まず、D組へ行き、さりげなく周囲の人間に事情を聴くことから始める。ラファエレが動いていることが教員側にばれたら、ややこしいことになるので、その点は徹底しなければならなかった。方法は簡単で、誰にも気づかれないようにD組に侵入し、あたかも、同じクラスの人間のように古沢という人物に近い生徒に声をかける。
「畑山君。古沢君って、いつ金をとられたの?」
「朝、登校して、僕達と校庭でバスケをしたんだ。帰ってきたら、財布がなくなっていたんだよ。」
と、こんな風に。
「何で学校に三万も持ってきたの。」
「入学式の前に、制服の採寸をしただろ。その時にあいつの母さんが間違えて一二五センチの靴を買うはずだったんだけど、一二四センチのものを買ってしまったてよ。」
「なるほど。」
彼の頭の中には犯人は教員の中にもいるかもしれないということだった。咄嗟的に金を盗みたい衝動に駆られたという場合には別の推理が必要だが、三万もの金を盗んだら、発見が早いのは必至。いくら衝動性を持ち合わせた犯人でも、そのようなことはしないだろう。と、言うことは、計画的に金を盗んだとしか考えられない。登校が早い古沢の金を盗むとなると、生徒の中に犯人だとすると、だいぶ限定されやすく、いくら大雑把な教員でも気付く人はいるだろう。「それでも・・」と思う人もいるだろうがまずは、教員の中に犯人がいるという推理の照明をしなければ、教員らのことだから早いところ証拠の隠滅を図るだろう。そうなると、もう手の出しようがない。ということで、教員から調べることにした。