先週の日曜日のこと。
テニスに行こうと思ってドライバーのラグビールに早朝から来てもらっていた。しかしちょっとした事情によりテニスへの参加を見合わせ。その日はテニスの友人の送別会を昼過ぎから我が家でやることになっており、テニスに行くのをやめて準備に専念することにした。
ラグビールには、「10時くらいに買い物に行くからそれまで待っていてほしい。」とお願いし、家の下で待ってもらっていた。
10時20分くらいだったろうか。ラグビールから電話が。準備をしていた俺は「しまった。ラグビールからの催促の電話か。もう20分も過ぎたしな。せっかちなインド人め(笑)。」と思いながら電話を取った。
すると何やら興奮気味のラグビール。興奮していて、普段でさえ聞き取りにくい彼の英語がさらに聞きにくい。良く聞くと、「今は外に出るな。」と言っている。理由がさっぱり分からず、何で?と尋ねると、興奮したラグビールはごにゃごにゃ何か言っている。ちょっとイラっとした俺は、「は?何?はっきり言ってよ。」と怪訝そうに聞き直した。すると「ゲイ、ジーエイーワイ(GAY) イズ カミング。云々」と言っている。
ゲイ?GAY??? はぁ???
何のことやらさっぱりわからない。すると・・・、程なくして何やら玄関の外が騒がしい。我が家はアパートの3階部分にあり、3階には我が家の他にもう一つ家がある。玄関は向い合せ。そこから何やら大きな人の声が聞こえてきた。
何だ?まさかこれはゲイの仕業なのか???
玄関ドアののぞき窓から見ていると、そこには体格の良さそうな女が数人いて、向かいの家のベルを押しながら、玄関ドアに向かってヒンディー語で言っている。何を言っているのかは当然さっぱり分からない。
声は次第に大きくなる。かなり激しい。さっぱり意味が分からず、朝から来てくれていたマリアに事情を尋ねると、どうやらゲイたちは金をせびりに来ているらしい。
そう、ここインドではゲイたちは、当然まともな仕事につけるわけもなくお金をせびる、つまりbeggar(ベッガー、つまり物乞い)として生きているようだ。ところが始末が悪い。インドでは街の至る所に物乞いがいる。車で交差点で信号待ちをしているとき、窓をたたきながら金をくれ、と言ってくるのは日常茶飯事。マーケットを歩いていれば、子供たちが寄ってきての金くれ攻撃は当たり前。たまにゲイも街角で物乞いをしている場面に遭遇する(自分の経験ではある特定のエリアにいるような気がする。)。
マリア、そして後にラグビールから聞いた情報によると、彼らは次のように行動、お金をせびりに来るらしい。
・ゲイには自分たちのテリトリーがある。
・テリトリー内での物件の建築、おめでたい出来事(結婚、出産)をチェックし、細かく把握している。
・新築物件を購入した場合、彼らは住民が済み始めるとお金をせびりに来る。出産、結婚の時も同様。
・基本的に払うまで帰らない。相場は新築で10,000ルピー(約15,000円)程度ではなかろうかと。ただしこれは家の格によって変わるらしい。出産や結婚の相場は未詳だが、どうやら同程度ではなかろうかと。
・一度来れば二度と来ない。
・ただし、ディワリと呼ばれるヒンドゥー教の新年のお祝い(毎年10月末~11月頭くらい)の時には、無差別攻撃(せびり)を仕掛ける場合がある。
恐るべしインドのゲイ!!!
のぞき窓を見ていると、最初は奥さまが出てきたものの、一度ドアを閉めた。その後声は一段と大きくなり、ご主人登場。激しく言い争っている。
そこにマリアが後ろから、「サー、覗いてるとこっちにも来るかもしれないから、窓をふさいだ方が良いです。」とアドバイス。ガムテープでのぞき窓を塞ぎ、中継は音声のみとなった。結局30分くらいのドタバタが続き事態は沈静化。我が家には幸い来なかった。
後から聞くと、向かいの家は2,000ルピー(約3,000円)を支払ったとのこと。我が家同様賃貸なのに、5人のゲイに囲まれしぶしぶ払ったらしい。ちなみに、通常賃貸の場合はゲイはせびらないらしいが、ゲイたちもきっと引くに引けなかったんだろう。落としどころとしてはやむを得ない、と言ったところか。
我が家に来なかった理由は、ガードとラグビールが「今は家に誰もいない。メイドが掃除をしているだけ。」と説明してくれたから。ガードがいるならそもそも敷地に入れるなよ、と言いたいところだが、ゲイ5人を相手にはさすがのガード(インド人のガードは座っているだけ。決して屈強な男どもではない。)も太刀打ちできずか。まあ、やむを得ないだろう。
そしてどうやらゲイは我が家にも過去3度金をせびりに来たらしい。その時は幸い家に不在だったので、ついこの前までこんなことが行われているとは全く知らなかった。いや、これからも知らなかった方が幸せだったのかもしれない。
こうして恐怖のゲイ来襲は過ぎ去った。
だが、ディワリの時は要注意である。彼女(彼?)らの無差別攻撃を受けたらひとたまりもない。