今、私は深き森の中にいる。


いや、実際にまわりには森なんて存在しないのかもしれない。


しかし、自分を何者かが取り囲んでいる。


いや、意図的に私はそれに取り囲まれているのかもしれない。


その森は、私と社会とを切り離す役割を果たしているのだ


ということに気が付いた。


見えない森の中ではひたすら自己の追及と知識の醸造が行われている。


純粋に自分が学びたいことのみを学び、本を読む。


これほど本を読むことが楽しいと感じた日はない。


小説では体現できぬ奥深い社会学の世界に酔いしれるとともに


ただならぬ引きこもり感を感じている。


いや


これは言い過ぎだ。


引きこもりというのは、うわべをなでる人間関係から傷を受けるのを恐れるあまり


対人関係そのものを放棄している状態のことを指す。


今の自分は対人関係の放棄などしてない。


ただ、対人関係がない状態を楽しむというのも、なかなか貴重だ。


何事も、誰をも心配することなく生きる日々。


森の木がざあざあと揺れる音が聞こえる気がする。


不思議な時間だ。