もう今日はとことん今の自分の現状を嘆く日とする。だって勉強のやる気も湧いてこなければ外は寒くて走る気にもなれないからだ。こういうときに一時の救いを与えてくれるのは風呂の時間だ。人間は汗をかくことで中に溜まっている良くないものを出し切ってリセットすることができるのだろう。外に出るといかにも12月らしい深い夜空が突き抜けていた。空気が澄んでいるため雲は透き通って黒と白のコントラストを見せている。ここ1週間は寒さもいよいよ本格化してきたようでダウンコートなしで外出するのが困難になった。この冷たい空気に埋め込まれたキオクとして、そういえば去年の今頃はうまくいくはずもない恋を成功させようともがいていたが、結局それは実ることなく終わったなと今ではまるで他人の話のようにどこか冷めた視点で思い出す。
家を出ると急な坂を下っていく。坂の途中にあるこのアパート前の急坂からは遠くの新宿副都心のビル群まで視界に入れることができる。周りには家がびっしりと立ち並び、その中には小規模なアパートもところどころに混じっており庶民が住む住宅地といった感じだ。坂を下りきったところに猫がたくさん集まる家があるが、今日はかなり寒いためにどこか温かいところに隠れているのだろう、誰も見かけない。左側は不自然で大きな空き地になっている。高いフェンスが張り巡らされているが、それでも飽き足らずに、「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板が私たちを見下ろす。マンションでも立てようと土地を購入したが、メドが経たずあきらめたのであろうか、そんな虚しさが漂う空き地だ。そこを過ぎて少し大きめ(といっても一方通行だ)の道に当たる角に私がよくお世話になっている「豊川浴泉」はある。ここはコインランドリーも併設されており、いつも誰かしらがいるところをみると洗濯機はどの家にもあるものではないのだということが見て取れる。確かに高価だし、洗ってから洗濯物を乾かす手間を考えると、できるだけ洗濯物が出ないように調節してまとめて、洗濯→乾燥という流れのほうが都合が良いのかもしれない。その銭湯はいかにも昔ながらといった感じの場所だ。内部はこの時代においてよくこんな古いものが今も変わらず残っているなあと感心してしまうような大きな木材を使って組んだ骨組が天井を支えている。浴室内は清潔そのものだが、設備はかなり古いと思われる。水道も完全に水とお湯に分かれており押した分だけ水が出続けるというかなり古い仕組みのものである。
まずロッカーに荷物を預けて風呂に入ると、私はその古い水道設備を使わずに角にあるシャワースペースへと行く。ここは水泳プールにあるような大きなシャワーが2つあり、立った状態で体全体を洗うことができる。いつもここで体を洗ってから浴槽へと入るのだ。肝心の湯船なのだが、ここには大きく分けて3つの浴槽がある。地元大垣の銭湯にあるような巨大なものではないが、左から順番に「薬湯」、「ジェットバス」、「泡風呂」となっている。この中で気に入っているのは左側にある薬湯である。ここは一番浴槽が深く、立ったままでもちOこが隠れるところまで浸かることができ、下からブクブクがあるので肌に泡が当たって弾ける感覚もソフトで心地よい。いつもはだいたい5分くらいここでくつろぐことにしている。5分というと短くないか?と思うのだが、ここは湯の温度がだいたい45度に設定してあって、体温よりもかなり高めのため、少し入っているだけでポカポカと温まることができる。いつもこの時間に来ているので周りを見渡すと、だいたい同じような顔を見ることができる。「あ、今日はあの人やたらと長く入浴しているなあ」とかそんなどうでも良い観察を頭の隅でしつつ、ゆったりと温まる。汗がどっと噴き出てて若干の立ちくらみを感じるのでいきなり頭は洗わずにまず各個人用の席のところに座ってしばらく落ち着くのを待つ。この時間がなんとも心地よいのは事実だ。汗が体の内部から噴き出てきてそれが空気に触れて少し冷たくなり、肌にひんやりとした触感をもたらすと、だんだんと立ちくらみも消えて次の行動に移れる状態になる。
頭を洗うときは自分の席ではなく、立って使えるシャワーを使用することにしている。そちらのほうがお湯の出が良いし、温度調節ができるからだ。しかし、いつも簡単にこのシャワーが確保できるとは限らない。おそらくみんな個別のシャワーよりもこの共有のシャワーのほうが出が良いことを知っているのでけっこうな頻度で使用されている。そこでだいたいのタイミングを見計らって立ち上がったり、風呂から出たりするのだ。そこで時間のロスなくシャワーを確保できると少ししてやったりと思う。一連の作業を終えると再び浴槽に入る。ここまで終えるとかなり体も冷ええくるのでもう一度温まるとまた心地よさに包まれる。2回目はできるだけ一回目とは違った湯船に入ることにしており、スタミナが持つときは3つの種類の浴槽のすべてに入るようにしている。あとは出るタイミングだ。脱衣場はかなり大きいというわけではないので、一度に4人以上がいるとかなり混雑してしまいストレスに感じることがある。そこでここでも湯船の中から脱衣場の動きを観察するなどして空いたときに悠々と出るようにしている。今日は日曜日ということもあり、かなり混んでいて一気に7人くらいまとまりで出てかなり混雑していたのでもう一度湯船に浸かってから上がった。
「ありがとうございました」というまるで自動放送のようにタイミング、声色も全く変わらない番頭の声に見送られてドアのスイッチを押して外に出る。このドアのボタンもだいぶ反応が鈍くなってきているが、もう通い詰めているとどの部分を押したらよいのかが分かってくるので最近は一発で開かないことはない。またここで冷たい空気に包まれて肌がきゅっと縮んで熱を逃がしまいとする。その動きは神経伝ってブルっという肌の動きとともに心地よい快感をもたらしてくれる。ここに来るときは寒さに震えながら小走りできたものの、十分に湯で温まったのでふらふらと歩きながら体を覚ましつつ家に戻っていく。これが日曜日の些細な楽しみ。
家を出ると急な坂を下っていく。坂の途中にあるこのアパート前の急坂からは遠くの新宿副都心のビル群まで視界に入れることができる。周りには家がびっしりと立ち並び、その中には小規模なアパートもところどころに混じっており庶民が住む住宅地といった感じだ。坂を下りきったところに猫がたくさん集まる家があるが、今日はかなり寒いためにどこか温かいところに隠れているのだろう、誰も見かけない。左側は不自然で大きな空き地になっている。高いフェンスが張り巡らされているが、それでも飽き足らずに、「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板が私たちを見下ろす。マンションでも立てようと土地を購入したが、メドが経たずあきらめたのであろうか、そんな虚しさが漂う空き地だ。そこを過ぎて少し大きめ(といっても一方通行だ)の道に当たる角に私がよくお世話になっている「豊川浴泉」はある。ここはコインランドリーも併設されており、いつも誰かしらがいるところをみると洗濯機はどの家にもあるものではないのだということが見て取れる。確かに高価だし、洗ってから洗濯物を乾かす手間を考えると、できるだけ洗濯物が出ないように調節してまとめて、洗濯→乾燥という流れのほうが都合が良いのかもしれない。その銭湯はいかにも昔ながらといった感じの場所だ。内部はこの時代においてよくこんな古いものが今も変わらず残っているなあと感心してしまうような大きな木材を使って組んだ骨組が天井を支えている。浴室内は清潔そのものだが、設備はかなり古いと思われる。水道も完全に水とお湯に分かれており押した分だけ水が出続けるというかなり古い仕組みのものである。
まずロッカーに荷物を預けて風呂に入ると、私はその古い水道設備を使わずに角にあるシャワースペースへと行く。ここは水泳プールにあるような大きなシャワーが2つあり、立った状態で体全体を洗うことができる。いつもここで体を洗ってから浴槽へと入るのだ。肝心の湯船なのだが、ここには大きく分けて3つの浴槽がある。地元大垣の銭湯にあるような巨大なものではないが、左から順番に「薬湯」、「ジェットバス」、「泡風呂」となっている。この中で気に入っているのは左側にある薬湯である。ここは一番浴槽が深く、立ったままでもちOこが隠れるところまで浸かることができ、下からブクブクがあるので肌に泡が当たって弾ける感覚もソフトで心地よい。いつもはだいたい5分くらいここでくつろぐことにしている。5分というと短くないか?と思うのだが、ここは湯の温度がだいたい45度に設定してあって、体温よりもかなり高めのため、少し入っているだけでポカポカと温まることができる。いつもこの時間に来ているので周りを見渡すと、だいたい同じような顔を見ることができる。「あ、今日はあの人やたらと長く入浴しているなあ」とかそんなどうでも良い観察を頭の隅でしつつ、ゆったりと温まる。汗がどっと噴き出てて若干の立ちくらみを感じるのでいきなり頭は洗わずにまず各個人用の席のところに座ってしばらく落ち着くのを待つ。この時間がなんとも心地よいのは事実だ。汗が体の内部から噴き出てきてそれが空気に触れて少し冷たくなり、肌にひんやりとした触感をもたらすと、だんだんと立ちくらみも消えて次の行動に移れる状態になる。
頭を洗うときは自分の席ではなく、立って使えるシャワーを使用することにしている。そちらのほうがお湯の出が良いし、温度調節ができるからだ。しかし、いつも簡単にこのシャワーが確保できるとは限らない。おそらくみんな個別のシャワーよりもこの共有のシャワーのほうが出が良いことを知っているのでけっこうな頻度で使用されている。そこでだいたいのタイミングを見計らって立ち上がったり、風呂から出たりするのだ。そこで時間のロスなくシャワーを確保できると少ししてやったりと思う。一連の作業を終えると再び浴槽に入る。ここまで終えるとかなり体も冷ええくるのでもう一度温まるとまた心地よさに包まれる。2回目はできるだけ一回目とは違った湯船に入ることにしており、スタミナが持つときは3つの種類の浴槽のすべてに入るようにしている。あとは出るタイミングだ。脱衣場はかなり大きいというわけではないので、一度に4人以上がいるとかなり混雑してしまいストレスに感じることがある。そこでここでも湯船の中から脱衣場の動きを観察するなどして空いたときに悠々と出るようにしている。今日は日曜日ということもあり、かなり混んでいて一気に7人くらいまとまりで出てかなり混雑していたのでもう一度湯船に浸かってから上がった。
「ありがとうございました」というまるで自動放送のようにタイミング、声色も全く変わらない番頭の声に見送られてドアのスイッチを押して外に出る。このドアのボタンもだいぶ反応が鈍くなってきているが、もう通い詰めているとどの部分を押したらよいのかが分かってくるので最近は一発で開かないことはない。またここで冷たい空気に包まれて肌がきゅっと縮んで熱を逃がしまいとする。その動きは神経伝ってブルっという肌の動きとともに心地よい快感をもたらしてくれる。ここに来るときは寒さに震えながら小走りできたものの、十分に湯で温まったのでふらふらと歩きながら体を覚ましつつ家に戻っていく。これが日曜日の些細な楽しみ。