【本】今日の一冊…本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』 | クズレコハンター下手のパンダはただ今授業中~ロックと映画とアイドルと…~

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Finolia Girlsの皆(特にSurvive-ZERO)、元SDN48の野呂佳代さん、AKB48チームK卒業生今井優さんを応援し、チームBの片山陽加さんも応援している日本語教師が仕事や趣味について語るブログ。


こんばん優☆ & こんばんポノック♪




ライブ帰りにたまたま立ち寄った書店で見付けて、自分の
仕事に役立つところがあるのではと思い買ってみました。

けっこう頭を使う本で一気に読むわけにはいかず、冬休みの間ちびちび読み進めて先日やっと読了。


「なるほど!」と思うところもあれば「そうかなぁ?」と
思うところもあり、中には「う~ん…」と思うところも。

でも、全体的には日本語の文章の書き方について考えるいい機会になりました。



特に『修飾する側とされる側』や『修飾の順序』『助詞の使い方』は、
自分で文章を書いたり学生の作文を添削する際かなり参考になりそう。


その中でも『助詞の使い方』で触れられている『接続助詞の「ガ」』は、自分もブログで
ついつい使ってしまい、後で読み返して「使い過ぎだな~」と反省することがあります。

なので、なるべく更新する前に読み返して「ガ」を使わなくてもいいと
思われる部分は直したりするんですけど、意外と大変なんですよね~。


また『無神経な文章』の中の『繰り返し』や『リズムと文体』の中の『文章のリズム』は、
自分も日頃から気を付けていることで、やっぱり大事なことなんだなと改めて思った。



それと、学生がやたら日本語と英語を比較したがって、こちらもつい「これは英語では○○」と
いった説明をしてしまうんですが、この本を読んで、それはナンセンスなことだと感じました。

日本語と英語は全く別の言語なわけだから。


英語が母語でない学生でさえ英語を中心に考え、教える側も英語で
どう訳すかを考えてしまうのは、あまりいいことではないのかも。



個人的な経験から言わせてもらうと、たまに学生から

I miss you.

は日本語で何と言うかと質問を受けることがあります。


これが本当に困るんですよ…まずこの場合の『miss』に相当する日本語がありませんから。



仮に『miss』をそのまま『miss』として『私はあなたをmissします』としてもなーんかおかしい。

仕方なく『あなたに会いたい』とか『あなたがいなくて
寂しい』とかいった風に訳すんですが、学生は不満顔。


でも他に訳しようがないんです。

要は英語と日本語(恐らく学生の感覚からすれば英語と緒外国語)は
常に対応していると考えるからこういうことが起こるんでしょう。



もう一つ例を出すと、『水』と『お湯』があります(これ前にも書いたかな?)。

『水』は英語では『water』、ところが『お湯』は英語では
『hot water』となる。一次語と二次語の違いってやつです。


だからほとんどの初級の学生は『お湯』と言うべきところを『熱い水』と言います。

それは『お湯』と言うんだよと訂正すると、大抵の学生は「?」という顔になる。


英語は英語、日本語は日本語だよと説明して納得する学生もいれば、しない学生もいる。

ただ言えることは、こういった切り替えが早い学生は伸びるのも早い
ということ(韓国の学生などはまた別の理由で伸びが早いんですが)。



おっと…ちょっと自分のが長くなっちゃいましたか。

まあ、かように頷ける内容がある一方で、いくつか気にかかる部分があるのも確か(特に後半)。


例えば、体言止めが下品としても、どうして下品なのかということに関しては説明がない。

確かに使い過ぎると文章の歯切れが悪くなるのは感覚的に何となく
分かる。でも、じゃあ具体的に何が悪いのか説明して欲しかった。



それと紋切り型の表現の項での、ある投書を評する際の『ヘドが
出そうな文章』という、その表現自体が既に紋切り型なのでは?

『ヴィエトナム』より『ベトナム』の方がいいと言いながら
『ウォッチ』より『ワッチ』の方がいいとはどういうこと?


仮に『うれしうございます』が正しくて『嬉しいです』が誤りだとしても、日常的に
使われている生きた日本語を教える立場として、学生にそう教える訳にはいかない。

まぁ完璧な文法解説書なんてないだろうし、大切なのは本に書いてあることを
鵜呑みにせず自分なりに考えることでしょうから、突っ込みはこれぐらいで。



ただ、文章を書くことについて本当にいろいろ考えさせられたことだけは確か。

そういう意味では読んで良かったし、今後の自分の仕事にも生かしたいと思ってます。


以上、ヘドが出そうな文章で失礼しました。

では、今日はこの辺でおやすミサティ★