開業歴25年の山形のベテラン社労士が教える未払残業代(サービス残業)請求対応策

ようこそ、ブログ 山形未払残業代請求対策室へ


22年度割増賃金の是正支払金額は約1億5,300万円
ー 監督指導による賃金不払残業(サービス残業)の是正状況 ー
過去5年間で最高を記録



$開業歴25年の山形のベテラン社労士が教える未払残業代(サービス残業)請求対応策


$開業歴25年の山形のベテラン社労士が教える未払残業代(サービス残業)請求対応策

上記は、山形労働局が平成22年度(22年4月~23年3月)に県内の

労働基準監督署が割増賃金の支払いについて不足分を支払うよう

指導した事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が

遡及して支払われたものの状況を示した表です。


平成24年度山形労働局が目指すものに
◎「賃金不払残業の解消」があります。


そして、その中で、『依然として賃金不払残業(サービス残業)が見られることから、

労働時間管理が適切に行われるよう、監督指導等の実施により

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」

の遵守の徹底を図ります。


また、「賃金不払残業総合対策要綱」に基づいて総合的な対策を推進するとともに、

重大または悪質な事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処します。』

としています。


25年間多くの社長様とお付き合いをしてきたのですが、

故意にサービス残業をさせている社長さんはほとんどいません。


・労働基準法を知らないが為に
・厳しい経営環境の中でやむを得ず

結果として、「残業代を支払っていない」のです。


自分の身を削ってまで、会社の為、社員の為に日夜働いている

社長さんの姿を見て、

「社長さんから人事・労務の悩み」とりわけ「サービス残業」について、


労務問題に費やしていた労力を、売上増に向ければ、

経営の改善に役立つのではとの思いから、

このブログ「サービス残業代支払請求対策室」を立ち上げました。


ランチェスター経営㈱の竹田社長は、経営の構成要因と実行手順が

業績に占める比率を次のようになるとしています。


①営業関連 53%
②商品・有料のサービス 27%
③組織 13%
④資金  7%


つまり、業績に占める比率は営業関連等、お客様作り関連は80%になり、

人の問題は13%です。


サービス残業等組織、人の問題に労力を使いすぎると、

業績に占める比率80%のお客様作りの関連に費やす労力がおろそかになり、

売上が伸びず利益が上がらないことになります。


会社の業績を飛躍的に上げる為にも、人事と労務(とりわけサービス残業等)の

悩みから解放される必要があります。


でも、社長さん自ら労働基準法を全て理解できませんよね。


中小企業では人事・労務の専門家を配置するのも困難でしょう。


・トラブルはいつでも自分に起こりうるものとして受け止め、
・日常から社員との信頼関係を築く努力をして、
・いざというとき、いつでもこのブログ「サービス残業代支払い請求対策室」


を活用して、煩わしい人事労務のトラブルから解放されてください。

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平成13年に
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
(老僧時間適正把握基準・平成13年4月6日基発第399号)」
を出しました。
この基準では、労働時間の適正な把握方法や
その改善のための具体的な措置について下記のとおり示しています。

①労働日ごとに始業・終業時刻を確認・記録すること

②始業・終業時刻の確認と記録は、原則として
 客観的な方法によること。

③労働時間に関する記録を保存しておくこと

④労務管理の責任者は労働時間管理に関する職務を行うこと

⑤労働時間等設定改善委員会などを活用すること

そして、「労働時間の把握」は、「できるだけ客観的な方法」で
行うものとされており、

(ア)使用者自ら現認することにより確認し記録する方法
(イ)タイムカードやICカードなどの客観的な記録を
     基礎として確認し記録する方法
(ウ)自己申告制による方法

が、紹介されています。

次回から
①タイムカード方式
②タイムカード+管理方式
 ※タイムカードの記載を原則とするが
  上司が明らかに異なると認定した場合は是正する方式
③管理方式
 ※すべて上司の管理職が労働時間を決定する方式
④自己申告方式
⑤自己申告+管理方式
 ※自己申告によることを原則とするが
  上司が明らかに異なると認定したときは是正する方式
⑥タイムカード+自己申告方式
⑦タイムカード+自己申告+管理方式
⑧許可方式
 ※残業時間についてはすべての上司の許可を必要とする方式
⑨限定方式
 ※従業員に一定の裁量枠を与えているがそれを超える場合には
  上司の許可を必要とする方式

について、順次ご説明します。

社員を採用するときは、書類選考から始まって面接となります。
会社によっては記述試験や適性検査をする場合もあるでしょう。

しかし、これだけやっても、社員について知ることができるのは
ほんの一部です。
結局のところ「実際に仕事をさせてみないとわからない」のが事実で、
試用期間はそのために存在すると言えます。

会社は、その社員に適性があるのか否かを判断するうえでも、
試用期間中は徹底的に教育すべきです。

本採用しないことは、法律上「解雇」にあたりますが、
あくまでお試し期間ということもあり、
通常の解雇よりは認められやすくなっています。

ただこれは、社員にとっては不安定な状態でもあります。
6ヵ月は必要ではないでしょうか。

6ヵ月をお勧めする理由に『失業手当』の存在が関わってきます。
本採用しないということは解雇ですから、
6ヵ月間の試用期間があれば、社員は失業手当を
受給することができます。

試用期間が過ぎても、本採用に踏み切れないこともあります。
明らかに本採用できるレベルではないのだが、
もう少し時間をかければそのレベルに達するかもしれない
といった「会社がその社員に対して期待を込めた」
場合です。

このような場合は、試用期間を延長することができます。
ただし、一方的な延長はできないので、
「試用期間の延長もあり得る」ことを就業規則に規定しておくか、
または本人の同意を得なければなりません。


【規定例】
第○○条  新たに採用した社員については、
        採用の日から6ヵ月間を試用期間とする。
        ただし、
当該試用期間だけでは
        判断がつかない場合は、
通算1年間を限度として 
        延長することができる。
半日の遅刻を3回もすれば、1日分のカットでも足りないくらいですが、
5分の遅刻を3回だったら厳しすぎるようにも思います。

この場合、法的に検証すると違法と捉えられますが、
一方でそうともいえない側面があります。

単純な遅刻時間以上のカットは違法となりますが、
『減給』制裁とすれば違法ではありません。
ただし、次の通り、減給には法律で上限が定められています。

①1事案につき平均賃金の1日分の半額以内
②賃金支払期における賃金総額の10分の1以内

5分の遅刻で1日分カットというわけにはいきません。
半日分が限度だからです。

遅刻を10回したからといって、
5日分(半日分×10日)カットということもできません。
賃金総額の10分の1を超えてしまうからです。

では、「遅刻3回で欠勤1日扱い」はどうなるのか?
これは、遅刻3回をどう見るかによって変わってきます。

◎遅刻3回を1セットとして、1事案と見るのか
◎遅刻1回を1事案として、3事案として見るのか

遅刻3回を1事案として見た場合、1事案につき半日分が限度なので、
欠勤1日分の給料カットは違法です。

3事案として見た場合は、1.5日分(半日分×3日)までカットできるので、
欠勤1日分ならその範囲内ですので違法ではありません。

就業規則などで明確に3事案と見ることができれば合法、
そうでなければ違法ということです。

就業規則には「自然退職」と規定しておきましょう。

休職期間が満了しても復職が困難な場合は、
満了日をもって退職になります。

「休職満了日」をもって自然退職とする、
と定めておきましょう。


【復職】における規定例
 第○○条 復職を希望する社員は、所定の手続きにより
        会社に願い出なければならない。
        休職事由が傷病による場合は、
        健康時に行っていた通常の業務を
        遂行できる程度に回復したと
        会社が認めた場合に限り復職を認める。
        この場合、社員は医師の診断書を
        提出しなければならない。


【復職前の確認】における規定例
 第○○条 会社は、必要に応じて診断書を発行した医師に
        面談を求めることができる。
        また、社員に対し会社指定の医師の診断を
        受けさせることもできる。
        このとき、社員が受診していた医師の意見と
        会社指定の医師の意見が分かれた場合は、
        会社指定の医師の意見を優先する。


【休職期間満了】における規定例
 第○○条 休職期間が満了しても復職できない場合は、
        「休職期間満了日」をもって自然退職とする。

社員が持参した医者の診断書に従わなくてもいいですよ!

主治医の判断を疑う必要はありませんが、
最終的に復職させるかどうかを決めるのは会社、
つまり社長であることを覚えておいてください。

たとえ、主治医が「大丈夫」と言っても、
社長が「無理だ」と判断すれば復職させなくてもかまいません。

会社は、社員が本当に休職前の仕事をできるのかどうかを
確認する必要があります。
病気は治ったが、体力的にまだ休職前にはほど遠い、
では困るのです。

会社としてはどうすべきか。

一つは、会社が直接主治医に会って意見を聞くことです。
仕事内容を正確に伝えたうえで改めて判断してもらうのです。

もう一つは、別の医者にも診断してもらうことです。
複数の医者に判断してもらうことで信憑性が高まります。

ただ、無理に復職してせっかく治りかけた病気を悪化させたら、
会社はもちろん、社員にとっても良いことではないはずです。

復職したい、してもらいたいという気持ちはわかりますが、
一番大切なのは病気を完治させることではないでしょうか。

ここは慎重になってください。

100%完治していれば問題はありませんが、
そうでなければ、復職の判断を思いとどまるのも
やむを得ないことです。

二つの条件を満たした者だけに賞与を支給します。

賞与は毎月の給料とは違います。
賞与は利益の分配なので、赤字が続き、
賞与を支給する原資がない場合は、
支給しなくてもかまいません。

「賞与は必ず支給しなければいけないわけではない」
と述べましたが、規定次第では、
そうはいかなくなることもあり得るのです。

たいていは給与規定内に賞与に関する事項がありますが、
そこで「賞与を支給する」と言い切ってしまうと、
いかなる場合であっても支給しなければなりません。
支給することが、会社と社員の間で絶対的な
“約束”になっているからです。


「賞与を支給する」と記述したあとに、

『ただし場合によっては支給しないこともある』

この一文を入れておくべきです。
これさえあれば、仮に支給できないときも
違法ではなくなります。

ところで、賞与は退職した社員にも
支給する必要はあるのでしょうか?

賞与を支給する根拠は「過去の実績」と「未来への期待」
と考えられています。
退職した社員は、「過去の実績」はあっても、
「未来への期待」はありません。

通常、賞与の支給額は半期毎の査定で決まります。

例えば、4月~9月の査定が冬の賞与に、
10月~3月の査定が夏の賞与に反映する
といった具合です。
そうすると、「この半期に在籍していれば、
賞与支給日に在籍していなくても、賞与の権利はあるのではないか」
という考え方も出てきます。

過去の判例では、「賞与支給日に在籍していない社員には、
賞与を支給しなくても違法ではない」としています。

つまり、賞与支給日の前日に退職した場合でも、
その社員に支給する必要はないと言えるのです。


支給条件に関して確認しておきましょう。
条件は以下の二つです。

①4月~9月または10月~3月の全期間在籍すること
②賞与支給日に在籍していること。

「直接労働者に、全額を」が法律での決まり事です。

法律では「賃金は、通貨で、直接労働者に、
その全額を支払わなければならない」とされており、
この「通貨で」の部分が「現金で」という意味に当たります。

わざわざ「通貨で」としている理由は、極端に言うと
「今月は赤字でお金がないから、商品で払うよ」
などといったことが起こらないようにするためだそうです。

銀行振込は法律違反なのかというと、そんなことはありません。
銀行振込も認められています。
ただし例外であって、社員本人の同意が必要になります。

社員から「銀行振込にしてほしい」と要求された場合、
会社はそのようにしなければならないのでしょうか?

法律上はあくまでも現金払いですので、会社にその義務はなく、
拒否することに問題はありません。


実はこれ以外な場面で効果があります。

社員がトラブルを起こして、会社を辞めようとしているときです。

諸手続き等について確認したいことが山ほどあります。
健康保険証も回収しなければならない、
制服を貸与していれば返却してもらわなければならない。

でも、もう会社には来ないし、最後の給料を振り込んだら
完全に社員との接点はなくなってしまう。
こういう場合こそ、最後の給料を現金払いにするのです。

ただし、「銀行振込という契約のはずだ」などとキレられると厄介なので、

「退職時の最後の給料については、現金で支払うこともある」

といった取り決めをあらかじめ規定しておくことをお勧めします。
就業規則に規定してもいいですし、「給料振込口座登録申請書」の
ようなものに記載しておいてもかまいません。
いずれにしても、明確な規定を設けておくべきです。

もしも、本人以外の人間が最後の給料を受け取りにきた場合、
会社は断固拒否してください。
法律に「直接労働者に」と記述があるように、
本人以外に支払うことは法律違反になります。
固定給と変動給は分けて支払うことができます。

法律では「一定の期日を定めて」としか書かれていません。
また、締め日と支払日の間隔は何日以内といった決まりもなく、
支払い時期をいつにするのかは会社の自由です。
少しくらい間隔が空いても、合理的な理由があれば
違法でないと言えます。


固定給は「当月25日払い」
変動給は「翌月25日払い」
いうように給料を2回に分けて支払うのは
いかがでしょうか。

固定給とは、基本給や各種手当のような基本的には変動しないもの。

変動給とは、残業代や休日出勤手当など割増手当のこと。

先に固定給の計算をし、そのあとに変動給の計算をすれば
業務の分散化・効率化がはかれます。

また、給料の締め日と支払い日は、将来会社が大きくなることを
想定して決めるべきでしょう。
有休の取得は、基本的には社員の意思によりますが、
100%社員の自由かというと、そうでもありません。
会社は、一定期間の有休を強制的に取らせることができます。
これを計画年休と言います。

ただし、社員が自由に使える分として、
有休のうち5日間は残さなければなりません。


計画年休には注意点が二つあるので、
これはよく理解しておいてください。

一つは、社員との話し合いが必要です。
会社側の勝手にはできません。

もう一つは、特別休暇と違い、
その日に出勤させることはできないということ。
社員と合意して決めたことなので、
強制力があっても自由にはなりません。

入社6ヵ月未満の社員の場合は、有休がないので
計画年休にしようがありません。
法的には出勤させてもかまいませんが、
特別休暇として休ませるのが妥当な判断でしょう。
使わなかった有休は、翌年1年間に繰り越すことができます。
時効は2年間なので、権利として持っていられるのは
付与された年とその翌年だけです。

正社員の場合で、わかりやすいように
有休を1日も使わなかったケースで説明します。


まず、入社6ヵ月で10日間の有休が付与されます。
1年後(入社1年6ヵ月後)の基準日にはその分は繰り越され、
次の1年間に限り残ることになります。

と同時に、新たに11日間の有休が付与され、
この時点では、最初の10日間と合わせて
21日間の有休を持つことになります。

次の1年後(入社2年6ヵ月後)の基準日では、
最初の10日間は繰り越すことができないので切り捨てられ、
翌年付与された11日間だけを繰り越し、
新たに付与された12日間と合わせて
23日間の有休を持つことになります。

これが、有休の付与と繰り越しの基本です。


何日か有休を使ったケースで見てみましょう。

例えば、最初の年には1日も使わなかったとします。
1年後(入社1年6ヵ月後)に繰り越されるのは10日間(10日-0日)となり、
新規付与の11日間と合わせ21日間の有休を持つことになります。

仮に次の年に11日間使った場合は、
次の1年後(入社2年6ヵ月後)に繰り越されるのは
何日間になるでしょうか?

これを、繰り越し分と新規付与分に細分化してみると次のようになります。

まず、使った11日のうち10日は繰り越し分から消化します。

次に、残りの1日を新たに付与された11日間から消化します。
これで、次年度に繰り越されるのは10日(11日-1日)となるわけです。

このように繰り越し分と新規付与分がある場合、
繰り越し分から消化していくやり方は、
どこの会社でもごく普通に行われています。

しかしこのやり方、実は法律で決められているわけではなく、
新規付与分から消化してもかまわないのです。

新規付与分から消化するとどうなるのか?
同じケースでちょっと見てみましょう。

最初の年に10日間を使い、1年後の基準日には繰り越しは無し。
そして、新規付与の11日間と合わせて11日間の有休を持つことになる。
ここまでは同じです。

次の年は11日間使いました。
今度は、新規に付与された11日間のほうから消化していくので、
新規付与分の残りは無しとなります。

その為、繰り越されるのは無しとなります。

いかがでしょうか。

使った有休の日数は同じであるにもかかわらず、
繰り越し分から消化すると10日間残るのが、
新規付与分から消化するとゼロになる。

何だかすごくずるいことをしているようですが、
そんなことはありません。

やり方は会社が決めていいのです。