ナンバー01 愚者の旅路 あるところに一人の愚者がいた。 だが、愚者は自分のことを愚者とは思ってはいなかった。なぜなら、彼の中には、神が伝えた普遍の真理があったからである。どんなに愚かだといわれようが、この真理を心に刻む限りにおいて彼は絶対的に正しく、そして賢者であった。 ある肌寒い朝のことである。僕は、一人の踊り子と出会った。 羊を追わせて犬を走らせていたころの青々とした緑も、もうとっくに白い毛布をかぶって朝が来るのを待っている、そんな季節のワンシーンである。 「うっ、寒い。」 今の