灼熱☆バケーション【後編】

〈第二十三章〉 翔の後悔 その2

 

 

翔は上がって行くカナの熱に焦っていた。

 

隣は二人とも寝ているだろうし、

邪魔はしたくない。

だが、カナを冷やすための氷と、

できれば解熱剤が欲しかった。

 

彼女を一人にするのは心配だし・・・・と、

困っていると隣で明かりがついた。

 

『みきさんでもタカヒト君でもいいから、呼んで来よう。』

そっとベランダから外へ出て、

隣の部屋の入り口の扉を叩く。

 

人影が見えた。

みきさんだった。

 

もう一度扉を叩くと、彼女が気付いてくれた。

 

「どうしたの?」

扉を開けて、小さな声で聞かれる。

 

「ごめん、カナちゃんが熱を出した。

どんどん上がってて心配なんで、氷と薬をもらいにいこうかと。

一人にしておくのが心配だから、

俺が戻ってくるまで、見ててもらえないか?」

 

「ん、分かった。」

 

彼女が頷いて、カナの様子を見に来る。

カナは汗だくで、

真っ赤な顔をしていた。

 

「とりあえず冷たいタオルでずっと拭いてるんだけど

熱が下がらなくて。」

 

「そうね。リンパを冷やしたほうがいいかも。

私見てるから、行ってきたら?」

 

「ありがとう。」

みきさんに甘え、

翔は近くの店まで走った。

 

 

 

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