いばら姫LOVE AGAIN

 <第二十三章>呪いが解けて

 

 

結局、雅は丸一日目覚めなかった。

ユウは医師から

MRI検査の日程を聞いていたが、

その半日前までに目覚めなければ、

次の検査まで、退院はお預けだと言われていた。

 

目覚めない雅を見て、

ふとユウは眠り姫の話を思い出す。

 

王子のキスで目覚める眠り姫が、

いばら姫と同じ話だと知ったのは、大人になってからだ。

 

呪いの掛った針で指を突いて

いばらのベッドで眠る姫と、

雅の姿が重なって見える。

 

ふと思い立って

ユウは誰も見ていない隙に、

彼女の唇にそっとキスをした。

 

彼女は微動だにしない。

 

「やっぱりそんな都合良くはいかないか。」

ユウが軽く、ため息をつく。

 

窓辺の花が乾いていたので、

水をやろうと水道に向かおうとした時、

彼のシャツを引っ張る気配がした。

 

「!?」

ゆっくりと振り返る。

そこには雅が微笑んでいた。

 

 

「ユウ、私死ななかったよ。」

雅が言う。

ユウは信じられずに、

その場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

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