調査官調査に立ち会う理由のその3~調査報告書ってどんな感じ? | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

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石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

1.
前記事
子の監護が問題になる事件と調査官調査について・・・H24.7.6訂正
家裁調査官ってそもそもどんな人達なの?
調査官調査に立ち会う理由のその1~いろいろ参考になるから!
調査官調査に立ち会う理由のその2~依頼者の話すことをその場で全部聴きたいから!
調査官調査に立ち会う理由のその3~僭越ながら依頼者のために調査官をお助けしたいから。その1
の続きです。

2.
 ずっと記事をお読みになっていた方は,すでにご理解されていることと思いますが,私は,基本的に,調査官の調査や調査結果報告について,とても高く評価しています。
 もちろん,そうでない場合があることも私はあると思います。
 また,当事者の方で,調査官の調査報告に対して納得のいかあい気持ちを抱いた方は,私の上記の言明に対し,「いや,そんなものではない」とご自身の体験を元にした違和感を感じたり,違う考えをもたれたりすることもあろうかと思います。
 そういう場合もあることを承認しつつ,私は,まず,先のように調査官調査についての私の基本的な考えを明確にしておくこととしました。

3. 
 ここで,調査報告書がどのような構成になっているかを見てみましょう。
出来上がりの形から,調査とはどういう風に進み,どのようにそれが報告されるかが分かります。 
 そこからいろいろなことが分かります。
 具体的に理解していただくため,離婚の調停(夫婦関係調整調停)で,子の親権や離婚前面会交流が問題になって,調査事項を「子らの調査」とした調査報告書を例に,その構成を紹介します。
 もちろん,フィクションですし,全てがこの構成だというものではありません。
 また,後に引用しやすいように私の方で,適宜項目をふります。
 さらに,内容の記述のない,構成(見出し)を表示するものなので,私の方で,分かりやすいように,適当に,見だしを作成しています。

 「理解のための模擬調査官報告書・構成説明」

として理解して下さい。


第1 表紙

 調査経過が簡単に記載されています。
 例えば,こんな具合です。

平成○年○月×日 申立人と当庁において面接
平成○年○月○日 相手方と当庁において面接
平成○年△月◎日 申立人宅において,二男◎◎の様子を観察(申立人が同席)
平成◎年△月×日 申立人宅において,長男◎△と面接

第2 関係者一覧

 調査にかかる人間関係が家系図的に表現されています。
 人間関係を一望できます。分かりやすいです。

第3 子らの監護状況及び監護態勢

 申立人及び相手方から聴取した内容は次のとおりである。

1 子らの監護状況

(1)調査の結果確認できた子らの監護状況概要
(2)同居時の子らの監護状況についての当事者陳述要旨
  ア 申立人の陳述
  イ 相手方の陳述

2 各当事者の監護態勢 

(1)申立人の陳述
(2)相手方の陳述

第4 子らの状況

1 子らの状況
 申立人及び相手方から聴取した内容は,以下のとおりである。

(1)長男
 ア 現在に至るまでの状況
 イ 性格,行動傾向
(2)二男
 ア 現在に至るまでの状況
 イ 性格,行動傾向 
(3)参考事項

2 申立人宅訪問結果
(1) 二男の観察結果
 ★幼いので行動を観察していろんな様子を見るわけですね。
(2)長男との面接結果
 ★年齢や会話能力があるので面接調査という表題になるわけですね。しかし,その内容は,子が話した内容にとどまらず,子と会ってから別れるまでの状況がとても詳しく書かれます。
 調査官が,どこでどのようにして長男と会い,それからどうなってどうなって・・・・と物語的に記述されます。その中で,長男が言ったことがあれば,物語の中の一場面の中で記載されます。

第5 調査官の意見

 その事件で問題となっているテーマに応じ,第2から第4までで確認した事実関係を踏まえて,調査官が,いろいろな観点から分析・検討を加えていき,そして,その問題についての調査官の意見を記載します。

                                  以上
4.
 「調査官調査に立ち会う理由のその1~いろいろ参考になるから!」で,コメントにおいて,調査官に話したいことがあるのに聞いてもらえないときは?という質問がありました。その方が弁護士委任されている方でしたので,簡単に,「代理人弁護士に聞いてもらえばよい」とお答えし,いくつか書いています。
 次の記事では,このことをさらに突っ込んで分析します。