先ほどから頭の中で何かの曲のフレーズが繰り返し流れています。

私にはよくある事で、元の曲がすぐ分かったり、しばらくして思い出したり、時にはずっと思い出せずモヤモヤが続くこともあります。

今回は２番めのパターンで、しばらく頭の中でそのフレーズを繰り返しているうちに、”ショパンの「ピアノ協奏曲」じゃなかったかな”と思い至った次第です。

自分でも不思議なのはショパンの２つの「ピアノ協奏曲」をちゃんと聴いた覚えがないのです。ちゃんとというのは大体途中までしか聴かずに終わっていたからです。

結局、ショパンの「ピアノ協奏曲第１番」の序奏部分のフレーズだったんですが、ショパンの「ピアノ協奏曲」をなぜ聴いて来なかったのかについては一応理由があります。

このブログで何度も書いていますが、私の音楽の根本はベートーヴェンです。釣りは”鮒に始まり鮒に終わる”と言われますが、私にとってベートーヴェンは釣り師の鮒です。

何故かショパンはベートーヴェンから一番遠い所にいる音楽だと感じているのが一応の理由です。

ショパンを程んど聴いていない私がそんなことを言う権利は無いとは思うのですが、何となくショパンは”感性の音楽”のように思えてしまうのです。反対にベートーヴェンは”論理の音楽”だと思っています。

もちろん”感性”とか”論理”とかで一括りにできるものでは無いことも分かっています。ショパンの「エチュード」はそこに”論理”が感じられますし、ベートーヴェンの後期の作品のいくつかは”論理”をはみ出しています。

そういった例外もありますが、ショパンにはサロン音楽というイメージが付き纏っていて馴染めなかったのです。

それでもショパンの「ピアノ協奏曲」は何枚かのレコードやCDがあるのは、父親が遺してくれたもの。

そな中からサンソン・フランソワがルイ・フレモー／モンテ・カルロ国立管弦楽団と組んだCDを取り出してきました。

早速聴いてみました。

「第１番」の冒頭あのフレーズが流れ”そうこれこれ”と一安心。フランソワのピアノが入ってくるとこの曲に疎い私ではかなり個性的な、崩した演奏だと分かります。

その崩し方の堂に入っていること、名人芸とは正にこういう事を言うんだと思います。現代のピアニストには真似ができない、まあしようとも思わないでしょうが、技です。ただ速いパッセージで音の粒が揃っていないと感じる箇所がありましたが、それはポリーニの出現で一つ一つの音が輝かしく揃うことに慣れて過ぎてしまったのかも知れません。フランソワはポリーニとは感性が真反対のピアニストだと思います。

私が好きと言った「エチュード」はポリーニが弾いたという条件付きですし決してポリーニが嫌いな訳ではありません。念のため。

フランソワのピアノが面白ろ過ぎて、ピアノばっかり聴いて「第１番」が終わってしまいました。

これはショパンにも責任がありそうです。オーケストラ部分が全くと言っていいほど面白く書けていないのです。終始ピアノのバックアップに努めている感じ。

「第２番」も同じような感想です。確かにピアノ・パートに深みが増した感じはあるのですが・・・。

しかし、今回サンソン・フランソワというピアニストを知れたことは良かった。もう少しこの人を聴いてみたくなりました。

「第１番」の第一楽章でサンソン・フランソワを味わってみて下さい、

マイ・CDコレクション（４８）〜サンソン・フランソワ讃歌