南西読書 -2ページ目

blogタイトル変更

ブログ立ち上げて一週間もたたないのに、blogタイトル変更しちゃいました。

新しいタイトルは「南西読書」

シンプル・イズ・ベスト!


読書日記

藤沢 周平
用心棒日月抄

テーマ「読書日記」では、現在進行形で読んでいる本を紹介します。


最近読み始めたのが、藤沢 周平 『用心棒日月抄』 です。

一話完結なので、仕事の休み時間や待ち時間に読み進めるのにぴったりだし、なにより主人公が魅力的。


主人公の青江 又八郎は訳ありで、婚約者の父親を切って脱藩し、江戸に出てきた浪人。日々の糧を稼ぐ為に、用心棒稼業をはじめたんだけど、回ってくるのは犬の用心棒やら町娘の送り迎えやら、武士にはそぐわない仕事ばかり。それでも、それぞれの仕事には、色々な訳が隠されていて、解決するたびに人格がこなれてくる又八郎が格好いい!!


まだ一巻目の半分ぐらいしか読んでないのですが、脇役も酒好き大男の浪人、細谷や、口入れ屋の主人の吉蔵もいいキャラクターだし、登場人物同士のやり取りが面白くて楽しい。


多分この後には赤穂浪士の討ち入りがらみの事件に巻き込まれそう。

先が楽しみ!だけど、読み終わるのがもったいない。。。

全部で4巻あるようなので、しばらくは楽しめそうです♪


藤沢 周平
『用心棒日月抄』シリーズ

バガージマヌパナス―わが島のはなし

二冊目は、 池上 永一 の 『バガージマヌパナス―わが島のはなし 』です。


今年のゴールデンウィーク前後に、11泊12日の沖縄一人旅をしたのですが、それからどうも心ここにあらず。特に、八重山の離島での思い出が非常に強くて、また行きたい、島の空気を感じたいとネットで他の方の旅行記を読んだり、写真を見たり落ち着かない状態でした。


しかし、いくら情報収集をしても、自分がその場に行かないと、匂いをかぐこともできない、日差しの強さを感じる事もできない。もどかしい気持ちでいたところ、たまたま本屋で出会ったのがこの本。まったく予備知識なく、「さらっと読めて、明るい気持ちになる本(疲れない本)が読みたいわ~」なんて本屋をぷらぷらし、カバーと題名から、「ティーン向けの童話みたいなものかしら?」なんて手にとったのです。



ぱらぱらと立ち読みすると、ほんの数ページなのに島の日差しが、風景がその場を包んだようで、一気に引き込まれました。「わが島のはなし」なんてくそ真面目な題名から、田舎バンザイ教訓満載みたいな内容を思い浮かべしまったのですが、まったく違う。


主人公は高校卒業したばかりの、仲宗根綾乃(19歳)。

相当な美少女なのに、口癖は「わじわじーっ(イライラするっ!)


親友は89歳のオバァ、オージャーガンマー。南の島の美少女と、年の離れたオバァとの友情なんて、絵に描いたような心温まるお話になりそうだけど、なんとも一筋縄ではいかない人たちなのです。一言で言うと、ろくでもない!!(ほめ言葉です)


島で何にもしないでぶらぶらしていてる綾乃に、神様から「ユタ(巫女)」になれ、というお告げがきてしまう。ぐーたらでユタになるのは面倒な綾乃ですが、実は親友のオージャーガンマーにも若い頃、ユタになるようにお告げがあったのです。オージャーガンマーも、ユタになるのはまっぴらと、ユタにならなくても済むトンでもない行動をとったり、それによってバチが当たった事がある過去があり。このエピソードが、大笑い。オバァ、最高だよとひざをたたいて笑ってしまいます。


オージャーガンマーは、同じ間違いを綾乃にさせまいと、綾乃をユタにさせようとする。そして、島一番のユタで、守銭奴のカニメデは強力なライバルになりそうな綾乃を蹴落とそうと、やっきになる。大騒ぎで、面白くてこんなエネルギッシュなオバァになりたい!って思うこと間違いなし。


とくにカニメデのキャラクターがパワフルで、最高です。沖縄コザで、米兵相手にロックを歌っていたという過去を持ち、「うがんぶすく~(御願不足)」と拝みの押し売りに行く姿、神様とも対等に交渉する姿はなんともたくましく、憧れる。

神様は人のそばに存在していて、どちらもおおらか。


沖縄病(沖縄の魅力に取り付かれて、旅を繰り返す人。特に八重山)の人たち(私も片足突っ込んでますが)は、この空気を味わいたくて、旅を繰り返しているのでは、と思いました。


イライラした時に「わじわじーっ!!」っと呟いて、一人にんまりしているこのごろです。


栗原 まもる,
池上 永一
わたしの島の物語

※9月10日追記

よく見にいく『沖縄が好きプラス 』でこの本の漫画が取り上げられてました。

もともとは、漫画の原作として描かれて小説になったんですって。知らなかった~。

今度、読んでみようと思います。


バガージマヌパナス―わが島のはなし

栗原 まもる, 池上 永一
バガージマヌパナス―わたしの島の物語

旅に役立つ100冊


マシアス・ギリの失脚

記念すべき(?)第一冊目は、池澤 夏樹「マシアス・ギリの失脚」 です。


池澤 夏樹 に知り合ったのは、もう10年以上前。高校生の時です。予備知識なく、たまたま本屋さんで「きれいな名前だなぁ。」と手に取ったのが「スティル・ライフ 」。


空から自分を眺めているような感覚を覚える小説で、いろいろなもやもやを抱えた高校生にはこれを読む事でちょっと大人になったような、肩の力が抜けたような、気持ちよさを味わったのを覚えています。


この「マシアス・ギリの失脚」 は数冊目に読んだ本なのですが、一番繰り返し、繰り返し読んでいる本です。

架空の、南の島国が舞台。強い日差しの中にざわめく椰子の木、紺碧の海、珊瑚礁。物語の冒頭に描かれる、夜明けの空気感。南の島に対する、強烈な憧れを植えつけられました。


この物語の主人公は、南洋の島国 ナビダードの大統領、マシアス・ギリ。

ナビダードは、戦争中は日本の植民地で、大統領は日本政府と怪しいつながりがあり。日本から、慰霊団のおじいちゃん達がやってきて、彼らを乗せた「バス」が脱走してしまう。それがきっかけになったのか、島に流れていた不思議な空気がどんどん噴出してきます。


「バス」も意思を持つけれども、街の「広場」も意思を持ち、そこでささやかれる人々の噂、マシアスの愛人が経営する高級娼館での出来事、まるで双子のようなゲイのカップル。亡霊、日本政府の密使が暗躍し、いよいよ島を司る、政治よりもより大きな力が動き出します。


主人公のマシアス・ギリはとても複雑な人物。日本植民地時代に、少年時代をすごし、青年時代は戦争中に可愛がってもらった軍人さんを頼り、日本で暮らします。島に戻って、大統領にまで上り詰めるのですが、彼が何を目指していたのか何をしたかったのか、本を読み終わっても分からない。それでも、私は強い共感を覚えます。だって、生きていて、なんだか分からないけどその行動を選択してしまう事ってあるじゃない。


登場人物に感情移入するようなお話ではないけれど、まるで空から世界を眺めるような空気になってその世界の一部になったような気分を味わえる物語です。


池澤 夏樹の本
旅に役立つ100冊

南西読書

北海道在住の沖縄ファンが「本」をメインテーマにblogをはじめます!

写真は、今年5月に旅行した宮古島の海。

趣味の沖縄旅行や、温泉のお供にした本や思い出の本。旅心誘われる音楽や、温泉でまったり読みたい時代小説等をを紹介していきたいと思います。


宮古島の海 宮古島 比嘉ロードパーク (2005/5/1)

旅に役立つ100冊

旅に出たくなる本

沖縄に行きたくなる本