ついに迎えてしまいました、本作の最終話です。
万感の思いで視聴してまいりましょう。
なお、本作の折り返し地点付近の感想記事にて「作中の人物について、振り返りを行う予定がある」と書きましたが、ご覧のとおり夕奈や朝姫の過去等についてほとんど明かされていない状態で最終話を迎えてしまっていますので、振り返りはしないことにします。
「あるとも決まってない2ndシーズンを前提とした構成」って、なかなか攻めてますね。それも本作は2クールかけているはずなのですが。今時のアニメってこんな感じなの?
あ、あと今回は最終話にも関わらず、かなり辛口です。最終話くらいはベタ褒めして終わりたかったのですが、儚い夢に終わってしまいました。
ここまで来て、またしてもこれを言わないといけないのは心苦しいですが、「本作が好きな人は、本感想記事シリーズは読まない」ことは、くれぐれも徹底してくださいね。
甘神宅にあがりこんだ月神さんは、上終と白日がこの世界の住人ではなく、「元の世界」からの来訪者であることを聞きます。
この時、月神さんが上終と白日のフルネームを呼びますが、今の白日は鶴山家に引き取られていないはずですが、鶴山姓で呼ばれています。
便宜上のものでしょうが、この世界で生きていくなら白日は「(事故で亡くなった)本来の両親の名字」を名乗っていかなくてはいけないので、若干ややこしい思いをすることになっていたかも知れません。
二人が似て非なる世界からのトラベラーであるなど、いくら頭のネジが飛んでいる独特の思考を持った月神さんにもにわかには受け入れがたい話のはずですが、月神さんはそのことをすんなりと信用します。神道に通じた月神いわく「神様に携わっていれば、そんな不思議な現象に遭遇するのは珍しいことではない」とのことで、それを聞いた上終達も「さすがだ」と舌を巻きます。
「神道に通じること」を「オカルトに精通すること」であると解釈すること自体が、神職に携わる方々に対してデカデカと中指を立てている気もしますが、まぁ本作が「神職に携わる人のほうを向いていない」のは今に始まったことではないので、今さら問題にはしません。
具体的に言うと、みなさんはこのアニメを「日本神話や寺社が好きなおばちゃん」におすすめしたいと思いますか?
私には到底は思えませんね。せいぜい「巫女萌えのハーレム好きオタク」にしか勧められません。オカルト好きにすら、「こんなんでオカルトとか甘いよ」とか言われそうで、憚られます。
もし本当にこのアニメが、神様を心から敬い、その神様を輝かせるために作られた作品なのであれば、どんな年齢・性別の方に対しても、響くはずですよね。それが響かないということは、まぁそういうことですよね。
白日も月神さんを見て「オーラのある人」と評しますが、彼女にあるのは横暴さと、ちょっとばかしの遠慮ですので、ここの白日は完全に買い被っていると思いますね。
上終も「頼りになるぜ!」なんて言ってますが、月神さんはこれまでの描写を寄せ集めても、上終に対して「甘神神社の危機は救ってくれない」「タイムリープを察知していながら、抜け出すために表立って助力しない」「文化祭で朝姫とはぐれても、夜重や舞昼先生とくっちゃべるだけで、探そうともしない」という人なので、上終が月神さんの何を見て「頼りになる」と言っているのかは、さっぱりわかりません。
事情を把握した月神さんは、この世界を抜け出すための糸口を二人に授ける…なんてことはせず、白日に「あなたのかわいさなら、参拝客も入れ食い」などと声をかけ、月神神社の巫女に勧誘します。
お前、大概にしろよ。真剣に元の世界に戻りたがっている上終と白日の気持ちは逆撫でするわ、甘神ママの夭折から続く経営難によって巫女を多く雇えなくて悩んでいる三姉妹には煽りとしか聞こえないわ、神社にとって生命線であるはずの参拝客に対しても「巫女でホイホイ釣れるもの」と言ってるに等しいわで、全方面に失礼です。
最終話だからって、はりきりすぎだって。「本作最低キャラ」の座は既にあなたで確定しているようなもんなんですから、少し落ち着いてください。
ひとしきり騒いだあと、月神さんはようやく「上終と白日が元の世界に戻るための手段」に関して、口を開きます。
月神さんいわく、今起こっている現象は「縁結び」と呼ぶそうです。「縁結び」という言葉自体はごく一般的なものですが、我々が用いている意味とは、だいぶ違いますね。
図らずしも、「本作がタイトルに『縁結び』と冠しながらも、登場人物達がなんの縁も結ぼうとしないこと」に、説明がついてしまいましたね。本作の登場人物達は、こちらの意味の「縁結び」のことしか頭になかったのでした。
月神さんは、色々とややこしい用語を用いながら、その「縁結び」について説明します。
あのー、もう最終話であんま時間ないんで、巻きでお願いしますね。
月神さんの話を総括すると、「カップルの組み合わせごとに別次元が発生するが、その別次元同士を強引に接続する行為」が「縁結び」だそうです。
つまり例えば「私が上坂すみれさんの旦那になった世界線」と「私が本渡楓さんの旦那になった世界線」とをくっつけて、「上坂すみれさんと本渡楓さんを同時に妻にしつつ、ついでに若山詩音さんを妹にすることができる」ということですか?どうなの月神さん。答えてよ。ねえ!ねえってば!大事なことなんだから!!!ねえ!!!答えろ月神!!!
…と冗談めかして言いましたが、冷静に考えると、「重婚が認められていない現代日本で、上終が三姉妹全員と結婚する方法」って、たぶんこういうことですよね。
まぁ釈的に、本シーズンでその真相が紐解かれることはなさそうですが。
…で?その話、今のこの状況の説明になっていますか?
月神さんの話は、火事の原因を突き止めようとしている人に対して「火とは可燃性の物質と酸素が反応して発光する現象です」と説明しているようなもんなんじゃないかなぁ?
上終達が聞きたいのは、「ふたつの世界はどのような位置づけにあり、どのように往来できるのか」だと思うんですけど。
難しい言葉を用いる割に解説が雑で、それでいて一番重要なところがの話が抜けている、あまりにも聞く側のことを考えていない説明に、まったくついていけていない上終。白日は一生懸命理解しようとしていますが、三姉妹はちんぷんかんぷんです。夜重に至っては、なんと居眠りまでしています。かわいいなぁ
やがて月神さんは、本件の結論として「暗神神社を訪ねるしかないだろう」と、わかりきったことを言って結びました。
最初にそれを言えよ!「暗神神社の主である神様によって、平行世界同士が強引に繋がれてしまっているようです。それを解くことは、繋いだ張本人にしかできません」で済んだ話じゃないの?これ。カップルがどうとか、関係ないじゃん。
言いたいことだけ言って、甘神神社を後にしようとする月神さん。
「これだけの超常現象を引き起こせる神とは、きっと強大な力の持ち主でしょう。もしかしたら、あなた方がこの世界を去ると知って、危害を加えようとしてくるかもしれません。ささやかながら、私も同行しましょう」なんてことは、当然ながら言うはずもありません。
あまりにも無責任すぎる月神さんを、上終が呼び止めます。上終は月神さんに「なぜ鹿面の女は、俺の記憶は消さなかったのか」と問いました。
私が指摘したように、上終が元の世界に執着するのは「三姉妹の記憶があるから」なので、上終をこの世界にとどめるなら、その記憶を消し去ってしまうのが手っ取り早いはずですが、鹿面の女はそうしませんでしたもんね。
まぁ上終がそう聞くのは「世界が違えば記憶も共有していないはずなので、俺も記憶をなくしていないとおかしい」というニュアンスのようなので、私の思いとは若干違うようですが。
月神さんは「いい質問ですね」としながらも、「あなたがそれを知るのは、まだ早い」と、もったいぶってしまいます。
あの、月神さん。言っときますけど、その答えがもし「上終がそれだけ三姉妹を強く想っているから」であり、「三姉妹との絆を心に強く念じること」がこの世界を脱する方法だったとしたら、それをここで素直に話さなかったこと、マジで許さないからな。
そのまま去ろうとする月神さんを、上終が再び呼び止めます。
ここまで起きた様々な超常現象について「本当は何もかも知っているんだろ?」と、ずっと言いたかったことを月神さんに真っ向から確認する上終。
案の定「何のことですか?」と返す月神さんに対し、上終はついに「とぼけないでください!」と声を荒げます。よく言った上終。
「月神さんは俺達の味方じゃないのか」とも言う上終に対して、不気味な笑みを浮かべながら「いいえ、私は神様の味方です」とハッキリ言ってのける月神さん。
だろうな。今まで上終や三姉妹のために本気で助けようとしたくれたこと、一度もないもんな。
でも月神さん。あなた大事な人達のことを忘れていませんか。
「元の世界の三姉妹」のことです。あなたを母のように慕い、あなたが我が子のように想った、あの三姉妹のことです。
上終がこれだけ元の世界に帰りたがっているように、元の世界の三姉妹達も、上終の帰りを待ちわびているはずです。いくら月神さんが「上終がどうなろうが、知ったこっちゃない」と考えていたとしても、上終が元の世界に戻れなければ、三姉妹達も深い哀しみに包まれるはずですよね。
私が言いたいのは「上終を助けることは、彼を待つ三姉妹を助けることでもある」ということです。月神さんははたして、そのことをちゃんと理解しているのでしょうか。
さらに月神さんは上終に「あなたの決断が、どれだけ残酷なものか、覚悟を決めておくように」と言い残しました。
おそらく「この世界を去るということは、白日を捨てるということだ」と言いたいのでしょうが、白日はとっくに腹を括ってますし、元の世界に戻ったって白日と会えないわけでも話せないわけでもないので、取り立てて言うことではないと感じます。
結局この作品は最後の最後まで「いいことを言わせようとしているが、状況が伴っていない現象」を繰り返すのでした。
頼みの綱であった月神さんにも突き放されたことで、上終は「考えるのをやめた!」と宣言し、建設的手段として「明日、白日や三姉妹と暗神神社に行くこと」だけを約束しました。
ハイ、これで月神さんが甘神宅に来て長々と講釈をたれた意味は、完全にゼロになりました。お忙しい中、嵐山からわざわざご苦労さまでした。
意気投合する上終達を遠くから見守る、狐面の巫女。鳥居の付近にたたずんでいます。
狐面の巫女は、すれ違う月神さんに「ずいぶん思い切ったねぇ」と話しかけます。狐面の巫女が言葉を発するのは、これが初めてです。その声はやはり…あの人に酷似していました。
月神さんは「ごまかしはいくらでも効く」と返しますが、これって「彼らに本当のことを話す気も、本気で助力する気もない」ってことですよね。私の怒りのボルテージが、どんどん高まってくのがわかります。
そして月神さんは不敵な笑いを浮かべ、「この縁結びは、彼らの人生の要となる」とつぶやき、己の兎面を取り出すのでした。
…もうダメだ。月神さんへの怒りが頂点に達して、ここで視聴をやめてしまいそうです。
何言ってんだ。あと15分程度で完結じゃないか。頑張れ、俺。
…ああだめだ、言わせてくれ!
他人を小馬鹿にするのも大概にしろ!
次の日、竹林を抜け、暗神神社へと向かう上終と白日、そして三姉妹。
その途上、三姉妹は「願掛けしたいこと」を語りますが、「ボン!キュッ!ボン!」だの「猫まみれ」だの「空を飛びたい」だの、荒唐無稽な夢ばかりでした。この世界の三姉妹は、上終とともに様々な試練を乗り越えてきたわけではないので、まぁ当然ですね。
しかし、あれだけ神社や神様を想う夕奈ですらこの有様とは、大変嘆かわしいことです。夕奈が神職に対して真剣になったルーツは、過去の甘神ママやおみっちゃんとの交流にあるので、この世界の夕奈も同様のはずなのですが。君がしっかりしないと、本当に市丸ギン北白川に召し上げられるよ、甘神神社。
その後三姉妹は「夢は自分の力で叶えるもの」という、上終の持論を口を揃えて発します。
この世界の三姉妹は上終のその思想には一切触れていないので、これは「三姉妹の心の底から出てきた意見」ってことですよね。
「無神論者の巫女がいる神社」ですか。やっぱりこの世界の甘神神社、ダメかも。
そもそも、夜重の「空を飛びたい」願いは、努力で叶うものじゃない気がしますが。「飛んでいる気になるようなものを作り出す」という意味かもしれませんが、夜重は別にエンジニア志望ではないようですし。
途中で三姉妹は「あとは二人で頑張ってね」と、引き返してしまいます。
じゃあなんで一緒に来たんでしょうね、彼女達。上終と白日は別に案内が必要だったわけではないはずですが。
まさか、「夢は自分で叶えるものだから」ってことで、願掛けがいらなくなったから、引き返すとでも言うの?ほんと薄情者しかいねぇな、この世界。
もしかして、先ほど言った「夢は自分の力で叶えるもの」って「あんたらのことはあんたらでやれ」ってこと?上終がそのニュアンスでその言葉を発したことは、一度もないはずですが。現に一話では、夕奈がなくした形見の紐を、夜な夜な探しに行ってくれましたし。
重ね重ね言いますが、元の世界のあなた方は、上終にメチャクチャ世話になっているんですよ。「あんたらのことはあんたらでやれ」なんて、そんなことも上終は一言も言ってません。それなのに、結局最後は突き放すというのは「やっぱり上終の話は信じていない」ってことになりますけど、どうなんでしょうか。
月神さんに次いで三姉妹までドロップアウトしてしまったので、致し方なく上終と白日の二人で、暗神神社に向かいます。
暗神神社は、元の世界と同様に、ひどく荒れ果てた状態でした。
どうやら鹿面の女は「世界を作り変えるついでに、暗神神社もでっかくしちゃう」みたいな俗っぽいことをする人ではなかったようですね。
「惨(むご)たらしいものだねぇ、人の縁ってのは」と、鳥居の上から語りかける者がひとり。
それこそがまさしく、鹿面の女でした。
暗神神社の主にして、白日の願いを聞き届け、元の世界とこの世界を結びつける「縁結び」を実行に移した張本人です。
白日は、鹿面の女に手を合わせ、「僕と瓜生を、元の世界に返してほしい」と頼みます。
鹿面の女は「それで後悔しないなら」と、意外にもそれを快諾し、白日に向かって黒々とした爪の指先を伸ばします。
そこに割って入ったのは、上終でした。
上終は鹿面の女に対し「そう易々と白日の願いを聞くはずがない」と鋭く指摘します。鹿面の女は、それを図星だと言い放ち、「元の世界に帰るということは、上終と白日は絶対に結ばれなくなるということだ。それでも構わないと覚悟を決めることが条件だ」と、念を押します。
月神さんの説明では、「次元はカップル単位」とのことでしたが、「その次元では、そのカップルしか作れない」ということみたいですね。
元の世界に戻って、上終と白日が強引に恋愛関係になろうとしても、地震が起きたり、雷が落ちたり、火事に見舞われたり、オヤジが出てきたりして、絶対にうまく行かないようになっているのでしょう。
直感的にヘンな感じはしますが、まぁオカルトの話なので、受け入れるしかありませんね。
鹿面の女がおもむろに指を鳴らすと、上終と白日、そして鹿面の女は、「ひときわ明るい青空が広がり、道の真ん中に鳥居がある」という光景に身を移されます。道の両端は果てしなく続いていて、先が見えません。
鹿面の女は、鳥居の上から上終に問いかけます。
これは「わかれ道」なのだと。一方に行けば、元の世界。一方に行けば、この世界。「好きな方へと進むがよい」と、上終に判断を委ねました。
ほう、ちゃんと事実を教えてくれるし、決断も本人に委ねてくれるし、鹿面の女って、見かけによらずいい人ですね。少なくともあの人とかこの人よりは。
今さら「好きな方」なんて言われても、行きたいのは当然「元の世界」ですよね。上終は元の世界に戻りたくて、今まであがいてきたわけですから。ここで「この世界」を選ぶくらいなら、最初から暗神神社になんか来ません。
上終も当然そう考えており、選択肢などないはずなのですが、そんな上終を惑わせる存在がひとつ。
それは鹿面の女…ではなく、なんと白日です。
白日は上終の袖を引き、「私は瓜生のことが好き!」と、今までひた隠しにしていた本当の気持ちを打ち明けます。
そして、「この世界にとどまれば、私達は一緒になれる」と、元の世界へと戻る意思を撤回して、上終とともにこの世界にとどまることを望みました。
あんた、自分のやってることがどういうことか、わかってる!?
この期に及んで、上終を惑わせてどーすんのよ。上終が本当は心優しく、苦しむ他人をほっとけない人柄であることを誰よりも理解してるはずの白日が、この大事な決断の場で上終の心を揺り動かそうとするなど、ハッキリ言ってわけがわかりません。
第一、「元の世界は『上終が三姉妹の誰かと結ばれる世界』である」ことと「この世界は『上終が白日と結ばれる世界』である」ことの2点に対して、100%の保証ってまだないんですよ。その現状で、「どっちの世界がいいか」を論じるのって、ナンセンスじゃないですか?
極端なことを言えば、もしかしたらこっちの世界は「上終と舞昼先生が結ばれる世界」かもしれませんよ。今の上終と白日が恋人である設定は、「白日と破局した上終に舞昼先生が寄り添って、異性として意識しあう」過程かも知れないでしょ?
今のところ鹿面の女はすべて正直に話してくれていますが、やっぱりあの人とかこの人みたいに、嘘つきだったり、いたずらっ子だったりするかもしれないですよ。
ともかく、せっかく首尾よく元の世界に帰れそうになっていたのに、白日がゴネるため、上終も困ってしまいました。
上終は改めて白日に「お前の想いは受け取れない、あいつらを幸せにしてやりたい」とハッキリ宣言し、「元の世界」への道を選びました。
ここの表現、「三姉妹が好きだから、元の世界に戻る」ではなく「三姉妹を幸せにすることは、元の世界じゃないとできないことだから、元の世界に戻る」という落としどころにしているのが、本当に最高ですね。オカルト要素の力を借りて、白日を負けヒロインにすることなく、すべてを丸く収めています。
原作者・内藤マーシー先生は、恋愛描写になると突如人が変わったように素晴らしい脚本を書き始めるので、ホント油断なりませんね。私が本作の視聴を最終話まで続けられてきたのは、本作のこの「恋愛描写になると、唐突に開眼する」点が大きいと思います。
上終は本作のタイトルにかけて「甘神さんとの縁を結びたいんだ!」とも言いますが、「縁結び」という言葉が、我々の一般常識と、本作の作中で異なることが明かされたあとでやるのは、残念ながらいいやり方とは言えませんね。本作はまだ「タイトル回収した作品」の中には、入れてあげられないですね。
思いの丈を打ち明け、それで玉砕したのですから、今回ばかりは白日も納得するしかありません。
まぁ、タイミングは悪かったと思うけどね。上終が元の世界に帰りたがってる今言うから、断られちゃったようにも見えるし。
白日は鹿面の女に改めて「夢を叶えてくれてありがとう」と礼を言います。この期に及んでも、鹿面の女を加害者とは見ていないあたりが、白日らしいですね。
それに対して鹿面の女は「お前がどう思っていようが、元の世界に戻れば、お前の本当の夢は叶わなくなるぞ」と改めて念を押します。白日は「それでも、僕は瓜生と縁を結び続けます」と、鹿面の女にはっきりと誓いました。鹿面の女は無言で彼らを通すことで、その言葉に満足した意思を示しました。
うわ、やっぱりめっちゃいい人じゃん、鹿面の女。ほんとこの作品って「敵が聖人で味方がクズ」が一貫してるよなぁ。
元の世界へと向かう道を歩く、上終と白日。やがて道の出口にたどり着くと、上終はそこで白日に「またな」と別れを告げます。
白日はその手を一瞬引き寄せようとしますが、引っ込めます。そして上終と三姉妹の幸せを祈るように手を重ね、目に大粒の涙を浮かべたまま「またね」とつぶやきました。
ついに白日が三姉妹に対して、「負け」を認めた瞬間です。でもその心からは、どこか朗らかで、諦めと切なさが入り混じった、複雑な様相が伺えますね。
布団の上で目を覚ました上終。そこは甘神宅の中にある、自分の部屋でした。
しかし、三姉妹の姿が見当たりません。状況が飲み込めない上終は、慌てて家中を走り回り、扉を開けてまわります。
とある扉の向こうにいたのは、着替え中の三姉妹でした。一話で上終が三姉妹と初めて出会った際も三姉妹は下着姿でしたし、本作と下着は「切っても切れない縁」で結ばれているようですね。そんな縁いらないってば。
その後、上終と三姉妹は甘神宅の庭にて、バーベキューに興じます。その場には、白日はもちろんのこと、竹田さんやおみっちゃん、松ヶ崎さんなど、これまでに登場したサブキャラクター達も集う、本作の大団円とも言える陣容です。
どこから聞きつけてきたのか、なんと市丸ギン北白川まで来ています。「べっぴんさんに囲まれて、ええご身分ですなぁ」と上終に迫りますが、市丸ギン北白川が三姉妹のことを「べっぴんさん」と捉えている感じはしませんし、中学生の松ヶ崎さんに対して言うのも変なので、消去法で「まこちゃんとおみっちゃんはべっぴんさん」ということになりますが、しばらく見ない間に変わったなぁ、市丸ギン北白川。
バーベキューには、舞昼先生と月神さん、そして白日も来ています。
舞昼先生は市丸ギン北白川を「みーくん」と呼び、京都伝統産業組合の頭取にまでなったことに感心しますが、君達も面識あるんだね。舞昼先生どんだけ顔が広いんだよ。
舞昼先生と月神さんを見た市丸ギン北白川は、逃げるようにその場を去ってしまったので、どうやら両者の間にはかなりの力関係があるようですね。まさか市丸ギン北白川もきせき園の出身とかじゃないよね…?
上終は白日とも顔を合わせますが、すぐに三姉妹に呼ばれてしまったことで、あまり言葉は交わせませんでした。
釈の問題でしょうが、ここはちょっと白日がかわいそうな感じがしましたね。せめて何か一言、例えば「あの時はごめんね、これからも友達としてよろしくね」みたいに言わせてあげれば、だいぶ印象は違ったと思うのですが。
木の上には狐面の巫女、家の中からは千鳥さんまで出てきて、いよいよ大団円の様相を呈してきました。
このメンツだと松ヶ崎さんがちょっと居心地悪そうなので、朝姫は適度に配慮してあげるべきだと思いますが。
かくして、上終と白日の異世界探訪は終わりを迎え、再び元の生活に戻ることができました。
それもこれも、上終と三姉妹との絆、そして白日の覚悟がなせた奇跡です。不思議な日々の中で彼らが紡いだ縁は、これからも末永く続いていくのでしょう。
本編は以上です。
これにて、アニメ「甘神さんちの縁結び」は完結となります。
これまで感想記事を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。深くお礼申し上げます。
原作漫画の方はまだまだ続いており、朝姫や夕奈の過去など、明らかになっていない要素も多数残っているのですが、そこは本作の2ndシーズンに期待するほかないですね。
各話の感想記事は本記事が最後となりますが、本作全体の感想や総評を行うほか、コラムと称して本作のさらなる考察や考証等を行う構想も、うっすらとですがあります。もうちょっとだけ続くんじゃ。
素晴らしい作品を世に放ってくれた原作者・内藤マーシー先生や、原作漫画とアニメのスタッフ等、本作に携わったすべての方々に対しても、感謝の意をここに表します。本当にありがとうございました。
本話を含めて色々とキツいことは言いましたが、本作を視聴し、その感想記事をしたためる日々は、とても幸せなひとときでした。
またいつか、お会いしましょう。
本作が結んでくれた「縁」を信じて。