「シェルボーイの学生生活」 より一部抜粋
練習を終えて帰宅してもまだ5時前である。
やはり早起きをすると一日が長く感じられるというのは本当のようだ。
早速私は自分に課したノルマである卒論一日3時間を実行しようする、前に夕食を食べることにした。
今週はなんだかんだいって刺身系を口にできていなかったので西友でパックの寿司を買って食べることにした。
いつもならば880円の寿司を買うところだが、よくよく見るとイカが2個入っている。
私はイカだけは海産物で嫌いなのでイカが1個しか入っていないとなりにあった680円の寿司を買うことにした。
部屋でゆっくり味わって食べてからゆうきを部屋に呼んで共に卒論に向かった。
やはり他人と一緒に勉強するのはよい
。それは監視し合えるからである。
ゆうきが床に座って、私が机でパソコンに向かう。
うん、たしかに他人の目があると勉強に集中できるようだ。そして、なんだか安心感がある
。「あいつも勉強しているんだから、俺も頑張ろう。」要は他人と一緒に勉強する意味はそこにあるのだと思う。
本来学生にとって勉強とは、自分からはなかなか進んで喜んで行うものではない、悲しいことに。
でも友人と一緒ならば頑張ろうという気持ちにもなれるのだと思う。
だから家で独りで勉強するよりも、塾の自習室のほうが一生懸命勉強できるのも他人の目があるからなのだと思う。
そして、最後の最期の大イベント!今日は11年ぶりという皆既月食の日なのだ。
皆既月食とは、太陽、地球、月が一直線上に並ぶことで起きる現象らしい。
だから、勉強していてもなんだかポジティブな意味でそわそわしていた。
早く9時45分にならないかと机に向かう。
そして、50分くらいになって一度外へ出てみると空気が澄んだ空に着きが浮かんでいた。
それは真っ黒な空に白く映えていて冷たさを感じさせる。
そして、よく見ると、左端の部分から少しづつ欠けだしている。
それは三日月のようなきれいな欠け方でなかくて、まるで誰かがビスケットをかじったようなラフな欠け方だった。
フサア~っという効果音があっているような「これから何かが起きる前触れ」という言葉が似合っている。
私たちはそのまま屋上へ行った。
するとそこには他の寮生たちが集まっている。
伊藤さん、千葉くん、各務。
みんなでこのようなレアなイベントを目撃するというのは相当テンションが上がるものだ。
寒いのなんて吹き飛びそうなくらい興奮した私たちは10分ほど見ながらまた後で会おうと言っておのおのの部屋へ戻っていった。
そんな日は勉強もはかどるものだ。
しかし、どうしても月が気になってしまってまた外へ出て今度は完全な皆既月食にお目にかかることになる。
完全に月が地球に隠れると赤色に光ると聞いていたので楽しみにしていると確かに濃いオレンジのような色に光っている。
それは、ディズニー映画などで、悪役のいる城から漏れるオレンジ色の光に似ている。
ぞっとするような恐ろしさと神秘的な雰囲気を併せ持っているのだ。
私は今度はあたたまろうと思ってトマトのホットスープを持って屋上へ上がった。
屋上にいると入れ替わり立ち代わり寮生たちがやってくる。
みんな何故か部屋着のままやってくるので5分ほどで帰っていってしまう。
私たちは暖かいコートを着て、ネックウォーマーまでしていたので20分以上その場にとどまって写真を撮ったり、雑談をしたりして時間を過ごした。
思えば私の寮は仲の良い友人を除き、あまり他人と交流する機会がない。
だからこうした機会こそ、他との交流を促す場所になり得るのだと思う。
寮の屋上は私が最も好きな場所のうちの一つで日常的に行って素振りや筋トレを行っている。
だからこの場所で卒業前にいい思い出が作れてよかったと心から思う。
写真をフェイスブックにアップすると友人たちがコメントを返してくれた。
ああ、私たちはつながっているのだと、友人の大切さを実感した一日だった。