久々に公演後記を!





本ブログではネタバレを含みますので、配信鑑賞を控えている方には推奨できません。
また、作品は観たものがすべてだと思います。余計な裏話とか好きじゃないよという方にもおすすめできません。
そして、舞台の疲労と酒で脳味噌がドロドロになりながら書いているので、誤字脱字祭りになるのは間違いなしです。許してください。
ではでは、演出視点での裏話をつらつら書き記していきます。



まずは、稽古場ではどんなダメ出しがあったのか、また僕が何を気にしていたのか、一部抜粋してチーム毎に載せてみます。

【ラットケージ】+烏野




・守谷、最初は、抜けた気のいいオッサンの感じで
・猿飛、デフォルメされた感じの、執事みのある感じで
・石川デレる時背中向けてほしい
・相川、「ほーらね」の所、烏野とすべて同じ動きで
・美輝がツムに殺されそうになっているところ、紗良以外リアクションなしでOK
・美輝、影芝居うるさいけど抑えないで。うるさいけど
・紗良、ギャンブルに熱中しすぎ(石川猿飛の喧嘩)
・紗良、ギャンブルに熱中しすぎ(石川猿飛の喧嘩)
・紗良、ギャンブルに熱中しすぎ(石川猿飛の喧嘩)
・紗良、舞台上でモノ食べちゃダメ(マシュマロ)
・紗良、舞台上でモノ食べちゃダメ(なんか別のお菓子)
・紗良の出身地と美輝の出身地が違う設定になってしまう方言禁止
・ツムが無視されたあと、紗良との会話が完全にオンになってる(うるさい)
・石川と猿飛で烏野を追い込み漁してほしい
・烏野、「これ良かったら使って」の時の顔面、もっとイキリ倒して
・烏野、フラれエピソード言えたら、自己紹介はもう何言っても良い
・守屋、烏野にアドバイスするシーンと裏切りのシーン同じ立ち位置で、肩叩くのも同じ動きで
→個人的に好きなシンクロ。(配信観て確認してほしい!)

【警察】+烏野




・馬場がそのIQだと斎木もIQ下げなきゃならない
・馬場、バカ方向よりも熱血多めで
・馬場の目バキバキを斎木拾ってみようか
・(馬場が休みの時)じょーが一人で馬場の代役をしてる
・(斎木が休みの時)キックが一人で斎木の代役をしてる
→警察コンビも要所の台詞を変えていたので、相方不在の稽古は、一人二役で乗り切ってました(台本外して)
・キックが毎日、本物の食パン用意してて怖い
・烏野「シャーロックとホームズは同一人物」の台詞、凄い被害者のように
・烏野「警察でもない」足そう
・転換で個性を出すな
→なぜか衣装+小物用意してたり、前歯出したりしてた



【スネークアイズ】+有働




・(本読みをベジータで乗り切った後)かっしーさん。あとで役作りについて話があります
・シンがユンをバラバラにしてた
→最初の登場シーンで二人を稽古をするところにて
・窓ガラスは舞台セットにないので、窓ガラスに突入する芝居はしないで
→シン、ユン、ベルが「パリーン」と退場し、なぜかマンバだけ普通に帰ってた
・スネークアイズがずっと嘘ついてた
→記憶がないメモ。多分嘘ついてたんだと思う
・アナ、スマホを逆さにして通話してた(知ってますって反論された)
・君たちは!犯、罪、集、団!ねえ!わかる?仲良すぎなのよ!
・先週BBQ行ってきたかのような、アットホームな職場になってる
・誰とは言いませんが、このチームに一人雑魚がいます。りんこさん、すぐ笑わないで下さい
・ベルも便乗したらお終いよ
・今日はスネークアイズが爆発してる
・武漢の舞、アナとユンは花が散るように倒れて
・有働、できるだけ白目でいて。
・有働、顔面揺らすと白目が認識できないから顔面は空中に固定して


【バンドチーム】+烏野+有働



・あーあ早速ハッチさんの脳味噌溶けてるや
・バンドメンバーの1/2がおかしい
・ポーをボスって呼ぶと色々おかしくなる
・ジンがシャ〇打ってる
・ジンのせいで味が薄くなってる
・プロローグ、このままだと失神しちゃう人出るよ
・ファミレスのシーン、烏野出るまでがなげえ
・明日までファミレスシーンやろうとしてるよね?
・エリ、「家族は楽器でしょ?」これ意味合い変わりすぎる
・トミーもうちょっと椎名林檎というか、ロックな雰囲気の観てみたい
・椎名林檎は桃井かおりではありません
・トミーは妖怪じゃない
・トミー、ピストルの出しどころを探すな
・誰かトミーのバック確認して!ピストル入ってるぞ!(メモではなく発言)
・ポー、オチ台詞で勝手に「BAD GUYS BAD LUCKの続編」の宣伝しないで
・ポー、オチ台詞で勝手に自分を真のボスにしないで
・ポーがジンをポーって呼び出したらお終い
・ファミレスのシーン5/5が変になっちゃだめよ
・チンチラの素揚げが、最早普通のワードに聞こえてきた
・エリ、普通にシーンが進行して嬉しくなりすぎてる
→2回目のファミレス
・20過ぎの女性に便器被らせたらもう終わり
→これは本番のやつ。



とまあこんな感じでした。(ラット以外変なのばっか抜粋したけど…)
ラットケージはキャラクターとか、見方の提示に気を使った感じです。
バンドはお客さんの脳を溶かしすぎないように心がけて、一方警察とか有働は仕組みで笑い取りたいなーと考えてました。
スネークにももっとコメディシーン入れようかなと思ってましたが、稽古やってみると「あまりに笑いが多くてもなあ」と思い、悪としての説得力を意識した感じ。
ちなみに、僕はキャラが変わっても、台詞が変わっても、役(役割)から降りないことが重要だと思ってます。
どんな作品にも粗はあって、揚げ足取ろうと思えば取れます。
でも、コメディーリリーフが緩急をつけたり、縦軸を担うキャストの「板の上での在り方」によって、粗も味になるのかなあと。
ガチャ×2企画の味が届く演出ができたなら幸いでございます。



ということでここからは
【スタッフさんすげえよ本当にすげえや】の話し


13日にキャストが体調不良となったため、14日昼回のみ大事を取って上映会に。
となるとどんな事が起こるか、スタッフさんの紹介と併せて書いていきます。

①「スクリーン垂らさなきゃいけない」
→映像の山下哲平さん(劇団ラパン雑貨ゝ)がスクリーンとプロジェクターを用意。ちなみにうちにもあるけど、ラパンさんのルーメン数が桁外れに高性能。
しかもラパンさんの照明谷川さんが茅ヶ崎まで取りに行ってくれたんです。
ホスピタリティー精神がえげつない。
ちなみにこの団体、舞台に必要な全てのポジションが揃ってます。「旗揚げ公演したいけどスタッフさんいないよー」「いつもお願いしてるテクニカル、今回NGだどうしよう!」なんて方はラパン雑貨ゝさんに依頼すればどうにかなります。

②「スクリーン垂らさなきゃいけないってこたあ照明ずらさなきゃやんけ」
→こちらは照明チームヘリウムスリーさんが対応。
土曜日のみ、オペレーターの繭乃さんと稲澤さんのみのはずが、急遽プランナーの沖野さんが朝に対応してくれました。ホスピタリティーの塊。
公演中に灯台動かす事の大変さってえげつないわけですよ。
場当たりもできないし、制限時間全然ないし。でもスクリーン優先で、とにかく「成立させるんだ」って気概で対応してくれました。
ちなみに、プランの沖野さんが「殺陣のシーンもっといけると思うんですよね」ってずっと言ってた。目がバキバキで怖かったけど、頼もしかったです。

③「プロジェクターからの音を劇場内に反映させなきゃいけない。でも生歌もちゃんと聞こえないといけないから大変!」
音響SーCRaTの田中さんことチャパさん。
映像から拾った音を劇場に反映させるわけですが、これまた面倒な仕事なわけですよ。
なのに、なんてことない顔で仕事しつつ足りない箱馬運んでくれたりするし、僕が余分な箱馬持って来たら真っ先にいじって来るし、柔道二段の僕より多く箱馬持てるし。(やべえ箱馬の話しばっかだ)
プレイヤーとしても色々出演されるみたいなんでXをチェックしてよ!おもろい人だからさあ!
ちなみに初日回か、13日昼回を上映するか迷っていましたが、バンドチームの演奏シーンの音質判断はチャパさんに丸乗っかり。
何せどっちも良いからよお!
興味ある人は、配信で複数公演観て聞き比べしてほしい!

④「そもそもスクリーン吊ったり、全てのスケジュール調整をしたりするのは誰よ」
こちらは舞台監督の渡辺純平さん(JAS)がやってくれました。
ちなみに僕を舞台監督と思っている方もいるようですが、 
https://meaning-difference.com/?p=23525 
これを読んで頂くと演出との違いがわかりやすいかもです。
ちなみに、13日夜回に舞台上に出て中断のアナウンスをしてくれたのが渡辺さんです。
この方がすべてのセクションの段取りをつけて、自身はスクリーンをつけてくれました。
上映会当日はどう考えても時間ギリギリで心臓バクバクでしたが、いつも通りのテンションで、「トラブルなんって一切ないですよ」みたいな顔してた。

⑤「これだから制作さんには頭上がらない」
今回も「フクシマを探せ」とかやってくれたり、人員の少ない中で大忙しの制作チーフの手塚さんと佐藤凛さん。こちらもラパン雑貨ゝのお方。
僕と業務的な関わりはそこまでないのですが、本当に気が利く方たちです。
上映会当日に、「この席に人来たらプロジェクターの投射に干渉するじゃん」と気付き、A4用紙にバッテン印つけて貼り付けようとしました。そしたらすでに「この席は座れません」的な用紙を作ってくれていて、用紙を用意してもらった分無駄な仕事を増やさせてしまいつつも「先に全部気付くのすげえなあ」と。
ちなみに出演者の柏木さんもラパン雑貨ゝで、この方が稽古や本番ではしゃぎ出すと、山下さんと共に謝罪してくるのがおもろかったです。



⑥上映会とは別で小道具の佐藤千里さんもご紹介。
本当はナイフ作ってもらうくらいのオーダーだったのが、どんどん大量に依頼してしまい絶対絶対ご迷惑おかけしてしまいました。
特にドラムに関しては、まじで意味不明なオーダーしていて、「人間にたたきつけるドラム」という聞いたことのない形容詞で、絶対悩ませたと思う…。
ちなみにドラムは紙を張り付けるだけじゃなく、「割れたあとのギザギザ」も作ってくれました。お客さんから反応あって本当に良かったです。



⑦美術の木之枝棒太郎さんもご紹介
今回も素敵な美術を創ってくれまして。下手(向かって左側)のパネルに関してはニッコさんの想いが強く反映されております。けど、敢えて下手側に持ってくるとは…!
忘れてはいけないのはファミレスで登場する可動式平台のアイデア。
これは舞台監督の渡辺さんと共に頂いたアイデアで、本来平台の長辺の長さは6尺(181.818センチ)ですが、今回5尺9寸8分(記憶がおぼろげ)になっていて、隙間に足は取られないけど仕舞う時にハマりやすいという作り。あのサイズのアクティングスペースで、場面をあそこまで変えられるのは本当にすごいしありがたい。
あと、2階部分にドラム缶が置いてあったり、細かいとこも観てほしいやつです。

⑧衣装の柳瀬晴日(銃の悪魔)


今回も劇中ピストルを持ち出して(しかも二丁!)暴れに暴れてましたが、Xで衣装について書いてるので是非とも読んでほしい。
なんであんな繊細な思考を持ってるのに、ピストルを舞台に出しちゃうんだろう。変なの。

⑨殺陣師はおなじみのししこと宍倉弘忠
今回はスケジュールの都合で、ししが作ってかっしーさん(柏木佑太/劇団ラパン雑貨ゝ)が固めていく配置。
特に好きな殺陣はワンインチパンチ。弟子のユンが烏野に放って、師匠たるシンが追い込まれた所で放つのがエモすぎて最高でした。
あとシンは攻撃を足でカットしてくれとか色々オーダーしました。
ちなみに有働の殺陣中、脳内ギターが鳴るところとか、下村がマンバを倒したあとのガッツポーズのシャキーンって音は音響のチャパさんのアイデア。
本当にふざけたお人で最高でした。

⑩ダンスの振り付け(追記)
こちら完全に脳味噌死んでたので追記しました。
まず、僕はダンスについて爆裂知識もセンスもないので「かっこいい」「すごい」しか言えないド素人でございます。
その上でいつも振り付け師さんに基本全乗っかりでございますが、今回の振り付け師、新木美優先生(通称新木先生)がバキバキにやってまして。
「毎日稽古場にいなきゃこんな振り付けしない」と呟くほど、負荷がめちゃくちゃかかってました。
特にバンドチーム。
あんだけ本編でふざけ倒してるのに、ダンス稽古の際は何かに怯える子犬のような顔面してました。
ちなみに新木先生本人もダンスに入っているのに後ろの人のミスに気付き、ダメ出ししていたそう。
でも毎日キッズダンサー、ちびっこダンス講師等と言われていて可哀想。
あと是非確認してほしいのが、ダンスの照明。
キューの数が半端ない。まじで過酷な音ゲー。
配信で見て欲しい。




【最後に】




2020年3月、自分の団体の公演で「劇場が開かないかもしれない」という経験をしました。
その後、他団体の公演で演出に入った際、稽古期間にコロナになったキャストの降板も経験しました。
このキャストは全力で稽古に臨んでたし、対策もこれでもかとやってくれていて。本番ならギリギリ間に合う、でも場当たりには間に合わないし、残りの稽古も難しいということで、降板という苦渋の決断をしたのを今でも忘れません。そしてその役を僅か1週間で完成させてくれたもう1人のキャストも。


そして今回、ラストシーン直前、キャストの体調不良で中断という経験をしました。
彼は稽古で手を抜かないし、稽古休みの次の日には新しいアイデアを持ってくるやつで。
僕は初めましての方でしたが、主宰のニッコさんが何故彼をオファーしたのかすぐわかりました。

そんな彼が公演再開後、あの最高のパフォーマンスをしてくれたのは、本当に心の底から「役で在る」ことに向き合ってくれたからだと思います。

本来この作品の脚本は、感動や涙といった類いの空気感は皆無と言って良いでしょう。
だから演出もそこに寄らないものになります。
でも、彼の「皆と一緒にいたいんです」と言う言葉で、演出の考える小賢しい計算なんか吹き飛びました。

僕は、人間が限界まで考えに考えた論理をたったの一言でひっくり返されるのが堪らなく好きなんです。
そしてそれが出来るのは、きっと選ばれた人間だけでしょう。

そんな選ばれた人間が輝く瞬間を観るために、僕は小賢しい計算をして、理屈をこねくりにこねて回していこうと思います。


ちなみに彼が倒れたその日、病院で診察を待っていたら、血まみれの人が来て診察を後回しにされたそうです。


事実は小説より奇なり、タイトル通りの男。



以上公演後記でした。
ぜひ、またどこかの劇場でお会いしましょう。

舞台「BAD GUYS BAD LUCK」
演出 フクシマユウキ(猫ノ手シアター)


そして、こんな僕におひねりくれた皆様、本当に感謝でございます。こんな素敵な封筒まで用意してもらいました笑