認知行動療法が「治す」とされているのは、わたしたちのなかの「認知のゆがみ」というものです。
うつ病でも、そうでなくても、人は誰でもある程度の「認知のゆがみ」を持っています。
では「認知のゆがみ」とは何でしょうか?
人は普段、現実世界を見るとき、「認知」を通じて周りの世界を理解しています。
赤い車が目の前を走り去ったのは「事実」ですが、
その赤い車を「かっこいい」と思ったり、「かっこ悪い」と思うのは「認知」です。
またたとえばある日雨が降ったら、雨が降ったのは「事実」ですが、
雨が降って天気が「悪い」と思ったり、「面倒だなあ」と思うのは認知です。
世の中には雨が降って、天気が「良い」という認知をもつ人もいるかもしれません。
この「認知」がゆがんでしまっていることを、文字通り「認知のゆがみ」と呼びます。
たとえば、AさんはBさんに嫌われていると思い込んでいます。
Bさんは事実としてAさんを嫌ってはいないのですが、
忙しいため、Aさんのメールの返信が遅くなってしまうこともあります。
Aさんは、Bさんのメールの返信が遅いことを、「Bさんはわたしのことが嫌いだからだ」と認知します。
Aさんは忙しくてメールの返信ができず、またBさんのことは嫌いではありません。
これは実際には間違った「認知」なので、「認知のゆがみ」と呼ぶことができます。
こういった「認知のゆがみ」がなくなるように手助けをするのが認知行動療法です。
Aさんが、Bさんのメールの返信が遅いことについて、
「Bさんは忙しいからメールの返信が遅いんだ。わたしのことが嫌いだからじゃない」
と正しく事実を認知できるようになれば、認知行動療法はAさんの手助けができたといえます。
とはいえ、人の認知は多岐に渡ります。
ひとりの人の「認知のゆがみ」、特にうつ病やパニック障害などで苦しんでいる方の「認知のゆがみ」は、
非常に多く、また長くそれが正しいと信じられてしまっているために、一日や二日で治るものばかりではありません。
雨が降ったら虹を探そう、という言葉があります。
うつ病という雨などで、つらく重く認知がゆがんでしまっているときも、
認知の力で虹を探すこともできることをぜひ覚えておいてください。
次の記事では、もっと具体的に「認知のゆがみ」の種類について書きたいと思います。