なにかをさがした
のどかなこの場所
気づけばいつでも
どこかに忘れた
なにかをさがした
苦しいことから
抜け出す手順の
いちばん最初が
なにかをさがした
愚痴もこぼさずに
ただ黙々と
仕(つか)えつづける踏切
私がいま
ここに来れたのは
君のおかげ
小さい頃には
母の右手を握るだけで
どこまでも歩けた
だから
路地の屋台へも
溝隅の花へも
安心して走れた
遥かな時間を
瞼に綴じ込み
眠れば
夢からその場所へは
一直線
ここから見えたものは
手のぬくもりを離れ
せかしてみたり
しゃがみこんだり
独りじゃない自分
たくさん有るけれど
こじつけばかりでも
「いいや」
誘いの言葉を
かけてみたくなった
どこかに忘れたなにかを
いちばん最初がなにかを
さがして
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