二俣川の駅でバスを待っていた

遠くに傘をさしている人が見えた

会社を出る前に見たヤフーニュースに「突然の激しい雷雨に注意!!」の記事を思い出す

遠くの空は真っ黒な雲が覆っていた

 

バスに乗る

いくつかの停留所を過ぎていく

空は暗いがバスの窓には雨粒一つついてない

何とか雨に降られずに家に帰れるだろう

バスの揺れに合わせるようにして眠りかけた

 

あと三つ目で降りる頃

目を開けたら、もの凄い嵐

私の乗ったバスは嵐に突入した

バスを降りた人がさした傘が思いっきり裏返ったのが見えた

傘を持っていない女性は走っていた

諦めたように歩く子供もいた

 

もうすぐ停留所に着く

当然傘など持っていない

地球のお洗濯に付き合うのもいいかな~

走ったところで 濡れるのは必至だしな~

あるがままを受け入れる体制バッチリの私だった

 

バスのステップを降りて雨の中に

洋服はいいけどお気に入りのGUCCIのバッグは濡らしたくないな

ジャケットの中に入れてわきに抱えるようにして歩いた

 

『良かったら傘に入りませんか?少しの間かもしれませんが。 雷怖いですね。』

「あ、ありがとうございます。ホント怖いですね。」

『私はこの道を真っすぐ』

「私は直ぐそこを曲がります。ご親切ありがとうございます。」

数メートル雨に濡れずに歩いた後

また雨の中に

 

なんだか走って帰るのがもったいない

見知らぬ男性の親切に 心が温かかった

後ろから傘をさしかけてくれた人と少しの間並んで歩いた

ほんの一瞬の出来事で私はその人の顔さえ覚えていない

 

玄関について空を見上げると 流れる雲の上にほんの一部だけ青空が見えた

風が雲を流して雨も上がり始めていた

突然の雷雨がこんな素敵な出来事を運んできてくれるなんて

想定外!!!!!!!

いい女は得だな~(笑)