検察庁法改正案について本気出して考えてみた | 氷置 晋(ひおき しん)のぴよっきーな生活

氷置 晋(ひおき しん)のぴよっきーな生活

奈良市出身のシンガーソングライター・ピアニストです。応援団長の「ぴよっきー」と二人三脚。

検察庁法改正案について、Twitterで良くも悪くも尋常じゃないくらい話題になっているので、頭から湯気が出るくらい考えた僕なりの結論です。興味がある人はよかったら読んでみてください。

 

どうしても言わずにはいられなかったのと、140文字ではとても書ききれないので、Twitterではなくブログにしました。

 

異論や反論がある人は、ちゃんと「最初からから最後まで」読んだ上で、「ブログ内の質問に答える形」で、その反論を教えてください。

喧嘩腰なコメントや、明らかなマウンティングは一発でブロックします。

 

勝ち負けではなく、必要なのはお互いの「認識のアップデート」であると考えます。冷静に語り合いましょう。

 

 

僕は右でも左でもありません。政治は是々非々だと思っています。

政権の方針に少しでも反対するようなことを言うと、「お前は左翼か」、逆に肯定することを言うと「ネトウヨか」などという、一部のネットユーザーの100かゼロかでしか物事を考えられない非建設的な論調には強く反対です。

また、歌手や俳優などの著名人が政治について語ると「政治的なことを言うな」「お前は本業だけやっとけ」のようなコメントも一部上がりますが、的外れなことこの上なしと思っています。

 

多少煽りぎみな文章になっているかも知れませんが、危機感からです。

 

 

 

冷静に考えれば考えるほど、この法案は疑惑どころか、疑う余地がないぐらい問題だらけです。どう考えてもです。

 

そして、この法案の違和感に気づいているのはあなただけじゃないです。

この問題は相当わかりにくいので(誤魔化すために、意図的にそうしているようにさえ感じます)、専門家でもない素人の我々は、かなり本気を出して考えないと難しいと思います。

 

Twitterなどで表面的な部分しか理解できていなくて勘違いしている人たちに否定されて、真剣に考えている人たちは少なからず肩身の狭い思いや孤独を感じていると思います。

自分にそんなに大した影響力があるわけじゃないので、届くかはわかりませんが、少しでも共感し合ってお互い楽になれたらと思い、これを書くことにしました。

 

 

「こんなのデマだー」とか、

「陰謀だー」とか、

「Twitterのトレンドなんて創作だ」とか、

「野党の倒閣利用だ」とか、

「〇〇の方が重要だ」とか、

「一律の定年アップだから関係ない」とか、

「法案ちゃんと読んだ?」とか、

「ずっと前から議論されてる法案だ」とか、

「施行は2022年だから関係ない」とか、

「検察の権力が強いことの方が問題だ」とか、

「そもそも任命権は内閣にあるんだから」とか、

「もともと三権分立なんてあってないようなもんだ」とか、

「その頃には安倍さんの任期は終わってるから関係ない」とか、

 

そういうことを言ってる人たちへ。

 

誰かの動画を見たり、それぞれの結論を出している人たちの発信を見たりして、理解したような気分になって、自分の意見だと思い込んでいないかどうか、冷静に考えてみてほしいです。

 

その上で、

「いや、自分は誰にも流されてなんかいない」

「自分でちゃんと考えた上で、この法案に賛成(もしくはどうでもいいじゃん的なスタンス)なんだ」

という人たちがいたら、僕からの質問です。

 

本当にそう思うなら、以下の3点について、ちゃんと答えられる人はいますか?

 

 

1.そもそもなぜ、黒川さんの半年の定年延長をする必要があったのか(しかも限りなく違法に近いやり方で)

 

2.改正案の検察庁法の部分について、「公付日と同時に施行できる」という法解釈が可能になっているのはなぜか

 

3. 「内閣の定める事由による延長」との文言が急遽追加されたのはなぜか

 

 

この3つについて、「全て論理的に」答えられる人がいたら、自分も考え方が変わるかも知れません。

自分でもかなり探しましたが、話を逸らさずに、根本的にちゃんと答えられている人は今のところ見つけられませんでした。(政府が説明していないので当然ですが)

 

2はかなり重要な部分で、弁護士さんなどの間でも意見が割れているみたいです。可決されても今すぐには影響ないと思う人たちは、もう一度考えてみてください。

3はずっと前から議論されていた法案なら尚更、なぜ今これを加える必要がありますか?

 

 

安倍さんが恣意的な人事をしたかどうか、黒川さんが本当に政権に近いのかどうかはこの際置いておくとして、野党は「3を削除したら法案を通してもいい」「3がなければ定年引き上げには全面的に賛成だ」と言っているんですよ。

定年引き上げ自体は前から決まってたことなんだから、そりゃそうですよね。通さない理由がないです。

 

問題は、きちんとした説明もなく、法案に2と3を滑り込ませていることです。

そしてそのことによって、1を後から無理やり合法化しようとしている(としか考えられない)ことなんです。

 

本当にデマや陰謀だと思うなら、「なぜ1は起きたのか」「なぜ2と3が必要なのか」を説明してみてください。

野党の追及や、国民の疑惑を避けたいなら、3を削除したら済む話なのに、「なぜできない」のか、説明してみてください。

 

やましいことが本当にないなら、削除したらいいんです。そうしたら何の問題もなく、すんなりと法案が通ります。

それができないのには、「何か理由があるから」ってわかりますよね。

 

 

「黒川さんを検事総長にしたいからでは」という疑惑は至極当然です。陰謀でもなんでもなく、客観的な事実だけで導き出されることです。

 

検事総長は2年でリタイアする慣例があり、現検事総長の稲田さんが夏頃に2年を迎えるため、名古屋高検の検事長の林さんに後任を引き継ごうとしたところ(正確には検事総長に次ぐポストの事務次官にしようとしたところ)、内閣が却下したという事実があります。(任命権は内閣にあるので、却下する権利は当然ありますが)

現行法では検事総長の定年のみ65歳なので、今年の8月に64歳になる稲田さんが、法律に基づいてギリギリ65歳までリタイアを引き伸ばしたとしても、このままだとまた「解釈を変えた」「再延長&再延長」の繰り返しで、黒田さんの任期を延々と延長するのではないかという「疑惑が浮上」するのは当然の流れです。

 

そして、実際に政府がそのように考えているかどうかに関わらず、「国民がこのような疑念を政府と検察に持ってしまうこと」自体が問題です。

 

国会議員を捜査逮捕できる唯一の機関が、本当にそれでいいんですか?

堀江さんなどが言うように、確かに検察には権力が集中していて、それを問題視する声もありますが、だとしたら、そもそもそんな強大な権力を持つ検察が、今まで以上に内閣との繋がりを増すことがどれほど問題か、という話にもなります。

検察の暴走を止めることができるのは法務大臣の指揮権の発動ですが、そもそも法務大臣を任命するのは内閣です。検察と内閣との結びつきが強くなったらどうなりますか?

 

また、あまりにも検察主導で無理やりな起訴に対しては、最終的に裁判所が判断できますし、最高裁判所がちゃんと機能しているかどうかを国民が審査する制度も用意されていますよね。

制度と実態が異なることもあるので、その是非については問いませんが、少なくとも制度があることが重要です。

 

3にあるように、内閣の一存で定年を延長できるようになるということは、人事権を掌握する制度になってしまうということです。

それを実際に行使するかどうかに関係なく、「その制度を作ってしまうこと自体」が、明らかに問題です。

 

「定年が延長できるようになるぐらいで掌握なんて大袈裟な」と言う人もいますが、本当にそう思いますか?

 

今では定年によって、検事総長以外の全ての検察官が平等に任期を終えます。これはもし、内閣に偏った検察官がいたとしても、強制的にリタイアさせることができるという点で非常に重要です。

ところがこの法案が通れば、「内閣にとって都合のいい検察官は、定年延長によって優遇されかねない」に変わります。定年の引き上げなら問題ないですが、延長には問題がありすぎるのです。

これで忖度が起きないわけがないです。検察官が内閣に都合の悪い捜査をしなくなるのではという懸念は当然です。

 

 

あえて強く言うと、これは「内閣を忖度なしに法的に追及できる唯一の組織が、日本から消滅するかも知れない」ということです。

ひいては内閣がどんなことをやっても、捜査も逮捕もされなくなるということです。

 

本当にそれでいいんですか?

 

「民主主義なんだから、選挙で落とせばいい」という意見もありますが、選挙が来る前に暴走したらどうなりますか?国民に止めることは不可能です。

暴走列車を強制的に止めることができるのは現行法では検察だけなのです。そして内閣は、それをできなくしようと(少なくともそういうことが可能になる制度を作ろうと)しているんです。

つまり何をやっても検察捜査されない「お咎めなし」の内閣になる可能性が否めないんです。そうなったら、もし暴走しても、誰も物理的に止めることができなくなる。

 

本当にいいんですか?

 

 

最後に、僕なりに本気で考えましたが、専門家ではないので、恐らく不十分な点はあるかと思います。なので、まだまだ理解を深めたいと思っています。

色んな立場の方からの、建設的なコメントやご指導をお待ちしています。

 

 

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(19:15追記)

 

最後にこれだけ言わせてください。

 

この歴史的な緊急事態の中、こんなに疑惑だらけで不要不急な法案の改正を、本当に今そんなに急ぐ必要がありますか?

政府は何を焦っているのですか?

 

追加の経済対策はもちろんのこと、緊急事態宣言解除後に感染者が増加した場合の対応の説明など、やるべきことはあまりにも山積しています。

 

どうかコロナ収束にに全力を出してください。