7月も中旬。


今日は以前から予定されていた学芸祭。
理念樹高校は私立学園であるため

珍しく体育館にも冷房が設置されている。
それでも蒸し暑い中体育館に理念樹学園の全生徒が集まり、

学芸祭を見守っていた。

「はい、ではつぎはフリーダム組の

白雪姫を開演いたします。」

 
生徒会長のむずさんが進行役を努める。 
その側には副生徒会長のメテオ君が立ち、むずをサポートしている。 

「では、フリーダム組の演劇をどうぞお楽しみください」 
ビー 始まりのブザーが鳴る。 


シャッ 全窓のカーテンが締められた。 
「ある国の王様とお妃さまは大変仲の良いお二人でしたが

子宝には恵まれませんでした。」 
劇の進行役のレイフンさんが話はじめた。 

「神様、どうか私たちに子供をお授けください」 
と王様役のひっさ君とお妃様役フィンデル君。 

「神様にいのるとふたりの願いはかなえられ、

やがて玉のような女の子が生まれました。
女の子は肌が雪のように白かったので、

白雪姫と名付けられました。 


白雪姫は王様とお妃様に大事に大事にそだてられ、

とても美しい娘に成長しました。 
心のやさしい白雪姫は誰からも愛され、

森の動物や小鳥たちにも慕われました。 
しかし、ある日、白雪姫をやさしくそだててくれた

お母様が実家に帰ってしまいました。」 

(出番よ・・・・) 

ゆた子は舞台に躍り出た。 


「お母さま、実家に帰ってはイヤ!」 
 

「白雪姫は必死で呼び止めましたが、

お母様はとうとう実家に帰ってしまいました」 
 

「悲しみのあまり泣き暮らしている白雪姫のために

王様は新しいお妃を迎えました。 
ところが、このお妃は、本当は恐ろしい魔女だったのです。 
お妃は不思議な鏡をもっていました。 
この鏡に向かって訪ねると本当の事を教えてくれるのです。 
ある日お妃は鏡に向かって、こう訪ねました。」 
 

「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」 
と、魔女役のヒルテさんが鏡に問いかけると

全身タイツ姿の鏡役ののもちょ君が答えました。

 
「それは白雪姫です」

 
バキッ! 「い、いたいですよ、ヒルテさん・・・」

 
「あたしの!」 
ドカッ 「どこがっ!!」

 
ボコッ! 「いたたた、ヒルテさん、本気じゃないですか!」

 
「うっさい!!!」 
ゲシッ! 「うげっ・・・」 

「ゆた子に劣るっていうの!!!!」 
ボキッ 遠ざかる意識の中でののもちょは思った。 

(ボ、ボキッって・・・き、切れた・・・

ボクの体の中でなにか決定的なものが切れた
・・だいたい、ライバルは白雪姫であって、ゆた子さんじゃないです・・・) 


「・・・・・お、お妃は悔しくて悔しくてたまりません」 
唖然としていたレイフンさんが気を取り直して進行を続ける。 

(この間に気絶しているのもちょが保健室のレデェ先生の元へ運び出される。) 
「さっそく家来を呼んで、恐ろしい事を命令しました。」

 
「白雪姫を森につれていって殺しなさい」 

ヒルテさんが言うと冗談に聞こえない。

 
全校生徒がそう思う中、 
「家来役のビルド君とバラキ君が白雪姫を森につれていきました。 
しかし、美しくて、心のやさしい白雪姫をどうして殺す事ができるでしょう。 

「お城に戻ると恐ろしいお妃に殺されてしまいます。

どうか遠くへお逃げください。」

 
「家来達は白雪姫にわけを話して戻っていきました。」

つづく

 

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