首の長いあの昆虫のことだ。

小学生の私は、残酷にも殺虫剤で、カブリを殺そうとした。

畳の上に押さえつけたカブリの腹がみるみる膨れてきて、ケツの先端からペニスのようなものが、新芽のように伸びてきて、反り返って、接近して覗き込んでいる私の目に、毒液を噴射した。

痛いの何の。

私は転げまわった。

しかし、失明すると思い、台所に走って、蛇口をひねり、眼を洗った。

仰向けになって、水を顔に当てたのだ。下から仰いだ蛇口の拡大図は今でも描ける。

目は助かった。だから、今も、本を読める。