東武鉄道が昨年リリースした新型フラッグシップ特急電車「SPACIA X」。その甲種輸送を撮りたいと半年以上にわたって呪文のように唱えていた年明けのある日、3月の初めに運転されると噂を聞いていつものUKとEF210大好きクラブ会員の後輩とで協議に入りました。

スペーシアが作られるのは山口県下松市にある日立製作所笠戸事業所。甲種輸送は下松甲種こと第8862列車で、二日間かけて東海道線の横浜羽沢まで走る事になります(横浜羽沢より先は深夜のため撮影は割愛)。

誰車でどこまで行くか侃侃諤諤の議論の結果UKのレンタで私と2人の遠征に決定しました。そして同時に、ついに完成した車体がYouTubeに公開されて「いよいよか!」とワクワクを抑え切れなくなりました。

信頼できる情報筋から3月5日に下松発と聞いて日程調整に。また2編成同時に輸送するらしく、余計テンションが上がりました。


撮影地の下見やら場所取りも考えましたが、ヲタクの貧乏旅行なので下松まではオール下道という拷問みたいな行程。高速課金は追っかけ時のみにして極力お金を節約します。私は最悪2日目だけでも良いわ、と思っていましたがUKの方が西の果てを目指すロングドライブに燃え上がってしまい、長い物には巻かれよのノリで便乗決定。

3日の昼に下今市を出て、所々で休みながら甲種が発車する前の5日昼には着いていよう、というテキトーなスケジュールです。宿代もケチるために基本カーマルヨとなるので、引っ越し先の相模原に寄って布団を積み込む事にしました。


LRT試運転を撮影した翌日は実家に籠って英気を養い、迎えた出発日。車種未指定で予約したUKは見事ヤリスを引き当て、下今市のベイシアで食糧調達した後に私を迎えに来ました。

この時、別の目的で関西に行っていた別の栃木メンバーのみやくり氏からLINEが入り私が「乗る?」と訊くと「都合合うなら乗りたいwww」と返信。参加者が3人になりました。


なるべく買い食いをしないために家にある食糧をありったけ持ち出し、いつもの撮影機材を詰め込んでいよいよ出発。新4号〜環七〜246を経由して日没と同時に相模原に到着し(5時間乗りっぱなし)、タイミングが良かったので夕食と風呂を済ませて20時に再出発。一路西へ向かいます。

私の運転では安心して助手席に座っていられないUKが終始ハンドルを握り、246号で御殿場線に沿って静岡県へ。富士山麓を頭文字Dして国道1号に入り、片側2車線を快走して行きました。左手に駿河湾、右手に東海道線が見え、地元の新型特急電車がこの線路を向こうから走ってくるんだなぁなどと思ったり。ただほとんどの区間は寝てました(怒涛の峠攻めは流石に覚醒)。



天竜川を渡って浜松市に入ったところで小休止。ガソリン残量を見て豊橋あたりで給油する事にし、トイレを済ませて運転再開。寝ている間に豊橋に着いていました。

みやくりとは大阪入りする5時以降に合流する事にしました。給油を済ませて再び眠りにつき、目覚めると大阪の街中を走っていました。何のバグだこれは。


十三駅前で待っていると本当にみやくりが現れました。早朝の大阪で地元の知り合いと再会するって何事だよ。

この日は所々で撮影をしながら西進します。まずは兵庫で引退を控えた和田岬線の103系を拝みに行きました。朝の国道2号を神戸線と大阪湾に沿って、ここがスマシオだここがタルマイだ、などと有名撮影地を見て感動しながら走行。渋滞がすごいので神戸までの短距離(?)でも時間がかかりました。和田岬線沿いには葬式鉄が大量にいましたが、日が差していて面トップになるので撮影せずに見る鉄。色んな人がVカット撮ってるのをTwitterで見て満腹なのでwwwwww


次の目的地は岡山市街地。ここには岡山市電が走り、東山線にはかつて日光軌道を走っていた車両が現役で運用されています。


日光軌道は1910年から1968年まで日光駅前から旧日光市街地を通りいろは坂の入口にあたる馬返までを結んでいた東武鉄道の路面電車です。かなり昔に滅んだので遺構と言えるものは国道120号の広い道幅や神橋前の橋台ぐらいしかありませんが、東武日光駅前に当時の車両(静態保存)が設置され、東武バスにも路面電車風の改造が施された車体がデビューするなど、かつてそこに鉄道があった事を今に伝えています。


主力車両だった100形が日光軌道廃止後に岡山へ譲渡され、2両が現役、うち1両が日光軌道時代の塗装を纏っています。それも定期運行ではなく期間限定となるため貴重な存在らしい(非冷房車のため夏季は運転されない)ので、本日のメインディッシュとしました。


兵庫県の都市部は大量の信号と朝の渋滞でノロノロ脱出。姫路市を過ぎてやっとペースが上がり10時過ぎに岡山県入り。岡山市電の東山車庫には11時に着き、モノが出庫するまで15分前ほど余裕がありました。街中なので車を置いて徒歩で撮影。お昼時の2往復しかないので沿線を右往左往しながらカメラを向けました。



月に一度の運転とあって撮影者は多く、人が少ない所で適当に。



こちらは同形で真っ黒なラッピングが施された3007号(もと東武105号)。2両を撮らんとする同業者は想像以上にたくさんいました。



岡山駅前からの返しをド正面で。譲渡後に改造されたパンタグラフを誤魔化してなるべく日光軌道っぽさを演出したつもりです。


もう少し歩いて2往復目を迎撃。橋の上から交差点を圧縮してみました。



消灯……


返しは同じ立ち位置から岡山城の天守を入れて最後の1発。



古巣から遠く離れた地で最後の活躍を見せる電車。おそらくそう長くはないので撮れて良かったです。


お昼はUKとみやくりがマックのモバイルオーダー、私は家から持ってきたパンを食べました。買い食いは夜まで我慢します。

この後も更に西進を続け、県境を越えて東福山で2度目の給油。三原市内で日没を迎え、真っ暗で狭い山道を越えて広島市に入りました。この日のうちに山口県には行かず、広島市内に適当な場所を見つけてマルヨする事に。2日間ぶっ通しで運転してきたUKにも休んで貰わないといけませんから。

市街地をひと通り見て回り、五日市にあるスーパー銭湯に入場。生き返りました。


施設には食事処も併設されていたので夕食はそこにしようと思いましたが、温泉でゆっくりしすぎて閉店wwwww

仕方ないのでしばらく休息スペースでゴロゴロし、少し移動して深夜までやってる丸源ラーメンに入場。初めて食べたけど美味かったのでリピーターになりますね。


良い時間だったのでマルヨできる場所を探し、国道2号バイパスの佐方SAに停泊しました。


ここまでが前日のお話。とんでもない所まで来てしまいましたが、翌日は下松まで行ったら静岡県まで900kmほどの追っかけレーシングが始まります。次回もお楽しみに!!!