バンクーバー発、指圧を世界に広めよう! -83ページ目
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指圧の法制化

前回のブログでは、『指圧カレッジ』の中長期の目標について書いたけど、今回は、指圧界としての目標を書きます。その前にまず予備知識として…日本では指圧療法は厚生労働省に認められた正規の国家資格だけど、BC州をはじめとするカナダのどの州でも、残念ながら医療行為としての法律が整備されていない(カイロプラクティックやマッサージはされている)。よって、資格的には民間療法。公的資格ではない…日本でいうカイロや整体みたいなものだと思えば当たらずとも遠からじ。


そもそも『正しい指圧の普及』とは何かというと、その国の医療システムの中に組み込まれることが究極のゴール。例えば、(一般的に)歯が痛ければ歯医者へ行くし、骨折したら整形外科へいくよね。それと同じように、からだの調子が悪いな…と感じたら、とにかく指圧受けよう。っていうのが、社会的に普通になればいいわけ。さらに言えば予防医学の一環として誰もが定期的に指圧を受ける慣習。


それには、何はともあれ指圧がその国の保健・健康について管轄する省庁から医療と認められられなければならない…即ち、それが『指圧の法制化』。カナダでは、というより医療制度は州政府の管轄なのでBC州ではだけど、Ministry of Healthという日本でいう所の厚生省にあたる役所が兼轄している。

では、どうすれば指圧が州の公認医療になれるのか?そもそも、そんなことが可能なのか?

それが、(前回の大学昇格の話でも書いたけど)素晴らしいことに、こちらもきちんとHealth Professions Act .という法律に明記されています。流石です。不可能ではない…。まあ、事務的な手続き方法はここでは省略するけど(興味ある人はAct読んでね)、要するに、多くの人が、指圧はいい!って認めればいいわけだ。あとは、費用や根拠などの手続き的な問題のみ(天文学的に山済みだけど…不可能じゃないんですよ)


指圧を認めてもらうには、一人でも多くの人に指圧を受けてもらう事がまずは一番。そして、その為には、指圧師がいなければ、受けたくても受けれない。それと日本独特の手技療法として日本文化としての一面もあるので、きちんとした啓蒙活動もすごく重要。そこで、愛彩ではその理念である『正しい指圧の普及』の為の実践的目標として以下の3つを掲げている。


1. 一人でも多くの人に指圧を施す。

2. 一人でも多くの同志を育てる。

3. 指圧の社会的認知度を高める。


指圧の法制化の為には、もちろん愛彩メンバーだけでなくすべての指圧師とその支持者(患者さん)の協力と強い意志が絶対必要。それだけでなく、指圧発祥の地である日本を始めとした世界中の指圧ネットワークも最大限に駆使しなくてはならない。

今、BC州では指圧普及の為の非営利団体としてCanadian Shiatsu Society of BC (CSSBC)が政府に登録されていて、愛彩メンバーや指圧カレッジの卒業生を中心に100人弱のメンバーで構成されている。昨年のバンクーバー指圧国際大会 では指圧カレッジとともに主催団体のひとつ人なって大会を成功に導いた実績もあるんだ。

今後の課題として…CSSBCも創立10年を過ぎそれなりに頑張っているけど、いかんせん指圧を職業として生計を立てている会員はまだまだ少ない。今愛彩の運営するJapan Shiatsu Clinicはバンクーバー郊外を中心に7店舗。志を同じくする愛彩メンバー30人以上が、日々それぞれの職場で一生懸命お客様に指圧の説明をし、一人一人精魂込めて指圧を施している。現場で頂いた指圧法制化の為の署名だって紙の厚さにしたら10センチは超えてるんじゃないかな。でも、もちろんそれだけだけでは十分じゃないよね。個人的には、(法制化の為に)州内に指圧で生きていく指圧師が500人は必要だと思っている。

でも、10年前のバンクーバーは指圧の認知度ほぼゼロ。実質的に(専門の)指圧師ゼロの状態だったことを思えば大前進だし、今の自分は指圧師ではなく指圧伝道師…これからは(も)やりますよ。愛彩の代表としての自分とは別に、個人として、指圧カレッジの卒業生たちが指圧で生計を立てていける為の援護射撃を、CSSBCの創設者としてやっていきたい。もちろん、指圧クリニックとしては競合するわけだけど、競合大歓迎!健全な競争のないところに健全な発展は無い。



指圧師それぞれが(馴れ合うのではなく)お互いに切磋琢磨して、母心をもって患者さん一人一人に接する以外に道は無いのだ。

指圧カレッジの目標

自分の自宅があるバンクーバーアイランドのナナイモ市には、Vancouver Island Universityという大学があるんだけど、この大学去年まではマラスピナCollegeと呼ばれてた。バンクーバーを中心としたローアーメインランドでも、ノースバンのキャピラノカレッジやリッチモンドのカレッジの呼称がuniversityに変更になっている。これらの学校はもちろん公立(州立)なんだけど、当たり前の事だけど名称を変える=CollegeをUniversityに昇格させるには法的根拠がある。それは、Private Degree Authorization Act..という法律で7-8年前に施行された比較的新しい法律。


この法律の大きな主旨は2つで、ひとつは上に書いたとおり『University』という呼称を使用するための法的基準を定めたもの。そして、もうひとつの主旨だけど、私立の学校で『Degree(学位)』を発行する為の法的基準。これは愛彩が運営する『指圧カレッジ』の学校としての大きな目標のひとつなんだけど、Degreeを出すということは、正規の大学と認定されることを意味するんだ。もちろん履修した学位や単位はUBC等の他の大学でも通用する。


現在の愛彩としての中長期の目標は下記のとおり3つあって、その目的はカナダにおける指圧の社会的地位の確立。



1、保険制度の適用

2、正規指圧大学への昇格

3、指圧ライセンスの制定



このうち今回の話は2に該当するんだけど、1と3については、別な機会に書いていく予定。


指圧カレッジは、Ministry of Advanced Education(訳すと高等教育省かな)の管轄下で、私立大学や専門学校等を管理するPrivate Career Training Institute Agency(PCTIA) Act..に則って運営されているんだけど、これにもRegistration(登録校)とAccreditation(認証校)があって、指圧カレッジは10年前の開校時から登録校となっている。現在は、BC州では合計40時間以上か授業料が$1000以上の学校(語学学校を除く)は全てPCTIAへの登録を義務付けられていて、その審査は年々厳しくなっている。詳しくはPCTIAのホームページに書いてあるんで、興味ある人はチェックしてね。(特にうちの教務部の人達、結構情報変わるんでよろしく!)

指圧カレッジなど(厳しい審査をパスして)PCTIAに登録された学校が発行するDiploma(卒業証書)やCertificate(証明証)は、きちんと州の高等教育省に認められた職業訓練教育機関から発行されたものだという公的証書だけど、それを正規大学の学位にまで高めるには、同じ高等教育省管轄下にあっても、更にPrivate Degree Authorization Act.に基づいて申請をし認可されなければならないわけ。ちなみに、いきなりそこまで行かないとしても、まずPCTIAの認証校に昇格するためには、更に、運営面や教授陣の質も含めた設備面などでより条件の厳格な審査にパスすることが求められる。それでも、認証校になれば政府の公的教育ローン該当校として申請することができるなどより信用度が増すので、指圧カレッジとしては、まずこの段階までレベルを上げることが当面の目標。日々、認証校昇格を目指して着々と準備を進めている。


今回はBC州の教育に関する法律の話として記述したけど、何が素晴らしいかって、(突然?)外国からやって来た個人が、学校を設立して、しかも、それを正規大学まで大きくする道筋…というか法的根拠がきちんと整備されていること。もちろん、教育機関だからハードルは限りなく高い(かかる費用も手間もハンパじゃない)けど、可能性は決してゼロ(不可能)ではない。これぞ、(アメリカンならぬ)カナディアンドリームへの道じゃないですか。



こういう社会だからこそ、燃えるんだよね。これこそ、カナダに来て良かったと思える最大の理由。やりますよ…いつか必ず。50年かかろうが100年かかろうが、愛彩として必ずやりとげてみせます。

ひとりじゃない…今の愛彩メンバー達と一緒だったら絶対出来るはず。

はじめの一歩

なぜノースバンなの?

今でもたまにあるけど、最初の5年ぐらいはほんとに良く聞かれた。


バンクーバーに来て最初に住んだのがバーナビーのロイヤルオーク。そこから、スカイトレインとシーバスを乗り継いでノースバンのローワーロンズデールにオープンしたクリニックに通うわけだけど、たっぷり一時間半はかかったな。その頃はまだ日本の習慣が身に染みていたんで通勤長くても普通だし、(はじめの頃は)夏だったし、ぜんぜん苦にならなかった。それと、昔明石屋さんまさんと大竹しのぶさん主演の『男女7人夏(秋?)物語』っていうドラマがあって、その中で(今はアクアラインが出来て無いけど)川崎=木更津間の東京湾フェリーで通勤するシーンがあったのを思い出したりして、結構楽しかった(関係ないけど…)。


でも、地元の人やダウンタウンを中心に生活する日系の人たちから見たら、不思議…というか何か特別な理由があると思うんだろうな。今だからわかるんだけど、こっちの人はあまり移動を好まないみたいだ。日系の人たちでもよほどの事がない限りダウンタウンからわざわざノースバンまでは来ないみたい(もちろん、来て頂いていた患者さんもたくさんいます)。


最初のクリニックをノースバンに選んだ理由?そりゃあるよ。お店一軒開けるんだもの、検討に検討を重ねた念密な市場調査の結果です…と、言いたいけど、一人の知り合いもいないバンクーバーに来て、言葉だってままならないのにマーケティングなんてまともに出来る訳ない(苦笑)。はっきり言って適当にカンで決めた!海に近いしいい場所だって。


…ってか、その頃は自信たっぷりだったからねぇー、患者さんが来ないなんて考えもしなかった…。ノースバンが決して商業的中心地で無いのはわかってたけど、道なきところに道をつくるんだ!って(燃えてたよ)。意気揚々で迎えた記念すべき開店日。一応新聞広告も出したし…。


初日…患者さんゼロ。電話もゼロ。

2日目…同上。

3日目…同上

…って感じで毎日が過ぎ、何日目かに最初の電話が鳴った、広告見たんだけど…って。来たーって感じだったけど、結局マッサージ師からのクレーム電話だった、お前免許持ってんのか?って(どよーん)。


結局最初の患者さんが来てくれたのは2週間過ぎたころ。キースさん(仮名)っていうアメリカから来た学生さんで、看板を見て飛び込みで入ってこられた。


それにしても、最初の頃はとにかく考え付くことは何でもやった。ワイフなんで毎日ビラもって駐車してる車のワイパーに挟んでまわってた(怒られたりもしたんだろーねー、きっと)。何で自分でやんないかって?そりゃ、からだ一つしかないもん、昔の海軍歌で月月火水木金金…ってあるけど、まさに土日なんて関係無く(今でも関係ないが)毎日毎日朝9時から夜7時までは必ずオフィスにいた。その頃、ワイフとの会話で流行ってたフレーズは『キースからキースまで』。要するに、最初の患者さんだったキースさんはその後2週間に一度の割合で来てくれたんだけど、その間に患者さんが何人来るか?ってことっで(特にゼロ時に自虐的に使う)。


最初のクリニックの場所を選んだ理由。それは『カン』って書いたけど本当はちょっと違う…現実は、誰も場所貸してくれなかった。。。保証人も友人も知り合いさえもいない外国人が、つたない英語で、しかも聞いたこともない『SHIATSU』をやりたいって言ったって(この際、自分の外見は置いといて…苦笑)。for rentの広告見て、何軒も何軒も当たってやっと見つけたのが今のノースバンのクリニック。もちろん、最初は正規のテナントとして入れたわけじゃなく、そこを借りていたAnnさんというカラーセラピスト(もう一人のフィジオセラピストとシェアしていた)からの間借り。後から聞くと、前の人が俺よりとっても変わった人だったから、それよりはマシそうに見えたんだって(苦笑)。


結局、何年かしてAnnさんが故郷のウエールズに帰るんでテナントとしてテイクオーバーさせてもらったんだけど、それだって、彼女がランドロー(オーナー)に推薦してくれたから(ポイントは①レントを一度も遅らせたことがない。②毎日真面目に出勤している。③お客さんや他のテナントとのトラブルがない…てとこじゃないでしょうか)。とにかくカナダでは信用が第一。


それでも、自分は恵まれていました。本当に人との縁には恵まれています。Annさんもそうだけど、ランドローもご近所さんもいい人ばっかりだし、ビジネスライセンス申請に行ったときの市役所のTさんもとっても親切に教えてくれた。それと、バンクーバーに来る前に日本指圧専門学校の先輩であるトロントのS先生のところに一年間お世話になってたんだけど、この経験が本当に大きい。この時のことはまた別の機会に書きたいと思うけど、S先生だって浪越の先輩ってだけで元々の知り合いだったわけじゃないからね。なにごとも縁ですね。袖振り合うも多生の縁、っていうけどほんとその通り…頂いたご縁に感謝。



なんでノースバン?

大好きなんです…ノースバン(笑)。



幹部研修

ちょうどひと月前、愛彩創立以来初めてとなる幹部研修を実施した。

参加者は、自分を含めた4人のボードメンバー(役員)と各部課の代表者クラスにあたるミドルメンバー5人の計9人。

初めての事とはいえ、オフィスを臨時休業して朝9時から夕方6時までの本格的なものである(もちろん、終了後は打上げも…)。


もともと、自分は事業経営に興味があったわけでも特に勉強したわけでもない。指圧師とはある意味職人であり、この世界は良くも悪くも徒弟制度に近いものがあるので、勉強というのは人から教えてもらうものでは無く、師匠や患者さんや世間と接するなかで自分自身の修練によってのみ得られるもの。今まで、その発想をそのまま組織に持ち込んでいたし、実際過去10年間、自分自身も今の役員もそうやって鍛えられてきた。


実は、今回の研修実施の発端は、その役員達からの強い要望によるもの。店舗数にして7店舗ある現在、教えられなくても自分から盗め!って言われたって、ほとんどのメンバーにとって自分と接する機会はほとんど無いのが現状。それに、もはや愛彩メンバーは指圧師だけで構成されているわけではない。『組織の理念』をどうしたら理解してもらえるのか。


…ということで、初めての試みとなったのが、先月の13日。題して『第一回役員代表者幹部研修』。

午前は講義中心で、講師は自分以外には各部署の責任者である3人の役員。午後は、部署ごとに別れフリーディスカッション。そして最後は全体ミーティング。だいたい、こんな流れで行われた。ただし、事前の打ち合わせは一切なし。


結果。まず、直後の感触や各自からのレポートを分析した限りでは、想定の範囲内(ちょっと古い表現?)。

でも、楽しみなのはこれから。研修から一ヶ月たって、どこまで学んだことを現場で実践出来ているか…これが重要。研修に参加して、トップや上司の考えを聞いて、自分の考えも言って、現場の状況も話して…、それなりに得るものを得、モチベーションも高まったと思う。でも、これは幹部研修であってメンバー(社員)研修ではない。大切なことは、その思いを(日々日常のなかで)どれだけ人に伝えられるか?良くわかります…普通、突然話し出したって『???』て反応が返って来て当然。難しい…自分が理解するより人に理解してもらうほうが断然難しい。でも、メンバーや学生や患者さん…現場の生の声を組織として活かすには、絶対に必要なプロセス。


ローマは一日にしてならず。どんなことでも時間は必要。

大丈夫。愛彩のメンバーはみんな自分の意思でここにいるはず。何かに強制された訳ではなく、自分の為にこの道を選んだ人たち。愛彩の理念は『正しい指圧の普及』だけど、それは誰かのためじゃない。メンバー一人一人が自分のために考え自分の事として実践すること。指圧師であろうとなかろうと、愛彩メンバーとは患者さんの笑顔を知っている人達なのだ。



ちなみに、研修一ヶ月後のレポート提出は今日が最終日(もうほとんど来ているが…)本当に楽しみ。

今回の研修の本当の目的は、『より良い職場環境を構築する』なのです。

みんなが仕事しやすいようにね。

ハッピーウエディング

先週の金曜日、愛彩のボードメンバーの一人であるYさんの結婚式に出席した。

純白のドレスに身を包んだ彼女。まずは何をおいても『綺麗だねー』の一言につきる。そして、花婿のSさんも…意外と(冗)カッコイイぞ!


今思えば、イタリアの指圧大会に参加した時も…、ハワイ大学の解剖研修から帰って来た時も…空港に一抱えもあるバラの花束を抱えた男性が立ってたっけ。去年の国際大会のときも、Yさんの横には(決して目立たないけど)一所懸命彼女をサポートする男性の姿がありましたね。


ご家族の方々とはご挨拶程度で失礼してしまったけど…わかるよね。ご両家とも本当に人の良さが自然に滲み出る方々ばかり、こんな家族に囲まれて育ってきたからこそ、ベターハーフに出会えたんだね…お互いに。正にお似合いのカップル誕生って感じでした。式が進むにつれて、なんとなく、何年か前にうちのメンバー同士でゴールインしたAさんとKさんの時の感動が頭の中でリンクしだして、それから自分の時(もう10数年前ですが)も思い出して…胸が一杯になったなぁ(もちろん、続いてのディナーではお腹も一杯になって大満足…笑)。


Yさんは愛彩の役員であると同時に、指圧師として徒弟制度的な表現をするならば自分の一番弟子にあたる立場。真面目で正義感が強く、人の悪口を聞くのが大っ嫌い。何よりも指圧(とお酒)が大好きで、陰日なた無く人に好かれる性格。愛彩にとっても自分個人にとっても本当に頼もしい存在。彼女の笑顔にいままでどれだけ支えられてきたことか…。そんな彼女が遂に(?)結婚!!自分の事みたいにうれしいよ。きっと参加した他のメンバーも同じ気持ちだよね。身内の結婚式って本当にいいもんだ(次は誰だ!)。


夜は他の予定があり、2次会には出れなかったけど…さぞかし盛り上がったんだろうなぁ(ホントは聞いてるゾ!)。

本当におめでとう…そして感謝。末永くお幸せに。

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