久しぶりのクラシックコンサート。知人からチケットをいただきました。
ここ数年、ヴァイオリンとチェロが好きなので、リサイタルかせいぜいカルテット(四重奏)が多く、
今回は、ヴァイオリンリサイタルと聴いて、初めて耳にする演奏家でしたが楽しみにしていました。
実は昨年12月、イツァーク・パールマンのヴァイオリンリサイタルを楽しみにしていたのに、
当人の病気によりキャンセル(涙)。チケットの払い戻しというのを初めて体験しました。
そのこともあったので、久しぶりのコンサートが楽しみでした。
当日、会社から歩いて15分の紀尾井ホールへ。
こんなに近くなのに、これまでチャンスがなくて行けなかったのでした。
会場はほぼ満席。そして第一部が開演です。
実は、プログラムをみて初めて知ったのですが、ライナー・キュッヒル氏、すごい人でした(笑)!
17歳でソロ活動開始、去年演奏生活40年を迎えました。
21歳でウィーンフィル管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスター就任、
現在もふたつの管弦楽団の第一コンサートマスターというお方。
そして使用楽器は、オーストリア国立銀行所有の1725年製ストラディヴァリウス「シャコンヌ」。
その圧倒する経歴でもって演奏したのが、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ10番と、
無伴奏パルティータ第2番シャコンヌつき・・・。シャコンヌで奏でるシャコンヌです。
とても情熱的なメロディのシャコンヌを、名器シャコンヌで聴けるなんて、滅多なことじゃないはず・・・。
どんなふうなのか興味津々・・・。
名曲なので、これまでいろんなヴァイオリニストの演奏を聴いたことがありますが、
技巧的にも難しそうなこの曲、彼のようにさらりと淡々と弾く人、初めてみました。
私、素人目でこれまでいろんなヴァイオリニストを観てきて、
「楽器と友達の人」、「楽器に挑んでる人」と大きく二つのタイプに分かれると思ってたのですが、
そのどちらにも当てはまらず・・・。なんというか「楽器の声が聴ける人」のように思いました。
楽器自身がどうしたいと思っているのか、楽器に耳を傾けて、楽器を知ることができる人。
その結果、楽器に身を任せている姿は、友達やライバルというより、楽器そのもの?
そんな様子なので、奏でられる音がとても穏やかで心地よいのです・・・。
圧倒されているうちに1部終了。15分の休憩のあと再び会場へ。
第2部は小作品が多いけど、これもまたかなりのボリューム。
ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番「春」
チャイコフスキー なつかしい土地の想い出(3楽章構成)
マスネ タイスの瞑想曲
クライスラー 美しきロスマリン
山田耕作 アングレット・ブリランテ
山田耕作 ペチカ
山田耕作 からたちの花
後半に山田耕作作品が並ぶのは、このコンサートが彼の作品に関わって企画されているから。
キュッヒルの奥様は日本人で、日本文化に造詣が深いということで、
近年、山田耕筰作品を外国で録音したりということもあり、今回の企画になったようす。
ペチカ・・・なつかしい曲でした。
ヴァイオリンで奏でられるメロディーに、自然と日本語歌詞がよみがえってきます。
前半とはまったく違う、情感たっぷりのすてきな演奏でした。
そしてアンコール・・・なんとクライスラーばかり6曲も演奏。ノリノリでした(笑)
終演は開演からほぼ3時間。とてもとても楽しい夜でした。
終演後ホールを出たらお月様がみえました。
いや、いい夜でした。やっぱりコンサートいいですね・・・。
そういえばこの紀尾井ホール。新日鐵の文化貢献の一環で作られたものだと分かりました。
とても気持ちのよい、きれいなホールでした。(若干、バリアフリーに問題ありでしたが・・・)。
カザルスホール、アフィニス(JT)、浜離宮朝日ホール、王子ホール、トッパンホール・・・
室内楽ホールがここ十数年でたくさんできましたが、気軽に足を運べるコンサートも多いので、
たくさんもらった演奏会のチラシを、ちょっと物色したりしています。