間違いだらけの不動産選び
―自宅購入、不動産投資にひそむ数々の落とし穴―
一般の人には一生に一度の大きな買い物である自宅、お金を持っている人にも一生に何度かのことになる投資不動産。自宅購入に失敗した人は小損(数千万円以下)程度で済んでいるかも知れませんが、投資では大損をしている人がいかに多いか、私は資産を大きく減らしたり破綻した人を何百人も見てきました。それにひきかえ投資に成功した人はその何十分の一以下しか知りません。大書店に何十冊も積まれている「サラリーマンでも成功する不動産投資」たぐいの本はタイミングと商運に恵まれているごく一部の人のサクセス・ストーリーです。ほとんどの人には参考にならず、下手にまねるとほぼ失敗します。その不動産購入にまつわる「落とし穴」とは何かを私の知りうる限り順に述べていきますので、ぜひ皆さんのご意見を ブログに書き込み下さい。今後の不動産業界と日本の住宅事情の改善のために前向きな議論をして、皆さまに少しでもお役に立てれば幸いです。
返信が必要なご意見は下記メールアドレスまでお寄せ下さい
shimayuki4@ infoseek.jp
発信1-14 (2011.4.7)
うそつきで信用のおけない不動産業者・会社が多い
―「だましてばばをつかませたったわ」と喜ぶブラック業者―
とにかく不動産購入時に不動産売買仲介業者やマンション販売会社の言うことをまるごと信用して購入判断すると危険です。詐欺のような業者(ブラック)や契約時まで不利なことには触れない業者(グレー)が多く、悪いところも説明し買主に誠実に対応する業者(ホワイト)は少ないと思って下さい。上場企業系列はさすがにホワイトが多いのですがその分購入価格は高めになります。
防衛方法はただひとつ。自分がある程度の知識をつけるまで不動産会社の言っていることは半分うそだと思い、ひたすら自分が賢くなることです。そのためには買い急ぎは自殺行為と思い納得がいくまで仲介・販売会社に食い下がることが必要です。「賢くなるまで買うな」が鉄則です。読者が私のこの発信を読めばかなり賢くなられると自負しています。
次はパターン別のだましの手口を分類します。各論は各不動産種別で後日発信します。
[だまし手口の種別]
A. 売主に不利な重要事項を隠すないし契約時に明かす。
本来、契約より前に重要事項(宅地建物業法で定められた物件の価値に大きな影響をおよぼす事項)を説明すべきです。しかしブラック・グレー業者は契約と重要事項を同じ日にすることによって不利な条件を隠せるだけ隠し、契約日にさらっと説明を流し買主が気づかなければそれでよし、気づけば「何で今頃と言うのか」と自分が隠していた事を棚に上げる信じられない圧力を買主にかけて強引に契約しようとします。ひどいブラック企業はその重要事項説明に掲載すべきことも売主に不利であれば載せません。(明らかに宅地建物取引業法違反で契約後買主が違反を訴えれば業者はほぼ負けますが、訴えを脅してやめさせるつもりなのでしょうか。)
B. 売主が知っている物件の欠陥を隠す
中古物件では売主が個人の場合瑕疵担保責任を逃れる売買契約を結ぶ事が出きるので、売主側の仲介会社が強い場合はそのような契約になることが多くなります。ここで注意すべきことは、瑕疵とは「売主が知らない(ことが不自然でない)物件の欠陥」であり、欠陥(雨もり、ひび割れ、建物の傾き、過去自殺者がいた)を知っていれば瑕疵にはならず、売主はその欠陥の責任から逃れられないということです。しかし、ブラック企業は売主に「そんな値段を下げられるようなことは知らんかった事にして隠し通したらいいんですわ。」とそそのかし欠陥を隠したまま商談、契約することが横行しているのが現実です。
C.買主の要望や情報開示に対応しない。
中古住宅や投資物件購入時に売主が建てた建物の場合は、設計図面が残っていたり、修理履歴が分かっていたりしていて買主の情報開示の要望にも応えられる事が多いはずです。しかし、ブラック・グレ-業者は物件の調査に手間がかかるため買主の要望に誠実に対応しません。ブラック業者の場合は買主の調査依頼はほったらかして、契約予定日近くになって買主が「調査結果がでないのなら契約を延期してほしい」というと「なぜ約束の契約日をまもれないのだ」と逆切れして恫喝します。契約日はこの調査結果をもらってから6日後というふうにしないと、売主と売主側業者のペースで押し切られてしまいます。ブラック業者は買主が融資を受ける場合でも買主が悪い属性でも早く決済が出て金利の高い金融機関を紹介します。購入後高い金利を払う買主のことはどうでもよく、とにかく契約・決済させて仲介手数料を稼ぎたいだけなのです。
D.買主にうそをつく
今までのべてきたことは、まだましな方で究極のブラックはうそをつき買主をだますことです。新築の分譲マンション購入や建売住宅購入、自宅立て替えでは販売担当者がうそをついても他社のそれらと比較するとばれる場合が多く、少なくとも5社5物件を比較するとそう簡単にはだまされません。しかし、中古住宅や中古投資物件の場合はそうはいきません。うそをつく販売担当者の比率が多いからです。とにかく悪い事ははぐらかし、自宅用住宅土地価格や投資用物件の部屋の家賃は2割増しで高くいうぐらいは朝めし前、何重にもはりめぐらされた「うそ」のからくりを駆使して買主をだまします。「だましてばばをつかませたったわ」とはブラック企業間の褒め言葉です。
[ブラック企業が多い要因]
では、なぜウソツキで信用のおけない不動産業者・会社が多くなるかの要因について考えてみましょう。
一つは不動産会社社員の労働条件が悪い事があげられます。上場企業系列企業を除き、この業界の営業職は固定給プラス賞与・昇給査定という他業界で主流の給与体系が少なく完全歩合制に近い体系が多くなっています。特に賃貸物件の仲介営業、売買仲介の営業、建設業界になりますが、賃貸マンションを地主に立ててもらう営業はほとんど歩合給です。(固定給が20万円で他歩合という体裁を整えていても、固定給以下の成績が半年ないし1年続くと解雇というパターンが多く実質歩合給)さらにノルマが過大で利益の7割平均を経営者に吸い上げられ給与として取り分が3割前後しかありません。他の業界は約半分が相場ですから明らかに不動産業の社長がもうけ過ぎですがこの体質は改善されていません。過大に成績をあげないと食べられないか首になるとなると、自然人間は理性を失い、客をだましても自分の営業利益をあげようとします。
第二は、日本独自の業界のルーツがあげられます。欧米では不動産業界は金融業界に近く、資産コンサルタント的なインテリが多い業種でもあります。しかし、日本は明治以来建設業界に近く、その下請けとしてすでに住んでいる土地所有者や賃借人(たなこ)を追い出たりするいわゆる地上げ屋を兼ねることも多くありました。当時は立ち退き交渉よりおどし・暴力によるものが主流で、1980年代後半でさえ地上げ屋は活躍しました。おどしたり、暴力をふるえる人間がだまして不動産を売ることなど平気でできます。今でこそ地上げ屋系不動産業者の比率は減りましが、伝統の体質はなかなか消えず、「だましてばばをつかませたったわ」と喜ぶ業界人はまだまだ健在です。