報酬、料金等の支払額から徴収すべき所得税の額は、次表のとおりとなります(所法205)。

 なお、所得税法204条に規定する報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、給与等(所法28①)又は退職手当等(所法30①)に該当するものは、報酬、料金等としては源泉徴収しません。

 

 各区分の報酬、料金等から徴収すべき所得税の計算表

  (注)税率については、復興特別所得税額を含んでいます。

 

所 法

204①

源泉徴収の対象となる

報酬・料金等

対象金額

徴収すべき所得税

、復興特別所得税

 原稿、さし絵、作曲、レコード吹

 込み又はデザインの報酬、放送謝

 金、著作権(著作隣接権を含みま

 す。)又は工業所有権の使用料及

 び講演料等

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 その金額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 (参照(※)

 弁護士(外国法事務弁護士を含み

 ます。)、公認会計士、税理士、

 社会保険労務士、弁理士、測量

 士、建築士、不動産鑑定士、技術

 士等

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 その金額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

(参照(※)

 司法書士、土地家屋調査士又は海

 事代理士

 10,000円を控除

 した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 社会保険診療報酬支払基金法

(昭和二十三年法律第百二十九

   号)の規定により支払われる

 診療報酬

 同一人に対し

 その月分とし

 て支払われる

 金額

 200,000円を控除

 した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 職業野球の選手、競馬の騎手、

 モデル等

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 

 

 

 

 

 

 

 

 その金額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

(参照(※)

 職業拳闘家

 50,000円を控除

 した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 外交員、集金人、

 電力量計の検針人

 120,000円を控除

 した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 

(注)

 

 

 その報酬・料金の支払者がそ

 の報酬・料金の支払を受ける

 者に対し給与等の支払をする

 場合には、控除する金額は

 120,000円からその月中に支

 払われるその給与等の額を控

 除した残額です。

 映画、演劇その他芸能又はラジオ

 放送若しくはテレビジョン放送に

 係る出演若しくは演出(指揮、監

 督等。)又は企画の報酬又は料金

 その他芸能人の役務の提供を内容

 とする事業に係る報酬又は料金

(これらのうち不特定多数の者か

 ら受けるものを除きます。)

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 その金額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

(参照(※)

 次のホステス等の業務に関する報

 酬又は料金

 1 バー、キャバレー等のホステ

   ス等の業務に関する報酬、料金

  (所法204①六)

 2 いわゆるバンケットホステ

   ス、コンパニオン等の業務に関

  する報酬、料金(措置法41の

  20①)

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 5,000円にその支

 払金額の計算期間

 の日数を乗じて計

 算した金額を控除

 した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 

(注)

 

 

 その報酬・料金の支払者がそ

 の報酬・料金の支払を受ける

 者に対し給与等の支払をする

 場合には、控除する金額はそ

 の計算した金額からその期間

 に係るその給与等の額を控除

 した残額です。

 役務の提供を約することにより

 一時に取得する契約金

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 その金額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

(参照(※)

 広告宣伝のための賞金又は馬主

 が受ける競馬の賞金

 同一人に対し

 1回に支払わ

 れる金額

 その賞金の額の

 100分の20に相当

 する金額と

 600,000円との合

 計額(所令298①)

 を控除した残額に

 10.21%を乗じて

 計算した金額

 

(※) 同一人に対し一回に支払われる金額が1,000,000円を超える場合の徴収税額

   は、次の①と②の税率を乗じて計算された金額の合計額となります(所法205①

   一)。

    ① 1,000,000円までの部分は10.21%  

    ② 1,000,000円を越える部分は20.24%  

   (注)上記税率には、復興特別所得税(平成25年1月1日~令和19年12月31

     日)を含んでいます。

 

  (例) 支払報酬等が1,500,000円の場合の源泉徴収税額は、204,200円となりま

    す。

      ①   1,000,000×0.1021=102,100円

      ②   (1,500,000-1,000,000)×0.2042=102,100円

      ① + ② = 102,100円 + 102,100円 = 204,200円

 

☞ 支払額は手取額の契約となっている

 報酬、料金等の支払額が手取契約となっている場合には、その税引手取額を税込みの金額に逆算し、その逆算した金額を報酬・料金等の支払額として、源泉徴収税額を計算します(所基通181~223共-4(源泉徴収の対象となるものの支払額が税引手取額で定められている場合の税額の計算))。

(注)上記の場合には、支払調書に記載する支払金額は税引手取額と源泉徴収税額との合計額となります。

   

 (例) 報酬、料金等を手取契約180,000円で支払った場合の計算例

 

契約書等に報酬額と消費税額

 が明確に区分されていない

契約書等に消費税額が明確に

 区分されている

 手取額

 180,000円

 200,000円

  内手取報酬額 ①

 180,000円

 180,000円

  内消費税等  ②

 -

 20,000円 (10%)

 (200,000円×0.10

                   =20,000円)

 源泉所得税  ③

 20,420円(税率10.21%)

 20,420円(税率10.21%)

 180,000円÷0.9

                 = 200,000円

 200,000円×0.1021

                 = 20,420円

 180,000円÷0.9 

                 = 200,000円

 200,000円×0.1021

                 = 20,420円

 支払調書に記入

 する支払金額

 ①+③

  200,420円

 ①+②+③

  220,420円

 請求書、領収書

なし

振込送金票あり

適格請求書

(インボイス) あり

(注)源泉所得税の税率には、所得税額に対し2.1%の復興特別所得税を含んでいま

  す。

 

 報酬、料金等から徴収すべき所得税の額は、その報酬、料金等の区分に応じ計算されます。

 

 原則として、徴収する所得税額は、同一人に対し一回に支払われる報酬、料金等の金額に10%(復興特別所得税を含めると10.21%となります。)を乗じた金額です。 

(注)一円未満の端数は切り捨てます。

 なお、一部の報酬、料金等を除いて、同一人に対し一回に支払われる報酬、料金等の金額が100万円を境に二段階税率となります。

 徴収する税額は、次の①と②のそれぞれの税率を乗じて計算された金額の合計額となります。

① 支払う報酬、料金等の金額が100万円以下の部分 → 10.21%

② 支払う報酬、料金等の金額が100万円を超える部分 → 20.42%

  (注)税率には、所得税額に対し2.1%を乗じる復興特別所得税を含みます。

 

 一部の報酬、料金等に係る徴収税額

  一部の報酬、料金等(司法書士等、外交員等に対する報酬、料金等)について

 は、同一人に対し一回に支払われる報酬、料金等の支払額から一定額を控除した残

 額に対して10.21%を乗じて計算された金額を徴収します。

 (注)報酬、料金等の支払額から一定額を控除するものは下表のとおりです。

 

 同一人に対し一回に支払われる報酬、料金等の金額とは

  同一人に対し1回に支払われる金額とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額

 をいいます。

  ただし、税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額に

 よって差し支えないです(所基通205-1(同一人に対し1回に支払われる金額の意

 義))。

 

⦿ 司法書士、土地家屋調査士、海事代理士の業務に関する報酬又は料金について

 「同一人に対し1回に支払われるべき金額」とは、

 一の委託契約ごとに支払われる金額です。

 

  ただし、

  一定期間ごとにその期間中の委託契約に基づく報酬又は料金がまとめて支払われ

 る契約となっている場合には、そのまとめて支払われる金額となります(所基通

 205-2(同一人に対し1回に支払われるべき金額の意義))。


⦿ 外交員、集金人又は電力量計の検針人の業務に関する報酬又は料金について、

 同一人に対しその月中に支払われる金額とは、同一人に対しその月中に支払われる

 べき金額をいいます。

  ただし、その金額の計算の基礎となった期間が1月を超え、かつ、その期間が明示

 されている場合には、その計算の基礎となった期間に応じ各月分ごとに区分した金

 額を、それぞれの月中に支払われる金額として差し支えないです(所基通205-4

 (同一人に対しその月中に支払われる金額の意義))。

 

 ✤ 同一人に対しその月中に報酬又は料金と給与等とを支払う場合

   同一人に対しその月中に外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金と給与

  等とを支払う場合における所法204①及び所法205一の規定の適用に当たっては、

  次に掲げる場合に応じ、それぞれ次によります(所基通205-5)。

 

  (1) その報酬又は料金と給与等とをその月中に同時に1回に支払う場合

     12万円からその給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料

    金の金額について源泉徴収を行います。

 

  (2) その報酬又は料金をその給与等よりも先に支払う場合

     12万円からその報酬又は料金を支払う際におけるその給与等の見積額

    を控除した残額を超える部分の報酬又は料金の金額について源泉徴収を行い

    ます。

     この場合において、実際に支払う給与等の金額がその見積額と異なること

    となったことによりその報酬又は料金に対する源泉徴収税額について過不足

    額が生じたときは、その過不足額をその給与等を支払う際にその給与等から

    徴収し又はその給与等に対する源泉徴収税額から控除する方法により精算し

    ます。

    (注) 上記により過納額を給与等に対する源泉徴収税額から控除した場合に

      は、その給与等に係る所得税徴収高計算書の摘要欄にその旨及び控除し

      た金額を記載します。

  (3) その給与等をその報酬又は料金よりも先に支払う場合

     12万円からその給与等の金額を控除した残額を超える部分の報酬又は料

    金の金額について源泉徴収を行います。

 

⦿ 馬主が受ける競馬の賞金について、

 「同一人に対し1回に支払われるべき金額」とは、

 1回の競走ごとに、かつ、出走馬1頭ごとに支払われる金額をいいます

 (所基205-2(同一人に対し1回に支払われるべき金額の意義))。

 

【表】<徴収税額(所得税法第205条、租税特別措置法第41の20条)>

 

区       分

徴 収 税 額

 控除額が定められているもの

〇 司法書士、土地家屋調査士、海事代理士の業務に関する報酬、料金

〇 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

〇 職業拳闘家(プロボクサー)、外交員、集金人、電力量計の検針人の業務に関する報酬、料金

〇 バー、キャバレー等のホステス、バン ケットホステス、コンパニオン等の報酬、料金

〇 広告宣伝のための賞金、馬主が受ける競馬の賞金

 その金額から一定の金額を控除した残額に百分の十の税率を乗じて計算した金額

 

 (注) その賞金が金銭以外のものなどで支払われる場合には、その支払の時における価額です。

上記

以外

 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み、デザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)、工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類する報酬、料金

 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者の業務に関する報酬、料金

 職業拳闘家以外のプロスポーツの選手、競馬の騎手、モデルその他これらに類する者の業務に関する報酬、料金

 映画、演劇、芸能、ラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演、演出(指揮、監督その他これらに類する者ものを含みます。)、企画の報酬、料金その他芸能人の役務の提供を内容とする事業に係るその役務の提供に関する報酬、料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除きます。)

 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金

 同一人に対し一回に支

 払われる金額が

 

 百万円以下の部分

  → 百分の十

 

 百万円を超える部分

  → 百分の二十

 

 の税率を乗じて計算し

 た金額の合計額

 

 (注) その支払が金銭

 以外のものなどで支払

 われる場合には、その

 支払の時における価額

 です。

 

※ 具体的な控除額については、次回に説明します。

 

 報酬、料金等に係る源泉徴収義務者は、所得税法第204条に規定する報酬、料金等の支払者です。

 が、個人については、給与所得の源泉徴収義務者に限られます。

 

 給与所得の 個人の源泉徴収義務者 であるかの判定

 

 給与所得に係る源泉徴収義務者である「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」以外の個人から支払われる報酬、料金等は源泉徴収の対象となりません。

 

 報酬、料金等に係る源泉徴収義務者となる「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」であるかどうかの判定は、その報酬、料金等を支払うべき日の現況により判定します(所基通204-5)。

 

 「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」には、実際に徴収して納付する税額がない者も含まれます。

 個人1人で事業を行っていて忙しい時だけアルバイトを雇用しているような場合もその雇用期間については給与所得の源泉徴収義務者となります。アルバイトの給与の額が多い少ないには関係ありません。

 

☞ 賞金を同一人に対して2以上の者が共同して支払う場合に源泉徴収を行う者

 同一人に対し2以上の者が共同して賞金(所法204①八)を支払う場合には、これらの者のうち授賞等の事務を主宰している者が源泉徴収を行います(所基通204-34)。

 

⦿⦿⦿⦿⦿ メモ ⦿⦿⦿⦿⦿

  「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の作成上の主な留意点

 

 ⦿ 支払調書には提出範囲が決められています。

   提出範囲の金額基準の判定に当たっては、

   原則として、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の額を

  含めます。

   なお、消費税等の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判

  定しても差し支えありません。

 

 ⦿ 「支払金額」欄には、

   原則として、消費税等の額を含めて記載します。

   この際、消費税等の額を含めないで支払額を記載した場合は、「摘要」欄にそ

  の消費税等の額を記載します。(例)「消費税等 15,000円」

 

 ⦿ 「源泉徴収税額」欄には、

   源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額を記載します。

 

 ⦿ 支払を受ける者に支払調書の写しを交付する場合には、

   マイナンバーを記載して交付することはできません。

   

   本人へ交付するので実害がないと思われる方がいるかもしれませんが、他者の

  目に触れるような形となるので記載することはできません。

 

   そもそも、この支払調書は税務署へ提出するために作成されるもので、支払を

  受ける者に交付されることを予定していません。給与所得の源泉徴収票とは違い

  ます。

 

   年間の支払額等の明細書を必要とする取引先には、支払報酬額と源泉徴収税額

  の年間明細書を作成して提供することとなりますが、結果として同じ内容が記載

  されている支払調書を代用している源泉徴収義務者が多いところからこのような

  状況となっています。

 

   したがって、

   取引先交付用とするものは、

   税務署提出用と複写で作成しない、また、税務署提出用をコピーしない、

   取引先交付用として別途作成してマイナンバーを記載しない ことに十分注意

  して作成、交付しなければなりません。

 

 ⦿ 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書提出範囲

 

区       分

提  出  範  囲

 外交員、集金人、電力量計の検針

 人及びプロボクサーの報酬、料金

 同一人に対する本年中の支払金額の

 合計が 50万円を超えるもの。

 バー、キャバレー等のホステス、

 バンケットホステス、コンパニオ

 ン等の報酬、料金

 広告宣伝のための賞金

 社会保険診療報酬支払基金が支払

 う診療報酬

 同一人に対する本年中の支払金額の

 合計が 50万円を超えるもの。

 ただし、国立病院、公立病院、その

 他の公共法人等に支払うものは提出

 する必要はありません。

 馬主が受ける競馬の賞金

 本年中の1回の支払賞金額が 75万

 円を超える支払を受けた方に係るそ

 の年中の全ての支払金額。

 プロ野球の選手などが受ける報酬

 及び 契約金

 同一人に対する本年中の支払金額の

 合計が 5万円を超えるもの。

 1から6以外の報酬、料金等

⦿⦿⦿⦿⦿ 終わり ⦿⦿⦿⦿⦿

 

⦿⦿⦿⦿⦿ 雑 談内国法人に対する源泉徴収 ⦿⦿⦿⦿⦿

 内国法人に対する支払のうち所得税法第212条第3項に規定されているもの以外は源泉徴収の対象となりません。

 

 <所得税法第212条第3項>

 内国法人に対し国内において、内国法人に係る所得税の課税標準(所法174)に掲げる利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければなりません(所法212③)。

 

(注) 所得税法第212条第3項に規定する源泉徴収の対象から除かれるもの

 1 信託財産に係る利子等の課税の特例(所法176①、②)の規定に該当するもの

 2 完全子法人株式等に係る配当等の課税の特例(所法177)の規定に該当するもの

⦿⦿⦿⦿⦿ 終わり ⦿⦿⦿⦿⦿

 

⦿⦿⦿⦿⦿ 源泉徴収はいつから いらないかな ⦿⦿⦿⦿⦿

  報酬、料金に対する源泉徴収は、昭和19年(1944年)の所得税法改正により始ま

 りました。

  戦後、昭和22年の税制改正により申告納税制度が開始されましたが、すでに採

 用されていた源泉徴収制度は廃止されることなく引き継がれました。

  ちなみに昭和22年に源泉徴収の対象となっていた報酬又は料金は次の種類で

 す。

  ・原稿、挿画、作曲及び音盤吹込の報酬、放送謝金、著作権の使用料及び講演料

   並びにこれらの性質を有する報酬又は料金

  ・外交員、集金人その他これらの労務者に準ずる者に対する報酬又は料金

 

  なお、勤労所得に対しては昭和15年(1940年)から源泉徴収が行われています。

  また、利子所得については、明治32年(1899年)から公債・社債の利子に対して

 源泉徴収が行われています。

                       ⦿⦿⦿⦿⦿ 終わり ⦿⦿⦿⦿⦿

 国内で個人事業を行っている居住者は、所得税法第204条に規定する報酬、料金、契約金又は賞金(以下「報酬、料金等」といいます。)の支払を受ける際に所得税を源泉徴収されます。

 

 居住者に対して、国内において所得税法第204条に規定する報酬、料金等の支払をする者は、その支払の際、その報酬、料金等について源泉徴収をしなければなりません。

 

 報酬、料金等の支払の対象者は、居住者です

 報酬、料金等の支払の対象者が法人、人格のない社団等であれば源泉徴収しません。

 

 人格のない社団等であるかどうかは、その支払を受ける者が次のいずれかのような事実を掲げて立証できる場合です。

 ① 法人税を納付する義務があること。

 ② 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として

  独立して存在していること。

 

 研究会、劇団、楽団などの名称を使用していても、個人の単なる集合体とみなされるものは団体とは認められませんので、個人として源泉徴収の対象となります。

 

 報酬、料金等の支払われる場所は、国内です。

 

 源泉徴収義務者は、所得税法第204条に規定する報酬、料金等の支払者です。

 源泉徴収する時期は、その報酬、料金等の支払の際です。

 納付期限は、その徴収の日の属する月の翌月10日までです。

 納税するときは、「報酬、料金等の所得税徴収高計算書(納付書)」を使用します。

 ただし、所得税法第204条第1項第2号の弁護士、司法書士、税理士等に対する報酬又は料金については、「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を使用して納税します。

 

 また、源泉徴収義務者は、その報酬、料金等の支払があったことを「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」により国に報告しなければなりません。

 

(注) 非居住者の方に報酬等を支払った者は、「非居住者等に支払われる給与、報

  酬、年金及び賞金の支払調書」等を提出します。

 

(参考)法人税法に規定する法人とは (法法2①)

  法人税法に規定する法人は、内国法人と外国法人となります。

  内国法人には、公共法人、公益法人等、協同組合等、普通法人、人格のない社団

 等があります。

 

  ・公共法人は、 法人税法別表第一に掲げる法人をいいます。

  ・公益法人等は、 法人税法別表第二に掲げる法人をいいます。

  ・協同組合等は、 法人税法別表第三に掲げる法人をいいます。

  ・人格のない社団等は、 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあ

            るものをいいます。

  ・普通法人は、 公共法人、公益法人等、協同組合等の法人以外の法人をいい、人

        格のない社団等を含みません。

 

⦿⦿⦿⦿⦿ 雑談仕訳は? 取引って物々交換? ⦿⦿⦿⦿⦿

  個人事業に係る契約、権利の発生、出金及び入金などのことを取引といいます。

  そして、取引の実態は、物々交換です。

  いや、物々交換と考えると理解しやすいです。

 

  さて、

  取引が発生するとその都度 仕訳帳に記入する必要があります。

 

  記入する内容は、

   物々交換の中身、

   その中身を推測できる名前、

   交換した価値をお金に換算した額です。

 

  仕訳帳では、

   物々交換の中身とは、 → 摘要 となります。

   その中身を推測できる名前とは、 → 勘定科目(科目)となります。

   交換した価値とは、 → 金額 となります。

 

 ☞ 仕訳は、左欄と右欄に分けて記載し、左右の金額が同じ金額となる

   取引は、物々交換です。

   したがって、交換した各々のその価値は同じ金額となります。

   具体的なイメージは次のようになります。

 

  ⦿ デザインの作成を依頼され完成し、納品したので依頼主に1100円請求した。

    この取引は、

    自身の肉体や知恵などの資源と金銭(報酬)を交換したことになります。

    すなわち、科目では、売上と現金を交換したことになります。

    ただ、

    請求書を発行した段階では、その報酬を支払ってもらう権利すなわち売掛金

   と交換することになります。

 

(仕訳伝票)(税抜経理) 

日 付

摘 要

借 方 (左)

貸 方 (右)

科 目

金 額

科 目

金 額

 11月20日

 A社へデザイン

 の報酬を請求

 売掛金

 1100円

 売上

 1000円

 

 消費税等

 

 

 仮受消費税

(10%)

   100円

 

合 計

 

 1100円

 

 1100円

 (注) 会計ソフトでは、消費税等は税率を選択するだけで自動仕訳されます。

 

  現在ではほぼ「借方」-「貸方」の文字の意味はなく、「左欄」-「右欄」と考

 えればよいです。

 

 <参考>

 〇 複式簿記の原型といわれているイタリア商人(金融業)の帳簿

左 欄

右 欄

借 方

貸 方

商人から

借金をしている人の情報

商人を信用して

資金を貸している人の情報

                

 〇 現在の帳簿(仕訳)

 

左 欄

右 欄

借 方

貸 方

貸借科目

 

財産の増加

負債の減少

 

負債の増加

財産の減少

元入金(資本金)等

損益科目

 

経費の発生

損失の発生

事業収入の発生

その他の収入の発生

 

  <貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)>

   
貸借科目の1年間の増減をまとめて損益を計算するものが、貸借対照表です。

   損益科目を1年間分まとめて損益を計算するものが、損益計算書です

   (個人の白色申告者は収支計算書といいます。) 。

    (注1) 損益とは、損失と利益のことをいいます。

    (注2)  B/S と P/L は略号です。

       ・ B/S → Balance sheet

       ・ P/L → Profit and Loss Statement

 

    貸借対照表の損益 と 損益計算書の損益 は一致します。

 

⦿⦿⦿⦿⦿ 終わり ⦿⦿⦿⦿⦿

 

 退職所得については、今回をもって終了となります。

 それでは、三区分の退職手当等がある場合の源泉徴収税額の計算例です。

 

例5

 

 

A社

勤続期間

 平成30.2.1~令和5.1.31

勤続年数

 5年(短期)

退職手当等の収入金額

 300万円

退職所得控除額

 200万円 (支給時の計算)

源泉徴収税額

 25,525円

B社

 

勤続期間

 平成26.1.1~令和5.3.31

勤続年数

 9年3ヵ月(一般)

退職手当等の収入金額

 500万円

退職所得控除額

 400万円(B社の計算例参照)

源泉徴収税額

79,127円(B社の計算例参照)

C社

勤続期間

 平成30.12.1~令和5.11.30

勤続年数

 5年(特定役員等)

退職手当等の収入金額

 3,000万円

退職所得控除額

 400万円(C社の計算例参照)

源泉徴収税額

9,925,652円(C社の計算例参照)

 

 A社       │←───────────→│(5年、短期)

         H30.2.1                        R5.1.31

 B社  │←───────────────────→│(9年3ヵ月、一般)

    H26.1.1                                           R5.3.31

 C社         │←───────────→│(5年、特定役員等)

           H30.12.1            R5.11.30

 

<A社の源泉徴収税額の計算>

✤ 勤続年数

 ① 平成30.2.1~令和5.1.31の勤続期間は5年となります。

 ② 勤続年数は5年です。したがって、短期退職手当等になります。

 

✤ 短期退職所得控除額の計算

   短期退職所得控除額

   =40万円×短期勤続年数

   =40万円×5年  =200万円

 

✤ 短期退職手当等の課税退職所得金額

 ① 短期退職手当等の収入金額の残額

  =短期退職手当等の収入金額 - 短期退職所得控除額

  =300万円-200万円 =100万円

 ② 300万円以下の判定

   100万円 < 300万円  →→→ 300万円以下なので1/2の適用があります。

 ③ 短期退職手当等の課税退職所得金額

   =100万円×1/2 =50万円

 

 源泉徴収税額

 ① 「退職所得の源泉徴収税額の速算表」から算出された税額

    (500,000円×5%=25,000円)×102.1%=25,525円

     ( 源泉徴収所得税 25,000円、復興特別所得税 525円 )

 ② 徴収すべき源泉徴収税額は、25,525円です。

 

<B社の源泉徴収税額の計算>

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   二区分の退職手当等がある場合となります。

   短期退職手当等の退職所得控除額については、短期退職手当等と一般退職手当
  等の計算期間が重複している勤続年数については、特別な計算をします。

 

✤ 退職所得控除額の計算

✤ 全体の勤続年数

 ① 最も長い期間は、B社ですので 9年3ヵ月となります。

 ② 最も長い期間と重複していない期間は、ありません。

 ③ 最も長い期間と重複している期間は、A社の5年です。

 ④ 勤続年数

   =9年3ヵ月+0ヵ月=9年3ヵ月 →10年

 

✤ 全体の退職所得控除額の計算

   退職所得控除額

   =40万円×10年

   =400万円

 

✤ 短期退職手当等の計算

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   短期退職手当等と一般退職手当等の計算期間が重複している勤続年数について

  は、短期退職所得控除額の計算が異なってきます。

 

✤ 勤続年数

 ① 勤続年数は 5年です。

 ② 重複勤続年数は、一般退職手当等とは5年です。

 

✤ 短期退職所得控除額の計算

   短期退職所得控除額

   =40万円×(短期勤続年数-重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数
   =40万円×(5年-5年)+20万円×5年  =100万円

 

✤ 短期退職手当等の課税退職所得金額

 ① 短期退職手当等の収入金額の残額

   =300万円-100万円 =200万円

 ② 300万円以下の判定

   200万円 < 300万円  →→→ 300万円以下なので1/2の適用があります。

 ③ 短期退職手当等の課税退職所得金額

   =200万円×1/2 =100万円

 

✤ 一般退職手当等の計算

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   一般退職手当等の退職所得控除額の計算は、全体の勤続年数に対する退職所得

  控除額から短期退職所得控除額を控除した残額となります。

 

✤ 一般退職所得控除額の計算

   一般退職所得控除額

   =全体の退職所得控除額-短期退職所得控除額

   =400万円-100万円

   =300万円

 

✤ 一般退職手当等の課税退職所得金額

   一般退職手当等の退職所得金額

   =(一般退職手当等の収入金額 - 一般退職所得控除額 )×1/2

   =(500万円-300万円)×1/2

   =200万円×1/2 =100万円

 

 B社の課税退職所得金額( 二区分合計の課税退職所得金額

   課税退職所得金額

   =短期退職手当等の課税退職所得金額+一般退職手当等の課税退職所得金額

   =100万円+100万円 

   =200万円

 

 源泉徴収税額

  ① 「退職所得の源泉徴収税額の速算表」から算出された税額

    (2,000,000円×10%-97,500円=102,500円)×102.1%=104,652円

     ( 源泉徴収所得税 102,500円、復興特別所得税 2,152円 )

  ② 既納付源泉徴収税額(復興特別所得税を含みます。)  25,525円

      A社の「退職所得の源泉徴収税額の速算表」から算出された
      源泉徴収税額です。

  ③ 徴収すべき源泉徴収税額

      104,652円-25,525円=79,127円

 

<C社の源泉徴収税額の計算>

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   三区分の退職手当等がある場合となります。

   退職所得控除額については、それぞれがそれそれぞれに対する退職手当等の計

  算期間が重複している勤続年数については、特別な計算をします。

   また、重複勤続年数については、全重複勤続年数とそれ以外の重複勤続年数で

  計算が異なります。

 

✤ 退職所得控除額の計算
✤ 全体の勤続年数

  ① 最も長い期間は、B社ですので 9年3ヵ月となります。

  ② 最も長い期間と重複していない期間は、C社の8ヵ月です。

  ③ 最も長い期間と重複している期間は、A社の5年とC社の4年4ヵ月です。

  ④ 三区分の退職手当等が重複している期間の勤続年数は、平成30.12.1~令和

   5.1.31の4年2ヵ月です。

  ⑤ 勤続年数

    =9年3ヵ月+8ヵ月=9年11ヵ月 →10年

 

✤ 全体の退職所得控除額の計算

   退職所得控除額

   =40万円×10年

   =400万円

 

✤ 特定役員退職手当等の計算

   

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   特定役員等退職所得控除額の計算にあたって、重複勤続年数については、三区

  分の退職手当等が重複している全重複勤続年数と、それ以外の重複勤続年数に分

  けて計算します。

 

✤ 勤続年数

  ① 勤続年数は 5年です。

  ② 重複勤続年数は、短期退職手当等とは ありません。

            一般退職手当等とは 2ヵ月です。→1年 (所令71の2⑩)
  ③ 全重複期間の重複勤続年数は 4年2ヵ月です。→5年 (所令71の2⑩)

 

✤ 特定役員退職所得控除額の計算

  ① 特定役員等勤続年数から重複勤続年数を差し引いた残りの勤続年数に対する
    特定役員退職所得控除額
    =40万円×(特定役員等勤続年数-(重複勤続年数+全重複勤続年数))
    =40万円×(5年-(1年+5年))  =40万円×(-1年=0年※)) =0万円
      特定役員等勤続年数が重複年数より少ない場合はゼロ年となります。
  ② 重複勤続年数に対する特定役員退職所得控除額
    =20万円×(特定役員等勤続期間と短期勤続期間が重複している勤続年数
         +特定役員等勤続期間と一般勤続期間が重複している勤続年数)
    =20万円×(0年+1年)) =20万円
  ③ 全重複勤続年数に対する特定役員退職所得控除額
    =14万円×5  =70万円
  ③ 特定役員退職所得控除額の合計額
    =①+②+③
    =0万円+20万円+70万円 =90万円

 

✤ 特定役員退職手当等の課税退職所得金額

   特定役員退職手当等の課税退職所得金額

   =3,000万円-90万円 =2,910万円

 

✤ 短期退職手当等の計算

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   短期退職所得控除額の計算にあたって、重複勤続年数については、三区分の退

  職手当等が重複している全重複勤続年数と、それ以外の重複勤続年数に分けて計

  算します。

 

✤ 勤続年数

  ① 勤続年数は 5年です。

  ② 重複勤続年数は、特定役員退職手当等とは ありません。

            一般退職手当等とは10ヵ月です。→1年 (所令71の2⑩)

  ③ 全重複期間の重複勤続年数は 4年2ヵ月です。→5年 (所令71の2⑩)

 

✤ 短期退職所得控除額の計算

  ① 短期勤続年数から重複勤続年数を差し引いた残りの勤続年数に対する短期退

    職所得控除額
    =40万円×(短期勤続年数-(重複勤続年数+全重複勤続年数))

    =40万円×(5年-(1年+5年))  =0万円
  ② 重複勤続年数に対する短期退職所得控除額
    =20万円×(短期勤続期間と特定役員等勤続期間が重複している勤続年数
          +短期勤続期間と一般勤続期間が重複している勤続年数)
    =20万円×(0年+1年))  =20万円
  ③ 全重複勤続年数に対する短期退職所得控除額
    =13万円×5年  =65万円
  ④ 短期退職所得控除額の合計額
    =①+②+③
    =0万円+20万円+65万円  =85万円

 

✤ 短期退職手当等の課税退職所得金額

  ① 短期退職手当等の収入金額の残額
    =300万円-85万円 =215万円

  ② 300万円以下の判定

    215万円 < 300万円

             →→→ 300万円以下なので1/2の適用があります。
  ③ 短期退職手当等の課税退職所得金額
    =215万円×1/2 =107.5万円

 

✤ 一般退職手当等の計算

 

 ⦿⦿⦿ ポイント ⦿⦿⦿

   一般退職手当等の退職所得控除額の計算は、全体の勤続年数に対する退職所得

  控除額から特定役員等退職所得控除額及び短期退職所得控除額を控除した残額と

  なります。

 

✤ 一般退職所得控除額の計算

   一般退職所得控除額

   =退職所得控除額-(特定役員退職所得控除額+短期退職所得控除額)

   =400万円-(90万円+85万円)

   =225万円

 

✤ 一般退職手当等の課税退職所得金額

   一般退職手当等の退職所得金額

   =(一般退職手当等の収入金額 - 一般退職所得控除額 )×1/2

   =(500万円-225万円)×1/2

   =275万円×1/2 =137.5万円

 

 C社の課税退職所得金額( 三区分合計の課税退職所得金額

   課税退職所得金額

   =特定役員退職所得金額+短期退職所得金額+一般退職所得金額

   =2,910万円107.5万円+137.5万円 

   =3,155万円

 

 源泉徴収税額

  ① 「退職所得の源泉徴収税額の速算表」から算出された税額

    (31,550,000円×40%-2,796,000円=9,824,000円)×102.1%

    =10,030,304円

     ( 源泉徴収所得税 9,824,000円、復興特別所得税 206,304円 )

  ② 既納付源泉徴収税額(復興特別所得税を含みます。)  104,652円

      B社の「退職所得の源泉徴収税額の速算表」から算出された

      源泉徴収税額です。

  ③ 徴収すべき源泉徴収税額

     10,030,304-104,652円=9,925,652円

 

 

 参考情報 

  国税庁のホームページから参照できます。

  ・「短期退職手当等Q%A」(令和3年10月、国税庁)

  ・「特定役員退職手当等Q%A」

    (平成24年8月(平成24年11月改正)、国税庁)