2025年4月12日

今日はとても空が青く高く、そして温かい一日です。

こんなに空はきれいなのに私の心は土砂降りです。

 

真上にあった太陽も気が付けばだいぶ傾いていました。

 

廊下にまで「心臓頑張れ」「心臓戻ってこい」と声が響き

看護師さんの出入りのたびにカーテンの隙間から見える

心臓マッサージをされ続けているあなたの姿に耐えられず

建物の外へ飛び出したものの、今更戻ることも怖くて

どこにもいけず中庭にいます。

 

慌ただしく人の出入りが繰り返され

そのたびにカーテンの隙間からちらりと見える

あなたの心臓を動かそうと必死で戦う医師とはまるで真逆の

寝ているかのように穏やかな顔したあなたの姿に

私はただ泣きながら祈ることしかできませんでした。

 

桜の花びらが散るたびに

お花見行きたいの声がこだまします。

 

京都ではいっぱいお願いごとしてね、

縁のおじさまのお店でお懐石を食べるの。

沖縄にも元気になった姿をみせにいかなきゃだし

台湾でお礼参りもしなきゃ。

韓国ではユッケを沢山食べたいな。

あとね、パンケーキ祝賀会のお約束もあるの。

福岡もいかなきゃだし、寝てる暇がないんだけどー。

多少無理しても、やらなかったら後悔するから私頑張る。

そう無邪気に話してくれた時のあなたの笑顔が今日はなぜか歪んで思い出されます。

 

なんで私ばっかりこんな目に合うの?

悲しい。

私が何したの?

 

そうだよね。

もっとちゃんと話を聞いていれば。

もう遅いから続きは明日聞くよと電話を切ったこと後悔しています。

 

あなたが信じていた方に

あなたを嘘つき呼ばわりするお友達を守るために

あなたとは関われないと言われちゃった、と言った時

あなたの頑張る気持ちが途切れたことに気が付けなくてごめんね。

あの時、心も身体もどれだけ辛く苦しい思いをしていたか。

あなたが笑って話す時はあなたの本心を隠している時なのに、

辛いときはいつもへらへらと笑っていつもいつも限界まで我慢して、

一人で泣き堪えるあなたの性格を知っていながら安易に考えすぎていたよ。

 

心臓に負担がかかるから、

絶対に興奮させてはいけなかったのに

血管が切れる可能性があるから

絶対にストレスを与えてはいけなかったのに

過呼吸発作がでる可能性があるから

充分落ち着かせてから電話を切るべきだったのに

先週とても元気なあなたの姿を見たから

大丈夫、と過信した私の責任だね。

ごめんね。

 

人に対して悪意のない子だから、

人に意地悪をしない子だから、

人の悪意を想像できなくて

こんなことをされるとは思いもしなかったんだよね。

だから予想外のことが続いてパニックになっちゃったんだよね。

 

自分がしないから人もしないだろうといつもいつも相手を信じて

そして裏切られてもう何を信じていいかわからなかったんだよね。

 

見ず知らずの人に後ろ指をさされ、悪口を言われ怖かったよね。

信じていた人から私の友達だから大丈夫、と言われていたのに

その人たちが病気は嘘と言っていたことを知って悔しかったよね。

どんな悪意のある陰口よりも

痩せてないから病気は嘘、一番傷ついた言葉だよね。

痩せてきたときは手の施しようがないときだからと、

生きるために、どれだけ頑張って体重を維持してきたか。

腹膜播種で腹水がたまって、ホルモン療法で開腹手術が必要なくらい筋腫が大きくなって

風船のようにパンパンに腫れてるのに

食事はおろか水分をとることも難しくて。

一つが良くなると一つだめなところがみつかるいたちごっこの治療にも

弱音一つ吐かずに、

副作用で浮腫んでみっともない姿だから、

鏡を見たくないといいながらも

これは私が生きている証拠だからと

胸を張って舞台に立ったあなたは私の誇りです。

 

吐いても吐いても泣きながらその時口に食べられるものを食べ続けてきたあなたにとっては

「痩せていないから病気は嘘」って一番つらい言葉だったよね。

あの時のあの姿こそが神様がくれた奇跡であなたの頑張った証だったんだから。

あの日、あそこへ行くために必死にトレーニングしていたあなたは

その努力を微塵も見せず今までと変わらぬ姿で現れた。

あなたが頑張ったのは「あの痩せ方は〇〇だよ」という言葉を野次馬に言わせないため。

病名、病気であることを悟らせないため。

だから、病気のことを知っている人たちからは

「病気に見えないくらい頑張ったね。これなら大丈夫よ」と言って欲しかったんだよね。

 

あなたが最後に言った言葉、

何を言っても、何を見せても、何を頑張っても

全て嘘と言われて、

私が頑張ったことを嘘でしょ、と片付けられたことが悔しい。

見ず知らずの人がなんで私の心配をするの?

私のことを知っている人ですら心配どころか嘘の一言で片づけているのに。

言っても理解してくれない人に何を説明しても無駄。

心がすり減るだけで、頑張る気持ちが失せちゃったよ。

私の知らない人に私の話をされるのが嫌だと言ったのに。

こうなることが嫌だったから病気のことをずっと言わずに来たのに

悲しい。

あの時死んでたらこんな気持ちにならなかったのに。

なんのために私は頑張ってあの日を迎えたんだろう。

ってあなたは繰り返し言うけれど

あなたの名前がコールされてスポットライトを浴びて出てきた瞬間

私もあなたのお母様も涙が止まらなかった。

少なくとも、私とあなたのお母様は

生きていてくれてありがとう、とあなたの晴れ舞台を見て

心から神様に感謝していたんだよ。

 

あなたの笑顔が、まぶしかった。

あの場に立つためにものすごい努力をしたことを知ってるから

声援するのを忘れるくらい感動でいっぱいだったよ。

 

何も知らない人のいうことなんて気にするなという言葉が

どれほど無意味なことかはわかってるよ。

 

何も知らない人たちの無責任な言葉が棘になって

心から抜けなくなっちゃったんだよね。

その棘を抜くのは言った本人の謝罪しかないってことも。

そして、その人たちに謝る気がないことも

私たちがいくら言っても何の慰めにもならいこともわかってる。

 

意識が戻っても、あの辛い気持ちに心が縛られるなら

いっそこのままと一瞬頭をよぎったけれど

あなたは幸せになるべき人だから、

あなたほど心のきれいな人はいないんだから、

あなた自身を取り戻すまで私は送り出せないよ。

 

あなたがこの3年間ずっとずっと望んでいた

悪口を言った人、無視した人、意地悪をしてきたすべての人から

ごめんなさいと直接謝罪を聞きたい。というその要望を

絶対に叶えてあげるから。一緒に戦おう。

 

まだね、早いから。

最期の時はみんなに笑顔で見送られたいって言ってたでしょ?

悲しい気持ちのままいくんじゃないよ。

 

おばぁちゃんになって

あの時あんなことあったよね。って笑って話そうって約束したでしょ。

 

だから戻っておいで。

 

神様もう一度チャンスをください。