2017年、1月11日。

日本での休暇を終えた僕は、絶望の淵に立ったままルワンダに帰って来た。

 

それから半年以上。実は、1日も有給休暇を使っていない。

何故使わなかったのか?それは溜めてドカン、のためだ。

 

ちょこちょこ使っても国内ではさして行くところもないため、

使える時にドカンと使って長期旅行を楽しみたいのだ。

 

同僚たちが休暇を取っている間も、じっと耐えた。

タンザニア、ウガンダ、ドバイなど直行便が飛んでいるところへ短期で旅行しては耐えた(この時点で既に完全な我慢生活ではないのだが、それはひとまず置いておこう)

それは、先に待っている夏休みを思い切り楽しむためだ。

 

2月、3月、4月・・・

このあたりは、本当に出口がないトンネルに入ったような気分だった。まだまだ先は長い。高速道路で言うと、「走っても走ってもまだ静岡」の気分だ。

 

5月、6月・・・

ようやく少しだけ光が見え始めて来た。しかし、まだゴールは遠いので、とりあえずドバイという水面に出て、息継ぎをする。

 

7月、国会議員がルワンダに来たのでかなり忙しかった。あれよあれよと言う間に終わった。

 

8月、ほぼ夏期休暇だけを楽しみに仕事に励んだ。

 

そして、いよいよ明日からルワンダを抜け出して、希望の大地、ヨーロッパへと旅立つ。もう、今までこれほどに、何かを「待った」ことがあっただろうか。

 

幸せなことだが、日本では日々が割と充実していたため、たしかに楽しみなことはあっても、カウントダウンアプリを使ったり、カレンダーに、Xを付けていくといったことはしていなかった。

 

今では、一日が終わったタイミングで、カレンダーの日付に、Xを付けるのが、一日の小さな楽しみになっている。

 

自分で言うのもアレだが、別に日々が充実していないわけではない(と思う)。仕事もそれなりに楽しいし、出張者やコンサルさんとの飲み会もいつも新しい発見に満ちている。休日は友人とのテニスや小説執筆に精を出す。

 

しかし、言うてもスカっとした娯楽が少ない。そして車も持っていないため、生活範囲がぐっと狭くなる。(持っていてもさして行きたくなるような魅力的な場所は少ないし、何よりスピード違反を取り締まる警察がウザすぎるため、純粋にドライブなど楽しめないのだが)

 

だからこそ、この旅行の準備は非常に入念に立てた。

宿を取ると、その近くのレストランを地図を使って検索し、どの日のどの食事にどのレストランに行くかまで考えた。

 

まず、ドバイまで出て、まっとうなマッサージを受ける。そして、ルーマニアへ向かう。ここで、大学時代の友人Aと合流し、トゥルダという洞窟を観光する。

 

その後はアテネ入り。ここでは高校時代からの友人Kとメテオラ、エーゲ海の島、パルテノン神殿を巡り、南欧を満喫する。

 

3か国目はスロヴェニア。ここには、高校時代の友人Oが旦那さんと一緒に住んでいる。有名なブレッド湖とマイナーなヨーロッパの雰囲気に浸る。

 

最後に、but not least向かうのは、クロアチア。昔から一度は行ってみたかったドゥブログニク市内観光を楽しむ。

 

昔は、旅行=トラブルのネタを拾うもの、と考え、何か面白いことでも起きないかなあと思っていた。しかし、1年2か月にわたる大使館での仕事はかなり僕を保守的にした。今は、詳細に組んだこのロジを、狂いなくやり遂げたい、という思いが強い。むしろ、この旅行を計画通りに実行することこそが、最大の任務である。

 

さあ、かなり気合も乗ってい来たところで時刻は22時30分だが、24時間後の出発にも関わらずまだスーツケースが空であることを、まず一番に心配しなければならないと思う。