「琴音っ! それホントなのっ ! !」
琴「ごっ、ごめんっ詩織ぃ~!!・・・」
詩「 それじゃ・・・それじゃ・・・・・・」
詩織はショックで言葉がでなかった。
卓「ねぇみんなっ、今はこのひとたちの言う通りだよ、早く逃げた
ほうが良いと思うっ!・・・」
琴「でも・・・魔力・・・取り帰さないと・・・」
卓「そうかもだけど・・・でも・・・出来るの!?・・・」
琴「解からない・・・」
亜「あたしにも解かんない・・・」
摩「そもそも、魔力を奪われるって初めてだよ・・・」
詩「あれっ!? でも変よね、あたし普通に魔力使えるけどなぁ・・・」
亜「えっ!? 詩織、魔力使えるのっ、奪われてないのっ!?・・・」
詩「うん、回復と転移、普通に使えたよ・・・」
摩「それ、どう言うこと? 詩織もあたしたちのすぐ側に居たんだよ?」
琴「あっ、それね、あたしもまだ詳しくは知らないんだけど、おそらく詩織は意識が無かったからだと思う、呪文聞いてないし・・・」
詩「あっ、それであたしは魔力奪われずに済んだわけね・・・」
琴「うん、詩織だけでも魔力が残ってるのは不幸中の幸いだよ・・・」
詩「だけど魔力が無いって・・・それじゃ話しは別だよ、この人たちの言う通りだよ、魔力無しじゃ勝ち目ないよ、逃げよっ!・・・」
美「だから最初から言ってるだろっ、逃げろ、って !・・・」
この拓也の言葉に琴音はイラつき、
琴「おじさんっ ! さっきから聞いてりゃ逃げろ逃げろ、って、簡単に言わないでよっ ! あたしたちグリムはどんな時でも敵に後ろを見せた事は無いのっ ! どんな相手でも死力を尽くして戦う・・・それが
あたしたちグリム一族なのっ ! それが一族の誇りなのっ !!・・・」
美「確かに俺は・・・君らグリムのことは良く知らないし解からないっ、だけど良いかっ!? 死んだら終わりだぞっ、終わりなんだぞっ !!」
琴「・・・・・・」
岩「オレもある意味、拓先輩の言う通りだと思うよ・・・それに例え
一時的に負けたように見えても・・・最後に勝てば良いんだよっ 」
琴「最後に・・・勝つ・・・」
詩「そう、だよね、最後に負けたら全てが負けで終わるよね・・・」
岩「そうそう、その通りだよっ」
美「とにかくっ、生きていればなんとかなるっ、その後で策を練るなり、作戦を立てるなりすれば勝機も観えてくるってもんだろっ・・・」
亜「そうだよね、今このまま戦っても勝ち目ないし・・・琴音っ!
今は一旦引いて作戦を立て直そうっ、その方が良いっ!」
卓「それにこのひとたち、悪いひとたちじゃ無さそうだし、信用しても良いと思うよ・・・」
岩「お~いっ、いまさらかいっ・・・」
琴「う・・・ん・・・解かったよ、そうする・・・」
美「それじゃ早くこの病院から出ようっ !」
亜「おじさんっ、病院から出るのは良いけど、その後は !?」
美「タクシー2台に乗って、取りあえず新宿駅前まで出よう、そのあとのことは着いてから考えるから・・・」
摩「そうと決まったら、みんなっ、外に出ようっ」
亜「解かったっ !・・・」
そして琴音、亜衣、摩耶、すぐる、詩織の5名に拓也と裕の総勢7名は病院正面玄関に走り出し病院の外に出た、拓也は
美「お~いっ、誰でも良いからタクシー2台を捕まえてくれっ」
先を走るグリムたちに声を掛け、グリムたちはそのままタクシー乗り場まで走って行った。
美「裕っ、俺たちは別れてタクシーに乗ろう、それで、新宿に来た時
いつも使ってるファミレスが有るだろっ、あそこまで行こうっ !」
岩「あぁ、あの交差点の角のファミレスですよね、了解っス」
そして亜衣とすぐるがタクシーを拾い、拓也と裕は別れて乗り、
グリムたちも別れて2台のタクシーに乗り込んだ。
2台のタクシーは病院内敷地を出て一路新宿方面に向かって走って行った。
そして・・・
多少、渋滞はあったものの25分程度で目的地のファミレスに到着し、
そこで7人はタクシーを降りた。


  つづく

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美樹本記者の事件ファイル 2

    記憶に無い!?

美「もちろん、きみをあの子たちのところへ連れていくつもりだよ、
だけど・・・」
岩「それ、まずいっスよね、三嶋詩織が襲われて、挙句病室から行方不明になってる訳だから、もし他人に見つかったらあの子たちに会うどころか大騒ぎに無りますよ、それにその騒ぎに気付いて、又ヤツらに見つかるとも限らないし・・・」
美「裕の言うとおりだよ・・・」
詩「そっか、それまずいよね・・・それじゃあたし、此処で待ってるから、琴音を此処に連れて来てっ」
美「そうだな、そうするか、それじゃ、おれが行ってあの子たち連れてくるから、裕はこの子と此処で待ってて・・・だけど・・・此処何処だっ?・・・」
岩「職員専用の地下駐車場みたいですね・・・先輩っ、気を付けてっ」
美「解かった、行って来る・・・」
そして拓也は駐車場の角にある階段から上階に上がって行った。
そして詩織は、二人にまだ疑問が有るらしく、
詩「あの、もっと聞いて良いっ!?」
岩「えっ!? 何をっ?・・・」
詩「なんで琴音がグリムだって分かったの?」
岩「あぁ、それはね、その琴音って子の不振な行動とか、グリムって
彫られた短剣とか・・・」
裕のこの言葉が、詩織に忘れていた物を思い出させた。
詩「あっ! いっ、いけないっ! 忘れてたっ!!」
詩織は拓也が上がって行った階段にいきなり走りだし、
岩「ちょ、ちょっと待ってっ何なのっ、いきなりっ!?・・・」
詩「ロアナッ、四神剣っ!・・・」
岩「ししんけん ?・・・あっ、ちょっとまっ・・・」
詩織は裕の制止も耳に入らず、そして階段の出入り口で・・・
「うわっとぉ~・・・」
詩「きゃっ!・・・」
階段を使って地下駐車場に降りてきた数名の医師と出会いがしらに
ぶつかり、詩織は床に倒れた、更に顔もしっかり見られてしまった。
「ごめん、ごめんっ、大丈夫っ!?・・・」
ぶつかった医師たちから抱え起こされ
詩「だっ、大丈夫ですっ! それよりっ・・・」
詩織は立ち上がり、階段で上階へ向かおうとしていた。
裕は大声で、
岩「いいから待てぇ~、三嶋詩織っ~ !!・・・」
裕は咄嗟に詩織の名前を叫んでしまい、直ぐに、あっ、と気が付き、
ぶつかった医師たちに視線を向けたが、
「急いでいる時ほど落ち着いてね、危ないから・・・それじゃ・・・」
医師たちは詩織を見ても気にも掛けず、自分たちの車に向かって歩いて行ってしまった。
岩「えっ!? オレ今、三嶋詩織って叫んだのに・・・」
詩織が医師たちの手で入院した病室に連れて行かれると思ったからである・・・そして裕は詩織に歩み寄ると、
詩「ちょっとっ! 何で止めるのっ!」
岩「あのさぁ、いきなり単独行動しないでっ、命狙われてて、危険なんだからっ・・・」
詩「あっ、ごめんなさい・・・」
それと、そのししんけんってヤツだけど、もしかしてこれくらいの長さの短剣で、ルーン文字でグリムって彫ってあるヤツ・・・」
詩「そうっ、それっ! 四神剣ロアナッ!・・・アレッ? ・・・何で
知ってるのっ!?・・・」
岩「その剣なら・・・多分、屋上で襲われた時、すぐるって子が
持って逃げたと思うけど・・・」
詩「えっ、ホントに!? ホントにすぐるが持ってるの?」
岩「確証は無いけど、持ってる筈だよ・・・あの子たちが此処に来たら聞いて見れば・・・」
詩「うんっ、そうするっ!・・・」
詩織は、ホッ、として階段を上がるのを止め、
岩「だけど、君、今ぶつかった人たちに顔見られてるよね、オレも
うっかり名前叫んじゃったけど・・・」
階段出入り口で裕と詩織が話していると、再び階段を下りて来るひとたちがいた、
岩「また人が降りてきた・・・」
制服の警官と私服の刑事らしき人たちだった、裕はギョッ、としながらも、警察と眼が合い、警察の人たちも裕と詩織を見たが、先ほどの医師たちと同様、何事も無く裕と詩織の前を通り過ぎて行った。
岩「なっ、なんでっ!?・・・」
三嶋詩織の行方不明は病院内で働く医師や看護師たち、そして警察
には情報として通達されてる筈である、もし詩織が見つかれば当然として病棟まで連れ戻される筈だからである、だがぶつかった医師もすれ違った警察も詩織を確認していながら何の反応も見せなかった。
岩「なんか…変だぞ・・・」
裕は意を決して、先ほどすれ違った警察の前に走り込み、
岩「あっ、あの、ちょっとすいませんっ!」
制服の警官に話し掛け、
「なんだね、私たちに何か用かいっ?」
岩「事件はどうなったのですか!?」
「事件!? 何の事件だ?」
岩「アイドル殺傷事件です、今朝、芸能人が暴漢に襲われて・・・」
「そんな事件、起きとらんぞ、君なにか勘違いしてるんじゃないか」
岩「えっ、だって女子高生アイドルの三嶋詩織が襲われて・・・」
「三嶋詩織!? そんな名前の人物、聞いたことが無いな、それに芸能人が暴漢に襲われた、なんて事件も起きて無いが・・・」
岩「そんな・・・そんな馬鹿な・・・」
少し離れて聞いていた詩織もさすがに驚き、驚愕した。
「なにか勘違いをしているようだな、もう用は済んだかな!?・・・」
警察はそう告げるとスタスタと歩き出し、駐車場の奥へ消えて行った。
裕は如何して良いか解からず、ただ立ち尽くすのみだった。
詩織は裕に走り寄り、
詩「ねぇ ! 今の何っ!?・・・あたし、今朝襲われたよっ、間違いなく
襲われたよっ !・・・」
岩「そう・・・だよね、でなきゃ、君が此処に居るわけないよね・・・」
そして詩織は、裕の上着を掴んで引っ張り、
詩「ちょっとっ ! 一緒に来てっ !」
岩「えっ!? 来てって、何処に ? 此処に居ないと・・・」
詩「上に行くだけっ、確認してみるから・・・」
岩「確認って、何っ!?・・・」
詩「いいからっ !・・・」
裕は詩織に引っ張られ、医師や警察が降りてきた階段を上がり始めた。
そして1階、外来患者受付がある待ち合い室、ロビーの横に出てきた。
待ち合い室は診察を終えて帰る人、受診に来た人、入院患者等で
人で溢れ返っていた。
詩織は裕から離れ、そして、その人たちに向かって・・・
詩「みなさぁ~んっ ! みしましおりでぇ~すっ ! いつも応援、
ありがとうございまぁ~すっ !!・・・」
かなり広い待ち合い室の角にまで届きそうな大声を出し、待ち合い室に居た全ての人が詩織に視線を向けた。
岩「なっ! ちょっとっ!・・・」
裕はビックリして、詩織に駆け寄り、
岩「なに考えてんだよっ、おいっ!・・・」
詩「ねぇ、周りの人の反応、観て見て・・・」
裕は待ち合い室に居る人たちを見廻したが、驚いたことに全ての人が
三嶋詩織に対して無関心、無反応だった。
詩「もしかしたら、あたしに関する記憶が無くなったのかも・・・」


  つづく














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 グリムのアイドル、詩織

詩「ジーク ! もしかしてイベント会場で襲ってきた男の人っ!?」
美「それは、解からないけど・・・ とにかく逃げようっ!・・・」
そして拓也、裕、詩織の三人は階段を一目散に駆け下りて行った。
その途中詩織は、何かを決心したのか突然、
詩「もう良いっ、止まってっ!・・・」
そう言って立ち止まり、
美「おいおい、止まるなっ!」
岩「どうしたの、逃げなきゃ・・・」
詩「もう良いよ、何処の誰だか知らないけど、おじさんたち
あたしのことグリムって知ってるみたいだし・・・」
岩「まぁ、少しだけね・・・」
詩「それに、今ジーク神族から追われてるんだよね!?」
美「そうだよ、そのとおり・・・」
詩「それなら・・・おじさんたち、あたしの肩に手を置いて・・・」
美「手を!? なんで?・・・」
岩「えっ、いいのっ!?・・・」
詩「いいから置いてっ・・・」
そして拓也と裕は、恐る恐る詩織の肩に手を置いた。
詩「いいっ!? 肩から手を離さないでねっ!・・・」
美「・・・?」
岩「もしかして、また魔力!?・・・」
詩「プラーセッ!」
そして三人は一瞬にして階段から姿を消した、詩織に依る空間転移
である・・・そして・・・
美「えっ!?・・・はぁっ! なっ、なんだっ!? ここ、何処っ!!・・・」
岩「うっ、うわっ! なにっ!?・・・」
詩「ふぅ・・・此処ならもう追ってこないかも・・・」
美「うっ、嘘だろっ!?・・・一瞬にして場所を・・・移動した・・・」
岩「まるで・・・テレポートだ・・・」
二人は驚く、と言うより亜然とした、初めての体験である。
岩「す、すげぇ・・・すごいっ! すごいっ!!」
美「こんな・・・力が有るとは・・・」
拓也と裕は驚愕の眼差しで詩織を観、そして詩織は歩み寄りながら
詩「ねぇ、おじさんたちって誰っ? なんであたしがグリムだって
知ってるの ?」
やっと落ち着いてきた拓也は
美「おれたちは、雑誌記者だよ・・・」
詩「雑誌記者 ?」
美「そう、安川と小野田の殺人事件を取材中、蓮見琴音とか言う
不思議な女子高生を偶然知って、そこからグリムって言う・・・」
詩「えっ!? 琴音を知ってるのっ!?」
美「いや、事件の取材現場で何度も見掛けただけで、まだ一度も話したことも無いから、知ってる、とまではいかないかも・・・」
詩「あっ、そうなんだ・・・ところで・・・あの、あたしのこと・・・
知ってます・・・よね!?・・・」
美「もちろん、知ってるよ、芸能界の女子高生アイドル、三嶋詩織だよね・・・」
岩「因みに、オレ、大ファンなので、よろしくっスッ・・・」
美「三嶋詩織がイベント中、襲われて病院に搬送されたって、上司から聞かされて、病院に取材に行ったら蓮見琴音を見掛けて、探っていたら屋上でジークとか言う連中の襲撃に会って、逃げてる途中だった
んだよ・・・」
詩「あっ、そうだったんだっ!・・・それで琴音はっ!?・・・」
美「今、別のルートで逃げてるよ、1階で落ち合うつもりだから」
詩「あたしもそこへ連れてってくださいっ、琴音に会わないと・・・」


  つづく