「なんか肌色強いウエルカムボードだね」
呆れた声
濃紺のスーツに薄いピンクのタイ、難しい色合いをサラリと着こなし 横に立ったユチョンはヤクザにはとても見えない
『わかってる。でも 子供たちが作った物に文句は言えねぇだろ?』
そうだね、あの子たちには迷惑かけたから…そう言ってユチョンは中央に高校生の俺たちの思い出の写真、そして その周りを飾るように いつ撮ったのかわからないジェジュンとの夜のプロレス写真が何枚も並ぶウェルカムボードを見て 肩を竦めてみせた
迷惑をかけた…つもりは無かった
結婚式は自分で考えて 考えてしたかった。だけど…
「流石にゴンドラとスモークはね…ないよ」
そうか?いいと思ったんだけどな
今度は俺がユチョンに肩を竦めてみせた
カンインの結婚式で集めに集めたパンフレットをみて 俺なりに考えた
ジェジュンには内緒にして計画をたてた。 サプライズで結婚式をプレゼントしたくて…
プロポーズも指輪のプレゼントも自分では100点をやる出来ではなかったけれど ジェジュンは嬉しそうに笑ってくれた
その笑顔に俺はまた彼に惚れて、もっと笑って欲しくなった
悲しい思いを沢山させたジェジュンをもっと喜ばせたくて…
でも パンフレットに載る今風のウェディングはピンとこなくて…本当に色々考えたんだ
だけど話を詰めたウェディングプランの契約書。そこに印を押す日
「「その契約待ったーーー!!!」」
チャンミンとジュンスが乗り込んできたんだ。
そこから 契約は、ほぼ白紙になった
「鯛の形のカマボコって…こんな大きいカマボコ渡して お客様に何日カマボコパーティさせる気ですか?食べ切れるわけないでしょ!!迷惑な」
毎日 木の葉丼食べさす気ですか??
チャンミンは頭を振ると 今からレ点うった項目は契約無効でお願いします、と 真っ青になるウェディングプランナーに無情にも告げる
「うわぁ、最後に鳩飛ばすの??しかも6月に擬えて鳩は6羽…ユノパパ しょぼいよ」
6羽じゃ少ないから公園の鳩 捕まえようか?でも 鳩は年中無休で発情できるから 二人にピッタリだね。これはいい案かもしれない。よし これは契約だね、なんて笑って言うジュンスがチャンミンに頬を抓られて…あっという間に 契約書はレ点で埋められた
俺の案は全て却下されてしまった
いや、たった一つ残ったものがある。それは
「「日取りはそのままでいいね」」
結婚式の日にちのみだった
それから毎夜のように子供部屋の扉は締められ作戦会議は行われた。
『俺もいれろ!!』
そう扉を叩いても
「「そんなにサプライズが好きなら僕たちがしてあげます」」
応えはあっても そこは開くこともなく
「もう 諦めたら?」
ジェジュンが俺の肩を叩き 温かいお茶をすすめてくれる
結局はジェジュンに計画が暴露てしまった。項垂れた俺はちゃぶ台の前に座りそれを飲む。すると ばあちゃんの作った漬物に爪楊枝をさし、俺の口に運んだジェジュンが
「結婚式 楽しみだね」
と、また俺を惚れさせる笑顔を見せたんだ
そして今日 6月10日
俺たちの結婚式の日
「子供たちのプレゼント 楽しんで…ほらそろそろ お姫様の用意も出来たでしょ?俺 もう入るね」
ユチョンは片手をあげ 奥にある部屋に入っていく
一人の部屋
開け放たれている窓から海の音
俺たちの今の住まいからほど近い高台にある広い平屋の家。昔 別荘だった ここは今は結婚式場として使われている。 広い庭とその先には海が見えてとても気持ちのいい場所だ
『あいつら やるな』
おばあちゃんは家から近い方が良いでしょう…なんて 子供たちが言っていたな
なぁ、ジェジュン
あの子たち 本当にいい子に育ってるな
いや、お前はずっとわかってたよな?
どんな時もあの子たちを真っ直ぐに見ていたお前だから
もう そんなこと初めから知っているよ
なんて 笑うんだろ?
隣の控え室から 声がきこえる
バタバタと人の動く音
彼の気配を感じるだけで幸せになれる
口をおさえても止められない笑みを浮かべ俺はウェルカムボードの前にたつ。
写真の彼はとても幸せそうに笑っている。そんな高校生の彼に俺は言う
『なぁ、今日の俺の顔、お前に負けないぐらいの良い笑顔だろ?』と
言ってろよ…ウエルカムボードの中央にいた彼がそう応えた気がした