そして恋が降ってきた【後編】
<第二十二章>嵐の前 その4
トオルの家では、博之たちが来るのを
今か今かと待っていた。
ユキエは宴会の準備を終えたし、
健太は緊張して家中を歩き回っている。
何だかとても落ち着かない。
“一枚噛ませろとは言ったものの、こんな重要なパートとはな。”
トオルは軽く引き受けた事を、後悔しかけていた。
「お母ちゃん、まだかな。」
健太が心細そうにしている。
「電話があったから、二人は絶対に来る。安心して。」
トオルが言うと、チャイムが鳴る。
岡村家に緊張が走った。