毎年恒例となった3月サイクリング。

本格的な新年度、桜の季節が始まる前のこの時期に、僕は毎年決まって自転車にまたがり自分との対話を行う。そう、このサイクリングの目的の半分以上は走っている間に、町の空気を吸い込み、感覚を研ぎ澄ませて考えることにある。東京という町全体が出す音に耳を傾け、目に映る全てを脳裏に焼き付け、吹き付ける風を全身で受け止める旅。

 

思えば2013年から、春は変化の連続だった。

2013年:新卒で入った会社を辞めて、大学院進学のため心機一転上京する

2014年:人生初の3連単的中、競馬で10万以上勝つ

2015年:博士課程進学への夢を絶たれ、高校教師となる

2016年:アフリカ行きが決まり、準備に勤しむ

2017年:ルワンダ滞在中、初のアフリカ海外旅行としてタンザニアに上陸

2018年:マダガスカルにて初めてOOOOOOO

 

そして2019年。

今年は10年以上人生の夢としていたことが実現する年となる。

それは、大学で教えるということだ。別に大学で安定した正規教員の職が取れたというわけではないが、とにかく、英語の授業を持たせてもらうことになったのだ。2008年、早稲田大学国際教養学部に入学してから、僕は大学の教壇に立つということをずっと夢見てきた。学習指導要領などに縛られず、自分のやり方と自分なりの視点、そして経験で学生に楽しい学びを提供することは、とても創造的でやりがいがある仕事に見えた。これを実現するために、ずいぶんと長い道のりを歩いてきた気がする。

新任として不安が募る中、教師デビューをした。そして、アフリカにも行って外務省の一員としての勤務も経験した。自分の中ではこれが一番大きかったように思える。フルタイムの職員として、基本的に土日以外は毎日働き、自分の仕事と向き合った。その結果、上部が決めたことをいかに間違いのないようにこなしていくかが問われる外務省の仕事は、それほど自分には合っていないかもしれないと思って2年間の任期終了とともに終わりにした。帰ってきてから、いや日本に帰る前からずっと、できることならもう一度大学教員の道を目指そうという思いは持ち続けていたのだ。それが、4月から現実のものとなる。

 

新規事業では正直、様々な壁・逆風に直面していて、まだ胸を張って人に「会社のCOOをしている」といえる状況にはないし、成功の道筋も見えてこない。しかしせめてこの4月だけでも、大学の教員としてデビューできることを多いに喜び、誇りに思い、精一杯の情熱と準備をもって授業に臨もうと思う。それが、10年来の自分の夢に対する向き合い方なのではないだろうか。

 

今回は、目的地に多摩湖を選択した。

その途中、大学4年間を過ごした花小金井、その中でもWID花小金井に立ち寄った。行ってみて驚いたのは、寮が入っていたはずの建物は名前が変わり、もうWID花小金井ではなくなってしまったということだ。前に立ち寄ったのはいつのことだろう、おそらくはアフリカに行く前、3年ほど前のことだったように思う。あの時はまだWID花小金井だった。

大切な仲間たちと酒を飲み、夜遅くまで騒いだあの日々。帰ってくるたびに「おかえり」と迎えてくれた寮長さん・・・

これからは、こうやって昔の思い出が一つずつ消えていくことになるのだろうな、ということを予感させた。

 

30歳。一つの節目を迎えた今年は、とりあえず上に書いたような大きな変化は起こさず、自分の目の前にあることに全力で取り組んでいく1年にしたい。そして、その結果をまたこのブログに書きたいと思う。

 

ところどころでは桜が咲いており、酒盛りとはいかないが、子連れの女性や引退した人たちが花見に興じている。毎年恒例、日本が一番日本らしくなる時期だ。2017、18は海外にいたこともあり桜を楽しむことができなかったが、今年は心行くまで楽しもうと思う。