外に出るとすっかり夜になっていた。

昼までの荒れた天気は一転して淀みのある晴れを背後に抱えた夜空が私達に広範囲からのしかかってくる。

辺りはほんのわずかな霧が出ていて広々として神宮外苑一体を神秘的に照らしていた。

私達は駅まで歩きだす。

そういえばこの明治神宮一体は東京の中心にありながらかなり異質な雰囲気を持っている、というか醸し出している。

都会なにに一般的な建物はなくて、その代わりに巨大なスポーツ関連施設が立ち並んでいる。

明治神宮球場、サッカー場、ラクビー場なのである。

それらは大きな客席を持っているので下から見るとそそり立つ壁のように見えてその上部だけが光っているようでまるで夜空から光を集めているかのように一種の不気味ささえ感じて光を放つ。

その周りを覆っているのは一定の間隔で整然と整備された街路樹の列である。

夜、しかも月もなく晴れた夜だとそれらは我々のゆく手に黒い影となって潜んでいる。

ところどころにある表示、電光掲示板だけがここが東京の中心であることを認識させてくれる。

この中を歩いているとここが一瞬現実世界か非現実なのかわからなくなってくる。



私が普段勤務している岐阜の工場の中の何倍も濃くて思い時間がここには流れているのだということを肌で感じることができた、またそういった雰囲気を大切にしていきたいと心から願った。

私達はダンスの話をしながら歩いていく、どこまで行ってもこの独特な空間が続いている。

ふと、非現実世界に誘われたくなったなら、明治神宮でも散歩してみてはいかがだろうか。


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