ルワンダに滞在していて、日本人も含めた外国人の口からよく聞かれるのは、
「娯楽が少ない・・・」
確かに、なんとなくそれは感じます。
ただ、突き詰めて考えると、「娯楽が少ない」というのはちょっと違う気がします。
敢えて言えば「ふらっと出歩けるような魅力的な場所」がない、と言う方が正解でしょう。
だって、娯楽ならばテニス、ゴルフ、サイクリング、乗馬、ランニングなどアウトドア限定ですが、いろいろと楽しむことができるからです。
美術館、アート及び映画館がないから娯楽がないというのも、一つの意見ですが、そういったものにあまり興味がない自分限定で考えると、日本でもそれほど興味がなく、楽しんでいなかったので、別にあっても無くても大勢に影響は及ぼしません。
では、この国には何がないのか??
それを考える前に、ただ、私達を普段日本で楽しい気分にさせているものといえば、仕事帰りに立ち寄る駅の商業施設であったり、飲食店がたくさん軒を連ねる駅前通りであったり、専門店が入居するショッピングセンターなど、気軽にふらっと立ち寄れる、いわばわざわざエネルギーを使って行く必要のない場所ではないでしょうか。
日本人は、わざわざ行かなくてもふらっと気軽に立ち寄れるような場所に日々の楽しみを感じているのではないか、と思います。
友人とお茶をするちょっとおしゃれなカフェは、わざわざ車や電車に乗って行かなくとも、最寄り駅の近くにたくさんありますし、知的好奇心を満たす本屋も、駅もしくは家までの道のりにあります。会社の仲間や友人と飲む居酒屋も、職場の最寄り駅の近くや会社の近くにたくさんあって、いろんなメニューが楽しめます。
スーパーマーケットも、イオンや西友のように大規模なものならば、様々な商品が並んでおり、行くだけで楽しい気分になれます。日本は片田舎までイオンショッピングセンターが整備されていて、ふらっと立ち寄れる専門店街を備えています。
僕は日本で働いていた時、勤務の後によくこういった場所に立ち寄っていて、それなりに楽しい気分になることができました。劇的に楽しい気分にはなれませんが、日々、安定的に楽しさを与えてくれます。
そういったものが、この国にはないのです。
娯楽はありますが、どれも車やタクシーに乗って「わざわざ」行かなければならないものです。しかも、自分は車を持っていないので、全てが手に入るわけではなく、アクセスはかなり限定的になります。でも、娯楽があるというのは事実です。
それなのに、こういった細かい原因をよく分析せずに、一言、都合の良い言葉で「娯楽が少ない」と言って片づけて来ました。そして、それは間違いだということに今日気が付きました。
ただ、まだ一人当たりのGNIが700ドルのこの国に、気軽にふらっと立ち寄れる、魅力的な場所を求めるのは酷でしょう。入園料がバカ高い国立公園はありますが、気軽に立ち寄れる市民公園だって首都にゼロなのですから。
だから、「気軽にふらっと立ち寄れる」系の娯楽を頭の中から捨てるしかないのです。
この国で娯楽を楽しむ、余暇を充実させようと思うならば、わざわざ目的を持ってどこかに行けば良いのです。
逆に言えば、日本のようにそれほど苦労せずに、日常的にふらっと楽しめるような娯楽を期待して受け身になっていてはダメです。自分から動かねばならないのです。
まだ、自分から動く必要があったとしても、娯楽があるだけ喜ぶべきなのだと思います。他のアフリカの国は移動することすらも危険で娯楽などままならない場所もありますので。
とりあえず、娯楽がないのではなく、ふらっと気軽に立ち寄れる場所がないのだということに気付けて良かったと思います。(まあ、これに気付いたところで自分の生活が劇的に充実することもまたないでしょうけど笑)