そして恋が降ってきた【後編】
<第十八章>二人の祈り
昼休み、珍しくタカヒトが
ひろこの元に、ランチを誘いに来た。
彼は営業なので、
基本的には外食が多い。
「どうしたの?」
「話したいことがあって。」
近所の牛丼屋に二人で行くと、
タカヒトはあずさの計画の話をした。
「この間、翔さんから電話があったでしょ?
その時にこの話がスタートしたんだ。」
トモコに健太の養子の話をして
彼女の心を揺さぶったところに
マスターに迎えに行かせて、
二人にトオルの家まで健太を迎えに来させると言う
計画だ。
「とりあえず今のところ、飛行機に乗った二人は
2時前にはこっちに着くらしい。」
筋書き通りだった。
女版トオルのようなあずさに、
ひろこは会ってみたいと思っていた。
「上手く行くと良いね。」
ひろこが言うと、タカヒトが笑った。
「大丈夫、仕上げはトオルとユキエさんに任せてるから。」
「あの二人なら、安心ね。」
そう言いながらも、ドキドキする二人だった。
「上手く行きますように。」
「きっと、上手く行く。」
タカヒトがひろこの手を握りながら、
祈るように言った。