一枚のCDがあります。

デュメイとピリスのコンビによるグリーグの３曲の「ヴァイオリン・ソナタ」が入っています。

このコンビで聴いたフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」がとても素晴らしかったので、演奏には期待が持てます。

さて、グリーグの「ヴァイオリン・ソナタ」はフランクに比べればずっとマイナーな曲だと思います。そんな曲があることさえ知らない人が多いのでは無いでしょうか。

と書いてジャケットを読んだら、”第３番は長年にわたり全てのロマンティックなヴァイオリン・ソナタの中で最も人気のある作品”とあって、知らなかったのは自分だけだったようです。

グリーグは３つの「ヴィオリン・ソナタ」について”それらは私の発展の各時期を表しているー素朴でアイデアに富む第１期、民族的な第２期、そしてより広い視野に立つ第３期”と言っています。

グリーグの「ヴァイオリン・ソナタ」の特徴は、なんと言ってもピアノが思いっきり全面に出ていることです。よく「ヴァイオリン・ソナタ」の主役はピアノだということを読んだりしていますが、グリーグほどそれをはっきり打ち出したものを他に知りません。

かといってヴァイオリンは伴奏かというともちろんそんなことはなく、ピアノが朗々を鳴り響き合間を、まるで勢いよく流れる川を泳ぐ魚のようにピアノに相対していくのです。

ちょっと前にベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ」、普段ほとんど聴こうと思いませんが、まとめて聴いてみようとしたことがあったのですが、グリーグを聴いてしまうとベートーヴェンは聴かないで済ませても、グリーグは聴いておくべきだろうと思いました。

デュメイの滑らかで艶やかな音は素晴らしい、スタイルはすごく真面目というか、ヒラリー・ハーンと同じような弾き方をするように感じました。二人に共通するのはその音の磨き上げ方に隙がないと感じさせるところじゃないでしょうか。

ピアニストを評価するのは私には難しいので、ピリスは期待に違わず良かったとだけ書いておきます。

人気は「第３番」らしいですが、私は「第１番」が好きかな。第一楽章をどうぞ。

マイ・CDコレクション（４７）〜グリーグの「ヴァイオリン・ソナタ」