そして恋が降ってきた【後編】
<第二十章>嵐の前 その2
5時過ぎにトモコから、
トオルへ電話がかかってきた。
「お話があります。そちらへ伺っても良いですか?健太の件です。」
「大丈夫だよ。場所は分かりますか?」
トオルが言うと、“翔に頼んでいるから大丈夫”だと言われた。
皆が、二人の事を心配している。
そう思うとトオルは何だか嬉しかった。
「岡村くん、何か楽しそうだね?」
電話を切ったあと、
上司に尋ねられたので
「ええ。今から10年前に別れた
元彼女が家に来て、子供の親権の取り合いをするんです。」
そう応えたら、無言になった。
「じゃ、お先に。」
トオルが言うと、彼は小さな声で
「頑張ってね。」
と言いながら、小さく瞬きをした。