左肘関節痛 | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

今日は肘関節痛の臨床例を紹介いたします。

 


 

 

(患者) 男性、56歳、自営業、泉佐野市在住。

 


 

 

(主訴) 左肘関節痛。

 
 

(現病歴) 2か月前に仕事で左肘関節を痛められる。

          以来、左肘の痛みが引かず悪化してきているとの事。

          左肘の違和感は常に感じており、何かの拍子に左肘に激

          痛が走る。


 

(診察) 左腕全体が右腕に比べパンパンに腫れていました。

      また、熱感もみられ、痛みで肘の伸展が辛そうでした。
 

(診断と治療)

 
 

手足の熱感や脈診での浮、数、実や症状の激しさから風熱に

よる左肘関節痛と診断しました(肺虚陽実証)。

治療は肺経と脾経を補い膀胱経と小腸経、お腹の募穴に瀉法。

患部の左肘関節には散鍼を施しました。

術中に左肘関節痛の曲げ伸ばしをしてもらうと痛みが激減して

いて喜ばれていました。

また、左肘関節の熱感は少しだけしか引いていませんでしたが

手足、身体全体の熱さが完全に取れていました。

 


(2診目)

 

2日後に来院。

左肘の違和感はまだ少し残るが左肘の激痛は無くなったとの事。

手足の熱感もなく実脈が取れていましたが、まだ、完全に風熱が

取りきれていないと感じ前回同様の治療を施しました。

術中、左肘の違和感が消失する。

 


 (考察)


今回の症例は初診時に左腕全体が腫れていたこともあり鍼灸


を受ける前にまず病院での受診を薦めました  


細菌感染している可能性がありましたので。

 

ですが「辛いから診てください」「後日、病院には行きますから」

 

とこの患者さんの心の叫びを感じ取りました?


  そして、鍼灸を施して左肘が悪化しても責任は取らないと約束

   

してもらい治療を引き受けました。


  さて、今回のような風熱絡みの関節痛はごくたまに見かけます。  
肘関節だけでなく膝関節、手関節、足関節など。
 
本来、関節痛の多くは使い痛みによる疲労や捻挫、打撲による
 
後遺症がほとんどで筋肉や骨、腱に異常が見られるものです。
 
しかし、今回の風熱による関節痛は高齢者を除き筋肉や骨には
 
さほど問題が無い場合がほとんどです。
 
今回の患者さんの左肘痛の始まりはおそらく肘関節の軽い捻挫から
 
のもので、後日、体調が悪い時に風邪などの邪気をもらいその邪気
 
が左肘関節に及んだものと思われます(捻挫+風熱)。
 
邪気は身体の弱っている部位に悪さをしますので。
 


最後に、風熱による病の特徴をお教えいたします。
 

まず、どんな病も症状が激しいです(激痛、高熱など)。


おしまい。



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