1.現在、世界的な食料価格の高騰が進み、多くの発展途上国で食糧危機が叫ばれている。
原因は多岐にわたる。
①まず、中国やインドといった、巨大国家の飛躍的な経済発展に伴い、これらの国で食料需要が増大していることがあげられる。
インド、中国の二国だけで、人口は20億を超える。世界全体の約4割の人々の食料事情の変化が、世界全体の食料価格に影響を与えていることは、間違いないだろう。
②次に、アメリカをはじめとした各国が、バイオ燃料の増産に力を入れていることも、食料価格高騰の一因となっているだろう。
バイオ燃料は、様々な穀物から作ることができるが、トウモロコシを原料とすることが多く、アメリカなどでは、小麦畑などをつぶし、バイオ燃料の原料としてのニーズが高いトウモロコシを作る農家が増えているようだ。
このようなことから、バイオ燃料増産政策は、トウモロコシのみならず、他の穀物の値段にも一定の影響を与えているものと推測される。
③さらに、この食料危機に拍車をかけているのが、穀物市場への投機マネーの流入だといわれている。
サブプライム問題で、米株式市場の魅力が減退した現在、投資ファンドや大規模投資家達は、新たな投資先をみつけた。それが、穀物市場、石油市場だといわれている。
穀物不足、石油不足、のような状況は、そう簡単には改善されない。むしろ、今後、悪化していくと思われる。ニーズが減らないということは、簡単にはこれらの価格が暴落しないともいえる。投資家にとっては、ローリスク、ハイリターンを狙える魅力的な市場だといえるだろう。
ここに、日米などの低金利政策によってだぶついたマネーが流入している。
これが、食糧価格の高騰の一因になっていると考えられている。
これらの3つの要因が複雑に絡み合い、現在の食糧危機を招いているということについては、コンセンサスを得れるだろう(気候変動による食料供給量の減少など、他の要因もあるかもしれないが・・)。
2.では、食料危機問題への対処法としてはどのようなものが考えられるだろうか?これは現在開かれている食糧サミットで重要な議題とされている。
①まず、大国の食料ニーズを抑えることは不可能だろう。むしろ、これらの国の経済はさらに発展し、食料へのニーズはさらに高まると考えるべきだ。
②次に、バイオ燃料増産を抑えられるかについては、議論の余地があるところ。そもそもの原因である、原油価格の異常な高騰が収まれば、バイオ燃料への各国の関心も一定程度減退するものと思われるが、化石燃料が限りあるものである以上、世界レベルで規制をかけるのは難しい部分が多いだろう。
③最も現実的な対処策は、投機目的での穀物の売買に一定の規制をかけることだろう。
規制により、投機部分の高騰を抑えられれば、とりあえずは今の食料危機は乗り切ることができよう。
3.ただし、投機マネーの規制にも多くの困難な問題がある。
まず、穀物に限らず、多くの者が介在する物の売買には、多かれ少なかれ投機目的があるといえ、規制をかけすぎれば、穀物の流通自体を妨げかねない。規制をかけるレベルがとても難しい。
政治レベルでは、投資家などの反発は必死だろう。現在のシステムで利益を上げている者にとっては、飯の種を奪われることになるので、様々な圧力をかけてくることは想像にかたくない。
市場経済万能主義的思考をする人は、規制=悪として批判を展開してくることも予想される。
さらに、サブプライム問題で不安定な世界経済は、いびつながら、石油や食料の高騰でボロ儲けしている者達によって下支えされているという面もあり、規制を一歩間違えれば、大恐慌に陥りかねないという危険性もある。
4.様々な問題はあるが、現在の投機マネーの問題は放置してはいけないと思う。
飢餓難民救済等の人道的な観点からだけでなく、異常な石油高、食料高が続けば、消費の減退などにより経済自体を圧迫する可能性も高いと思われる。
ミスター円こと榊原英資元事務次官も、昨年末テレビ番組で、投機マネーに対する規制の必要性を説いていた(番組上で経済学者やアナリストから様々な批判を受けていた)。
福田首相が現在サミットで各国首脳と議論を交わしているが、投機マネーに世界レベルで規制をかけたい趣旨のことも匂わせているふしがあり、今後サミットがどのような展開になるのか、各国首脳の今後の動向に注目したい(初めて福田首相に注目している)。