ゴッホが、これほど浮世絵に影響されていたとは! 

 

浮世絵が、彼に、突破口を与えた。

 

ゴッホは、デッサンがなっていなかった(ピカソと異なる)が、それを逆手にとって、キュービズムの先駆とも云うべき、歪み、遠近法からの逸脱へと、弱点を変身させた。

 

極限的にまで進んだピカソの前駆として、あるいはピカソに対する前もっての批判として、近代人の不安、心のゆがみを、なまなましく具象化した。

 

浮世絵の様式美と、彼の個性である歪み、視覚異常、分裂症が、合体し、花開いた。

 

細部は、精神のサイクルに応じて、執拗な時もあり、混濁し、雑な時もあった。

 

がしかし、それを、安定的に支え続けたのは、ジャポニカの様式だった。

 

さて、都美術館の地下では、現代の表現派の作品展が催されており、ゴッホとは正反対の、デジタルリアリズムのオンパレードだった。

 

あまりの両者の隔絶、矛盾に、ワチキはそれらを統合する評言を、現時点で、見出せない。