2016年8月,弟が亡くなった知らせを受けた.


普段は滅多にかかってこない身内からの電話で,画面を見た瞬間に嫌な予感はしていた...


「あっ□□!?大変だ,〇〇が亡くなった」


ハッキリと覚えているセリフだが,聞いたときは何を言っているのか理解出来なかった.


頭の中は真っ白,離れている実家に向かうことになった.


僕と弟はそれぞれ別の県で仕事に就いているため,最近では年に2回〜3回程度逢えるくらいだった.


弟には悪いが知らせを受けるまで暫く弟の事を考えることもなかった.


実家に向かう道中は実感こそ無かったものの,涙が溢れて止まらなかった.


移動している時間はいつもより長く感じ,必死にどうか嘘であってくれと願った.


暫くして実家に到着.



玄関をくぐり部屋に入ると親戚が数人到着しており,一緒に母親も居た.


母親と目が合った時にすぐに部屋を出た.
瞬時に あぁこれ現実なんだ.. と思わされた.



もう一度部屋に入って聞いた.


「...なんで死んだの?」


「...自殺してしまった」


これを聞いたとき,怒りの感情が湧いたことを鮮明に覚えている.



はぁ⁈あいつ何してんの?


悲しみより怒りの感情が強かった.
親からもらった自分の命を粗末にした弟が許せなかった...怒鳴ってやりたかった.



弟の遺体は遠く離れたところにあり,警察による検死が行われている最中だと聞いた.


同時に父親が現場に向かっていることを知った.


聞くところによると,会社に出勤してないので,父親に連絡があったらしい.
実家に帰っていますか?と聞かれたが,そんなはずはない.



お願いして弟が住んでいる家に入ってもらったら,変わり果てた姿の弟を発見してしまったとか.



検死の結果からは発見の半日以上前には既に亡くなっていたようで,事件性は低いことから自死と断定したとのこと.



弟は人当たりが良く,たくさんの友人に恵まれており,特に大きな悩みなどないように思えた.



よく笑う好青年で,小さい子供達の面倒見もよく.兄としては誇らしい自慢できる弟だった.



実家に集まった時には仕事のことや,日々の出来事を楽しく話しながら酒を飲み交わした.



遺書なども見つかっておらず,なぜ死んだのか...全く意味が分からなかった.


...なんで


...なんで



...答えの出ない考えが頭を巡っては消え...この日はずっとモヤモヤして過ごした.