写真の世界というよりムービーの世界の話ではあるのですが、昨今境界があいまいになりつつあるので、きっと知っていると便利な話のうちのひとつを。
それはバッテリーの話。
いやバッテリーなんて各カメラで専用のやつがあるし、それ以外使えないじゃん…!
たしかにスチル機ではそうなんですが、業務用のムービーと関連製品の多くは、実は規格品を使っていて共通だったりするのです。
代表的なものを3つ、今日は紹介しておきます。
●Vマウントバッテリー

業務用ビデオカメラやシネマカメラでは、ほぼ標準とも言えるバッテリーの規格です。
電圧は14.4V(14V~14.8Vくらいまで表記の揺れはありますが基本は同じ)ですが、一部にハイパワー版で28.8Vのものがあります(対応機器でないと使えません)。
日本での業界標準は「IDX」社のバッテリーで、上の写真の「IDX DUO-C198P」はその中でもド定番のバッテリーです。
お値段は2025年11月現在、Amazonで79,800円…!!やはり業務用です!!
スペックとしては193Wh(14.54V/13.24Ah)となります。いまいちピンとこないと思いますが、例えばキヤノンEOS R6などに使われるLP-E6NHは7.2V 2.1Ahで15Whしかありませんから、このバッテリーでも実に13倍近い容量を持っていることになります。
さらに他メーカーでは400Wh近いような巨大なものまでありますから、文字通り世界が違います。

端子というかマウンターというか、この部分の形状がV字型なのでVマウントと呼ばれます。
世界的に見ると「Vマウントバッテリー」のほかに「ゴールドマウントバッテリー」というものもありますが、日本ではまず見ません。

こういう中型の業務用ビデオカメラ(ENGとも呼ぶ)に使われていたり…

CMや映画撮影に使う、こういった超高価なビデオカメラにも使われます。
カメラ以外では、大光量のLEDライトの一部機種に、これを複数個組み合わせることで電源として使えるようになっているものがあります。

バッテリーを左右に2個装着して、LED照明の電源として使うための変換装置
そしてVマウントバッテリーの多くには、補助出力端子として「D-Tap」と呼ばれる端子があり、こちらからもバッテリーの電力が取り出せます。
DC12Vくらいで動くもの…小型LED照明や液晶モニターなどはこのD-Tap出力を電源にして駆動することもあります。
さらに最近はUSB PD(Type-C)出力端子まで付いたものもあり、各種の変換プレートやケーブルなどと組み合わせると、文字通り「汎用モバイルバッテリー」に変身できます。
どんなものがあるのかは、Amazonなどで検索してみると面白いと思います。本当にたくさんありますので。
●NP-Fバッテリー
本来は25年くらい前にソニーの家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」用バッテリーとして登場したものです。正式には「"インフォリチウム"Lシリーズ」バッテリーと呼ばれ、Lバッテリーとも言われますが…ほとんどの人には通じません(笑)
その後、業務用の小型ビデオカメラにも採用されたため、業務用でたくさん出回ることになりました。
NP-Fバッテリーを使う名機「HXR-NX5R」は今でも街中ロケの超定番カメラ
そんな機種のバッテリーが流用できれば便利じゃない?という流れからなのか、本家ソニー以外からこのバッテリーを使う製品がたくさん登場し、バッテリーも互換品がありとあらゆるメーカーから発売され…という経緯で小型バッテリーの世界標準になってしまった規格です。
電圧は7.2Vで、おおまかに2セルの「NP-F550/570系」・4セルの「NP-F750/770系」・6セルの「NP-F950/970系」の3種類があります。セル数が多い方が大型になり重たいですが持ちが良くなります。
ソニー純正のNP-F550は1500mAh(10.8Wh)・NP-F970は6300mAh(45Wh)ですが、社外品ではさらに大容量を謳うものも多いです。
筆者の手元にある社外品のF550バッテリーは3000mAhと表記があります。
小型液晶モニターの電源としてオレンジ色のNP-Fバッテリーが装着された状態
丸形のLEDライトの電源としてNP-Fバッテリーを2個使用する例
小型LEDライト・電動ブロワー・5~7インチの小型液晶モニターの電源によく使われていて、値段も安価なので映像をかじった人なら必ずと言っていいほど持っているバッテリーです。充電器も安いですから、Vマウントバッテリーよりはるかに手を出しやすいバッテリーですね。
安価な社外品で発火したなどのトラブルは聞いたことがありませんが、あまりに安いものは容量詐称している可能性もある…かもしれません。
変換ケーブルを使って各種カメラの電源にしたり、USBモバイルバッテリーの代わりにしたりも可能ですので、持っていると何かと便利なバッテリーでもあります。
●LP-E6バッテリー
ここにきていきなりキヤノン純正バッテリー「LP-E6」が登場です。
なぜ?と思う方も多いかもしれませんが、実はこのバッテリーも半ば汎用バッテリー扱いされ始めていたりします。
キヤノンEOS 5D Mark IIから採用された「LP-E6」系バッテリーですが、登場から15年近く経ってもいまだに使われているという息の長さと、Blackmagicが自社のカメラ「BMPCC4K/6K」からこのLP-E6バッテリーを採用したことで一気に汎用化が進んだ印象です。
Blackmagic社の小型カメラと、5~7インチの小型液晶モニターの電源としてよく使われています。上記のNP-Fバッテリーと両方使えるというモニターはけっこうあるので、キヤノンユーザーはちょっとだけ得をした気分になれます。
ただ、容量が1800~2160mAhと決して大きくはないので長持ちはしません。
特に液晶モニター用に使う場合は、持ちよりも小型軽量さを優先したい時に使うくらいの感覚のほうが良いです。
筆者はホールでのピアノ発表会撮影の際に5インチの小型モニターを組み合わせて撮影をしていますが、その時の電源としてNP-Fバッテリーを使っています。
持ち時間優先のNP-F970と小型軽量優先のNP-F550を持っていますが、F550を複数個持っていた方が邪魔にならない印象です。
丸1日の撮影でF550が2個あれば足りる感じなので、予備含めて3個持っていく形になります。
スチルカメラだけ触っているとこういったバッテリーとは縁がなさそうですが、ちょっとだけムービー側に手を伸ばしてみると結構便利で面白いアイテムもあったりしますので、うまく組み合わせると撮影が楽になるケースもあると思います!