眠りから覚醒すると、その家のお嬢さんが、そばに坐って、団扇で風を送ってくれていた。

真夏、裏日本、セミの声がかしましい。

廊下に鶏が飛び乗った。

こーりゃ。団扇がそっちのほうにひるがえる。

また、私に、風を送ってくれる。

お疲れになったのですね。

申し訳ありません。お世話になりました。

庭の木々の向こうに見えるのは、青々とした、悠然たる大山だ。

小六の時、夜行の列車に乗って、母と妹と一緒に、スキーに来た。

夫を失って三ヶ月の母は、自然にまみれれば、どうにかなるかもしれない、などとつぶやいていた。

大山には、子供の頃に来たことがあります。ずいぶん印象が違いますね。

あは。それは、あなたが、お子さんだったから。

大山は、いっつも、かわりませんよ。