エンジュCV本名陽子様
ヴィクトール様CV立木文彦様
フランシス様CV杉田智和様
ルヴァ様CV関俊彦様
エルンスト様CV森川智之様
ロザリア様CV三石琴乃様
メル様CV冬馬由美様
マルセル様CV優希比呂様

(あーあ、聖地は今日もいいお天気や。昨日のエンジュちゃん、ものすごくごっつー可愛かったん。昨夜から俺の人生はバラ色の人生や。オスカー様やのーても、俺のバックにも真っ赤なバラが咲くんやでー。そのバラを可愛いエンジュちゃんの髪に挿したりなんかしちゃったりとか、あはははは、でも赤いバラよりエンジュちゃんはピンクのバラにピンクのガーベラ、ラナンキュラス。俺の純真なピンクの♡で二人の恋を笑えるほどキレイに飾ったるんや。)

チャーリーは、昨夜の舞踏会でのエンジュとのキスから、このまま恋人同士の二人から結婚まで思いを馳せ何事も先手必勝、油断大敵と気を引き締めたつもりでスキップしそうな勢いでエンジュの住むアウローラ号まで公園の裏を通って近道を急いだ。木々の間にひっそりと東屋が見える、デートに最適な上に、アウローラ号からも近い場所だ。サプライズでランチデートに誘うにはいい10:45過ぎ、歩きながら端末で時間を見てポケットにしまいながら歩いていると、東屋に人影が見えるエンジュとヴィクトールだ。咄嗟にチャーリーは隠れた。

(あんな二人で肩寄せ合ってひそひそ話?必死な顔して34歳のおっさんが、花も恥じらう17歳の俺のエンジュちゃんに何話してるんや。ここからじゃ話が聞こえへん。もそっと近くにいったら、ヴィクトールに感づかれるし、読唇術も必須で覚えておくんやった。)


「ごきげんよう、チャーリー。」

植込みにうずくまるチャーリーに声をかけ、颯爽とフランシスは東屋に向かいエンジュとヴィクトール?にも挨拶をした。

「ごきげんよう、私のかわいいレディ。昨夜のドレス姿も美しいですが、今日のような愛らしいワンピース姿も素敵ですね。ヴィクトールもお元気そうで。レディよろしければ、これから私と一緒にランチはいかが?」

フランシスはエンジュの手を取ると東屋を出ようとした時、チャーリーは二人の前に立ちはだかった。

「ごきげんようや、フランシス。悪いけどエンジュちゃんの手離したってくれる。俺と先約があんねん。」

「先約?ただの出歯亀では?」

東屋で取り残されたヴィクトールに、エンジュが困った顔を向ける。

「チャーリー、フランシス、昨夜の舞踏会は楽しかったな。エンジュとチャーリーはこれからランチの約束があるらしいぞ。だからフランシスは俺の相談に乗りながらランチというのはどうだろう?」

「ヴィクトールが私のサイコテラピーを受けたいと?私ならどのような悩みでも寄り添うことが出来ます。他ならぬ貴方からの依頼です。お引き受けしますよ。」

フランシスがエンジュの手を放すと、すかさずチャーリーはエンジュの手を取り二人でアウローラー号へ歩いて行った。

「全く押しの強い方ですね。チャーリーは、エンジュをレディとして尊重すべきでは?」

「お前の押しの強さも中々じゃないか。チャーリーは花束も持っていたから約束してたんだろう多分。」

「ヴィクトールも隅に置けませんよね。人目を忍んだ東屋でエンジュと何を話していたんですか?」

「弟宇宙についてだ。令梟の宇宙。守護聖は揃っているようだが、女王陛下がまだご不在のようだ。主星からではなく、バースという惑星に女王候補がいるらしい。ジュリアス様が中心となって手助けされているようだが、聖獣の宇宙としても何かできないかと、そんなことを話していた。」

「令梟の宇宙も女王を戴く宇宙であるのに弟なのですね。」

「あぁ、妹もいいが、弟は弟で可愛いじゃないか。成長が楽しみだな。」

「ところで、私に相談したいこととは昨夜のエルンストのことですか?それともコレット陛下でしょうか?」

「そのお前は『源氏物語』を読んでいるか?」

「えぇ、参考程度にと思いましたが中々興味深い宮廷絵巻ですよね。コレット陛下が気になるのですか?それともリモージュ陛下?我々の世界も宮廷絵巻のようですよね。光の君は私でしょうか?」

「コレット陛下の憂いが心配だ。エルンストのこともあって、レイチェルの心配が増えているようだからな。」

「光の君が私なら、頭中将はオスカー様ですね。まぁ今更ですがコレット陛下の悩み事はアリオスでしょう。先日発見された。神鳥の宇宙の試験惑星ε₋αの件と令梟の宇宙とアリオスは単身で、王立研究院に相談もなく一人で探査に赴いているようですよ。戻る度に険しい顔が増々と険しくなり、コレット陛下を遠ざけているようですから。」

「その配役でオスカー様は納得されるのか?まぁ構わないが、エルンストが『源氏物語』の研究に夢中なようなだ。俺は題名とあらすじくらいしか知らないが、お前もセイランも詳しいなら守護聖としての必読書ということか。それにしてもコレット陛下とアリオスについて随分と詳しいんだな。」

「まぁ、闇の守護聖ですから色々とサイコテラピストとしても、人間関係や機微に聡いことは当然かと。エルンストの昨夜の光の君ぶりは、普段のエルンストと違って華やかでいい線いっていたかと、友人として男ぶりを褒めて差し上げては、きっとレイチェルの心配事の解決にもなりますよ。」

「そうか。新しい令梟の宇宙のためにも、聖獣の宇宙として助けになれるよう。憂い事は解決していかないとな。アドバイスありがとう。」

「これぐらいの事ならいつでも、全宇宙のために。」

「あぁ、またな。」

フランシスとヴィクトールは、それぞれに東屋を出て歩いていった。

その頃お昼を簡単に済ませたメルが次元回路を通って神鳥の宇宙に着いていた。王立研究院からルヴァの邸への送迎を断り、常春の神鳥の宇宙は風が聖獣の宇宙より柔らかいと袖まくりしたシャツに感じながら、エルンストとロザリア様は入れ替わっていて、二人を元に戻すのに必要な材料をどう調達すればいいのか考えていた。なるべく知られずに元に戻りたいのだろうから、あの人に頼むのが一番だけれど貴重な品だから譲ってくれるかと悩む。不意に大きな声で名前を呼ばれ振り返ると、マルセルが馬車のドアを開けてメルを馬車に招き入れる。

「メル、どこに行くの?ルヴァ様のお邸だよね?僕もこれからジュリアス様のお使いで行くんだ。一緒に行こう。」

メルは行き先が同じ以上、別も変?と素直に馬車に乗り込んだ。

「マルセル様はジュリアス様に何を頼まれてですか?」

「ルヴァ様が調べ物でお忙しそうだから、お手伝いするように頼まれたんだ。お腹空くかもと思って、スコーンやプリンをたくさん作って来たよ。みんなで何を調べるのかな?メルはレオナードに?あっ、きっとエルンストにだね。」

「マルセル様のプリン久しぶりで嬉しいなぁ。はい、そんなところです。」


その頃、ルヴァの邸ではルヴァ、エルンスト(ロザリア)、ロザリア(エルンスト)の3人で、入れ替わった二人を元に戻す薬の材料と元に戻るタイミングについての話が進められていた。

「えー、まぁ、そういう訳で真っ新な純白の月の神様の鱗が必要な訳です。龍の惑星の青龍族に伝わる希少な鱗で、龍の惑星の宝物庫にあるもの分けて貰えれば、二人の入れ替わりを元に戻す薬を作るのは出来るのですが、聖地の力を持ってしても貴重で禁制品な上、争いが起こらないようにと預けられた聖地で問題が起こったと言うことも伝えないと龍の惑星も簡単には渡してくれないでしょう。メルにお願いしてパスハから内々に分けて頂くにも、白い鱗はどのような不治の病にも効く万能薬ですから、まだ龍の惑星に残っているかも分かりません。」

「昨夜、メルは私と踊った時に私たちの入れ替わりに気付いているようでした。先程のメールに「必要なものを手に入れるための相談にいくよ。」とありました。だからメルは白い鱗がある場所を知っているのではないでしょうか?」

「じゃあ問題なく薬は出来て『桜の迷路』を抜けることが出来るのね。嬉しいけれどやはり危険の伴うものなの?」

「貴女の体の様子もですが、入れ替わった二人が元に戻ったという文献がないので探り探りです。薬を調合して、あなた達が頓服してから元に戻るまでの経過観察の時間も込みで、暫く試験惑星ε₋αに療養という名目で出かけましょう。レイチェルには貴女から説明してエルンストの療養滞在の許可を貰ってください。ロザリアと私の許可は貴方が女王陛下からいただいてくださいね。」

応接室の扉をノックする音が聞こえる。執事のイッサは中の了承を取ると扉を開け、メルとマルセルを案内した。


「メル、よく来ました。…マルセルも来てくれたんですね。」

「はい、ルヴァ様。これから大事な調べ物をされるんですよね。僕に手伝えることがあったら何でも言ってください。」

「おいしそうな香りがしますね。マルセルのお手製お菓子ですか。うんうん、頭を働かせるのにいいですね。流石、ジュリアスの人選です。」

「そうなんです。ジュリアス様に頼まれてきました。」

「エリクシールのような、龍の惑星に伝わる万能薬を作るのですよ。アンジェリークルミナライズという新作もできましたし。次作のアンジェリークはRPGということも考えられるので、治癒薬は多いに越したことはないでしょう。メルは材料の白い鱗の入手方法が分かりましたか?」

「ルヴァ様、あの、白い鱗は龍の惑星の宝物庫に保管されているもの以外に聖獣の聖地にもあります。チャーリーの執務室にある龍の絵です。螺鈿と月の神様の色々な鱗でコラージュしてあって、その中に白い鱗もあります。綺麗に額装されているので、チャーリーにお願いして1枚いただけるかどうか。龍のお腹の部分に立体感を出す様に丁寧に貼ってあるので・・・難しいかもです。」

「メル、大丈夫だよ。チャーリーさんだもん。天空の鎮魂歌で一緒に戦ったんだから、治癒薬の大切さをよく分かってらっしゃると思うよ。ルヴァ様、僕とメルでチャーリーさんにお願いに行きます。」

いい意味で内容を把握していないマルセルが、無邪気な強引さでチャーリーから月の神様の鱗を手に入れてくれそうだ。メルとマルセルにチャーリーから月の神様の鱗を貰い、エルンスト(ロザリア)はレイチェルから療養願いを、ロザリア(エルンスト)とルヴァも女王陛下に療養願いを出し、惑星ε₋αへ桜の迷路の糸口が漸く見つかった。

#Angelique26thAnniversary
#アンジェリーク26周年