大人の影は長かった
あの日僕等が見ていた大人達は
こわいものひとつもないくらい
頼もしさに溢れていた
ときに…しかられたり
その手の大きさに安心したり
その目のやさしさばかり…おぼえてる
僕は今ひとりで河原を歩く
べつにさびしいわけじゃ
なくって
あの日僕等が見ていた大人達へ
すこしは近づけているだろうか
見るものがそんなにも
変わっちゃ…いなくって
あくびひとつで未来が変わるような
手拍子ひとつで流れが変わるような
そんな世界ばかりで埋め尽くされて
たまに雨降り
だから生きて行けるのでしょう
言葉をいっぱい知ることは
言い訳の数を増やすこと
枝分かれしないひとつの真実を
ただ掴みたいだけなのに
やたらと周りが気になる様子で
他人の声のありがたみさえ
また、聞いて聞かぬふり
けして有能じゃないからと
それは承知でいるけれど
遅れは取りたくないもので
座り込んではいたくない
けれどもう
好奇心だけでは動けずに
また今度、明日からと
一滴二滴と
甘い汁を心に
垂れしのぐ瞬間を
待っているばかりになった
舌をのばすきっかけ
それはもしかしたら…
誰かさんが、
大切な宝物を失くした瞬間…
なのかも知れないよ
：
：
影の中身はいつも空っぽ
すぐに消えちゃう臆病者
だけれどそれも
自分の形
褒めてあげなよ
恥ずかしがらずに
立派に成長した
その長さのことから
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