「誤り訂正符号(あやまりていせいふごう)って何?」

 ある日唐突に小学5年生の息子が私に仕事のことを聞いてきた。これがこれから長く続くやり取りの始まりになるとは思ってもみなかった。息子は様々なことにすぐに興味を持つが、すぐに飽きることが多いからだ。

息子:「ねえねえ。パパの仕事ってどんなことしてんの?」

私:「えっ!何だよ唐突に。」

息子:「だってさー、タクムが小さな頃はさー、家に帰ってくるの早かったのに、去年ぐらいから毎日帰ってくるのが遅いからどんな仕事して遅くなってんのかなー、って思って。」

私:「おっ!パパがいないと寂しいの~っ!?小さな頃は、たまに職場の飲み会に行こうとするだけで『パパはー!!飲み会なんかに行かないでタクム達と一緒にご飯食べるんだよっ!!』って言って泣いて引き留めようとしてた時もあったもんな~。」(遠い目をしながらしみじみと振り返る。)

息子:「そんなの覚えてないよっ!!そんな話はいいから、仕事では何してんの?」

私:「ヒ・ミ・ツ ♪」

息子:「教えてっ!!」

私:「難しいから理解できないかもよ~。」

息子:「そんなのわかんないじゃん。タクムにわかるように説明してっ!」

私:「うーん、それはそれで難しいね~っ。」

息子:「いいから早く教えてっ!!面倒くさいなーっ!いつもいつもっ!」

私:(心の中で:どうせ飽きっぽいから途中で興味が無くなって別のことしだすかな。)「(笑)いろいろとやってるから全部は一度には話せないな。そうだなー、じゃあまずはパパが研究者を目指したきっかけの技術の『誤り訂正符号』の話をしてみようかな。」

息子:「あやまりていせいふごう???」

私:「漢字を使って書くとこう(『誤り訂正符号』と、その場にあった紙にボールペンで書く)。」

息子:「誤りを訂正する符号ってこと?何それ?」

私:「その通り!!誤りを訂正する符号のこと。まずはどんな技術かは後で説明するとして、まずは『誤り訂正符号』がどんなところで使われているか教えよう。実はタクムが普段使っているテレビやスマホ、音楽プレーヤー、古くはコンパクトディスク(CD)やDVD、昔、拓夢が撮られるのが大好きだったデジタルビデオでも使われる技術なんだ。最近だとスマホ決済する時によく使う使うQRコードでも使われてるし、誤り訂正符号がないと使い物にならないんだ。この技術が無いと今のデジタル(ディジタルと表現するときもある)技術を使った電子機器は実現できなかったぐらい重要な技術なんだ。」

息子:「へーっ。そんなことしてんだ。すごいじゃん。」

私:「いや~っ!!それほどでもアルよ♪」

息子:「で?どんな技術なの?」

私:「うん。『誤り訂正符号』を簡単に言うと、もともとのデータから作った無駄なデータをもともとのデータと一緒に送って(記録して)、受け取った時(再生する時)にどこかのデータが別のデータ(間違ったデータ)になったり、消えたりしても、元通りのデータにできる技術、かな。」

息子:「う~んっ、難しいね~っ。」

私:「誰の真似だっ!!」

息子:「パパ!!(笑)」

私:「そうだね。もう少しわかりやすく説明すると。デジタルって0と1だけでデータが表現されてるって知ってる?例えば、音楽だと音の大きさが0を000、7を111としたとする。この時に何かが原因で、音の大きさが7をデジタルで表した111の一番最初の1が0になってしまったら011となって音の大きさは3に、あるいは音の大きさが0の時、つまりデジタルで表した000の一番最初の0が1になってしまったら100となって音の大きさは4なってしまうんだ。こうなってしまうと、音量が正しくなくなってしまい、せっかくの素敵な曲も台無しになってしまう。そういった誤ったデータを正しく直してくれる、つまり正してくれる技術が『誤り訂正符号』なんだ。ただし、データそのままではデータを訂正できない。そこで、もともとの音の大きさなどのデータを使ってある規則に基づいて無駄なデータを作って、一緒に送る、あるいは記録しておいて受け取った側、あるいは再生する時に無駄なデータも使って誤りがないか確かめて、誤りがあったら直す、つまり訂正できるようにする技術が『誤り訂正符号』なんだ。」

息子:「へーっ!!魔法みたいだね。すごいね。難しそう。」

私:「いやー、全然!魔法でもなければ、考え方、原理自体はそんなに難しくないよ。小学生の高学年だったら理解できるよ。」

息子:「えっ!?そうにゃの!?」

私:「じゃー今日はここまで!続きは明日にしよう。」