大阪の番組(たぶん「探偵! ナイトスクープ」)で、服が短いことを「ちんちくりん」と言っていた。

子どもの頃からよく耳にしていた言葉だけれど、東京の言葉では、少し意味が違う。

 

父と、子どもの頃からの父の友人は、ともに背が低かった。ふたりとも下町のなかなか裕福な家庭に育った(残念ながら僕は、その辺のガキだったけれど)から、着るものには相当に気をつかっていた。

 

父が亡くなって10 日ほどたった頃、その友人が訪ねてきて、こう言った。

「おい、お前のおやじのスーツとか、どうした? もらいにきたんだよ」

すでに父のものは自分のものだと決めつけている。

「あいつ、ちんちくりんだったからさ、俺くらいしかあいつの服、着られないだろ!」

父が亡くなって間もない頃の話。父とはつきあいが長いかもしれないけれど、少しは遺族のことも考えろよ、と僕はあきれ、弟は怒った、怒った。

 

東京では、こんなふうに、背丈が短いのが「ちんちくりん」、

「ちんちくりん」な人の服を、ふつうの人が着たときの状態が、「つんつるてん」。

衣類のすそ・そでが短い状態のことだ。

 

でも、大阪では、「ちんちくりん」が、衣類の寸法が短いことらしい。

全国では、「ちんちくりん」や「つんつるてん」は、どういう意味なんだろう、と調べてみると…。東京に限らない語意としては、次のような意味があるみたい。

 

つんつるてん:①衣服の丈が短いこと

②一文なしのこと

③坊主頭のこと、はげていること

 

ちんちくりん:①背が低いこと

②衣服の丈が短いこと

③かわいい人、童顔の人

④落ち着きがない人

 

どちらも、納得しやすい意味ばかり。ちょっとネガティブだったり、軽くディスる表現だったり。

ただ、ちんちくりんには「かわいい人、童顔の人」という、プラスイメージの意味もあるのが、意外だった。

 

辞書やその他の記載をまとめると、こんな情報もあった。(ちがったら教えてね)。

*つんつるてんは、東京をはじめ多くの地域でつかわれる方言らしい。

*関西では「つんつるてん」は、「はげている」という意味だけでつかわれる。

*「つんつるてん」は「寸釣天」と書くとする記載も。

寸(すそ)が天(上)に向かって釣りあげられている、という意味。たとえばズボンの場合なら、寸法が合わずに短いと足首やすねが見えてしまい、ズボン全体が上のほうに釣られているように見えることを表した漢字表記。

 

あるサイトでは、下のふたつの説明が共存していて、ちょっと理解不能。

1)東北や北海道では、「丈が短い」の意味で、ちんちくりんもつんつるてんもつかわれる。

2)全国的に、ちんちくりんもつんつるてんも死語になっていて、つかう人はいない。

 

死語なの? つかっているの? 皆さんはどうですか?

ちなみに、妻にたずねたところ、回答は…、

「お父さんやお母さんが、つかってるのを、子どもの頃によく耳にしてた。でも自分ではつかわないし、最近、聞かないなあ…」

 

あれれ…、僕は「ちんちくりん」も「つんつるてん」もつかっているのに、妻には聞こえていないらしいや。やれやれ。

 

最後に。

個人的には「へんちくりん」とか「みょうちくりん」という言葉もつかったことがあります。「××ちくりん」という言葉で、ほかに聞いたことがある言葉って、ありますか?

 

また、「へんちくりん」の変形で「へんてこ」とも。「てんてこまい(天手古舞)」の「てんてこ」の音があるから、「へんてこ」もできたのかなあ。