人間の限界

人間の機能というものについてよく考えることがあります。

 

人間が仕事や趣味や日常生活で使う機能というと、歩いたり、話をしたり、手足を動かして何かの作業をしたり、記憶を頼りに何かをなそうとしたりなど、ちょっと考えるとざっとこんな感じかなと思います。

 

特に仕事においては何かの製品を作ったり、何かの商品を売るにあたり客さんに買ってもらえるように話術を駆使して説明したり、上司から予算をもらうために新しい商品のプレゼンテーションをするなどがあると思います。

 

仕事というとどうしてもお金の話になってくるので、自分自身も上司も「それではだめだ、全然売れないぞ」「そんなやり方ではうまくできない」などと口うるさくいってくることもあるでしょう。

 

私はどうかというと、以前勤めている会社で部品を作る仕事をしていましたが、当時は不器用で要領が悪く、まじめで純朴で口下手でうまくコミュニケーションをとることが苦手でした。

 

そんな私を見て、同僚や上司は「お前そんなこともできなのか」とか「そんなことも知らないのか」とバカにしたり見下すような言い方をしてきて、それを言われるたびにいつもできない自分を責め、悔しい思いをしていました。

 

そういった経緯もあって私はとにかく「何でも自分一人でできるようにする」「誰にも協力をお願いせずに一人ですべてやり遂げる」という目標を掲げ、誰にも相談せず、どんな無理難題でもどれだけ時間がかかってもやり遂げてやろうと息巻いておりました。

 

そんなことをしていると知らず知らずのうちにストレスが溜まっていき、結局会社の担当する業務で私一人でしかできない仕事をたくさん抱え込んでしまい、どうにもならなくなって鬱で会社を半年も休職する羽目になってしまいました。

 

それから何年もたっていますが、人間の能力というのは限界があり、自分の不得意なこと、得意なことというのが人それぞれにあって、それを補い合って協力して業務を遂行するべきだという考え方に変わって行きました。

 

今でも会社で仕事をしていると、「なんでそんなこともできないの?」「もうちょっ何とかならないの?」と怒鳴っている人がいますが、それを見ていると私は、

「ああこの人は私のように過去に上司にできないことをなじられていたんだな」と思い、とても哀れな気持ちになってしまいます。

 

私はもう以前のようには誰に対しても完璧主義は求めません。何かを頼むときも「できる時にやって」とか「やれる範囲でやって難しかったらやり方をまた考えるから言って」となるべく負担にならないような表現で言うようにして、同じことを何度も聞いてきてもその都度同じ説明を何度もするようにしています。なぜなら1回で覚えられない人もいるからです。

 

「人間の機能には限界があり、なんでもかんでも自分の思い通りになることが一切ない、相手に自分と同じかそれ以上の能力を求めない」ということを念頭に置くようにしておくとわかりやすいかもしれません。

 

完璧主義になると相手にも完璧を求めるので、結局能力以上のことを相手にやらせ、失敗して険悪な雰囲気になるという悪循環になるので、そうなるくらいならできることできないことを試行錯誤しながらやってもらった方が、より平和的で建設的だと思います。