7月3日の日経新聞「何でもランキング」に、「人生100年時代、お金の誤算」という記事が載っていました。

 

『平均寿命が延び、今や「人生100年時代」とも言われる。長寿化は本来、喜ばしいことだが、思わぬ誤算に出くわすことも多い。家計の専門家が、長寿社会ならではのお金の注意点を選んだ』 という内容です。

 

和泉昭子さん、井戸美枝さん、大江英樹さん、瀧俊雄さん、竹下さくらさん、野尻哲史さん、畠中雅子さん、平野敦之さん、深野康彦さん、藤川太さん、馬養雅子さん、望月厚子さん、森本幸人さんなど、名だたるファイナンシャルプランナーや経済コラムニストの方々が、ランキング形式で、お金にまつわる注意点をまとめています。

 

 

第1位 介護費用の負担が重い

   ――― お金の準備でパニック防ぐ

90歳を超えると、ほぼ2人に1人が要介護、要支援のサービスを受けているそうです。

 

・介護はある日、突然やってくるので、ある種の「危機管理」と考え、お金の準備をしないと、いざという時に、パニックになる。

・介護が始まると、資産が減るスピードが速くなる。自分たちで買い物に行けなくなるなど、節約も難しくなってしまう。

・介護施設に入居すると、お金の負担が重くなり、持ち家を手放さない場合、家族が介護費用と空き家管理費の二重負担に苦しむ場合もある。

 

 

第2位 老後も支出が減らない

   ――― 生活水準下げる選択も

定年退職後の支出は自然に減ると思い込む人が多いが、現実はやや異なるようです。

 

・老後に「交際費」が大幅増になる世帯が多い

 退職後に地域コミュニティーにデビューしたり、趣味で新たな仲間を見つけたり。

・退職金で気が大きくなり、浪費する

税や医療費の負担増も高齢層に、のしかかる。

・家族の理解と協力を得て、生活水準を下げる覚悟が必要。

 

 

第3位 住居費がかさむ

   ――― 家の「老い」にも対策を

長い人生で老いるのは自らの体だけではない。

 

・戸建て →屋根や外壁の定期修繕の費用を工面する必要がある。

・マンション →古くなると、修繕積立金の値上げが現実味を帯びる。

・賃貸派 →高齢になると、賃貸契約が難しくなる。

・給湯器やトイレなどが壊れ、交換・修理費が家計を圧迫する。

・住み替えを考慮し、いざとなれば高く売れる物件を選ぶ姿勢も必要。

 

 

第4位 住宅ローン問題

   ――― 「退職金で返済」は慎重に

晩婚化などで住宅購入が後ろ倒しになると、定年直前でも多額の住宅ローンが残る場合があるようです。

 

退職金で完済を目指す例が多いが、実行すると貯蓄がほぼ残らない例もあり、老後の家計設計が行き詰まる。

・早くから返済計画を確認し、若いうちに計画的に繰り上げ返済する。

・退職金の全部を返済に充てず、一定の貯蓄額を保ちつつ、毎月返済額は減らす。

・定年後もできるだけ働いて返済を続ける。

 

 

第5位 預貯金が足りない

   ――― 長生きを念頭に計画

計画していた以上に寿命が延び、老後資金が不足する例が多いそうです。

 

・男性の4人に1人。女性の2人に1人が90代まで生きる時代。長寿に備えた計画を練りたい。

・老い先が短いつもりで老人ホームに入居後、行き届いた食事やケアで想定以上に体調が改善し、入居年数が延び、料金を払えなくなる事態もあり得る。

 

 

第6位 年金が想定より少ない

   ――― 高年収者ほど注意

現役世代に高収入だった人ほど、思ったより年金額が少なく感じる人が多いそうです。

 

厚生年金は基本的に年収に伴って増えていくが、上限があり、それ以上は増えないため。

・一定以上の給与を貰うと、年金が減る場合もあるが(在職老齢年金)、減らされた年金は戻ってこない

ねんきん定期便などで正確な年金額をつかむこと。

繰り下げ受給を選ぶのも一手。

 

 

第7位 高齢者狙う金融商品で失敗

   ――― 運用丸投げは禁物

 

・退職金が入って、資産運用を焦り出した高齢者を狙って、金融機関のセールスが入る。

・営業されるまま、テーマ型投資信託などへ、一気に多額の資金をつぎ込んでしまう。

・ブラジルレアルやトルコリラなど、高金利外貨商品で、リスクを取り過ぎてしまう。

・自分で仕組みのわからない商品には手を出さない。

・丸投げせず、運用は自分で考える。

・時間をかけた長期運用を考える。

などの注意が必要。

 

 

第8位 認知症問題

   ――― 「自分事」として考える

 

・認知症で意思を示す能力がなくなると、預貯金の引き出しも、自宅売却もできなくなる。

「自分に限って大丈夫」と思い込まず、誰もが直面する事態と考え、備える必要がある。

・入居する介護施設や費用の工面方法を決めるなど、できるだけ具体的な準備をしておく。

 

 

第9位 リタイアできない

   ――― 働き方、再検討を

何歳までどう働くか、真剣な検討が欠かせません。

 

・年金や退職金を調べていなくて、定年になってもお金が足りず、やむなく働き続けざるを得ない人が少なくない。

・親世代や先輩たちですらモデルにならない。

 

 

第10位 保険がムダに

   ――― 家族と情報を共有

家族を交えて、生命保険や医療保険の見直しが必要です。

 

・特約などの保障内容が理解できておらず、請求し忘れて保険金を手にできない。

・生前に家族に保険加入を伝えていなかったため、請求できず終わってしまう。

・親子で保険を含めて、お金のことをしっかり話し合う場を設けて欲しい。

 

番外編

・子や孫への出費

 晩婚化で、親が定年期に差し掛かった頃に、子どもの教育費が多くかかる。

 孫に出費し過ぎて、自分の貯蓄が底をついた。

 相続対策として、積極的に子どもらに生前贈与したが、想像以上に長生きして、晩年はお金が尽きた。

 

・熟年期の離婚・再婚

 離婚は、その後の生活が夫婦ともに厳しくなることが多い。

 再婚では、子どもと新たな配偶者の間で、相続問題が起こりやすい。

 

・株をやっている親の認知症が進み始めた。

 

 

いかがでしたか?

自分の寿命がわからない中で、お金の計画を立てることは難しいですね。

備えても備えても、足りない気がする方も、いらっしゃるかもしれません。

人生100年時代と言われ、不安に駆られているも、いらっしゃるでしょう。

 

せっかくの長寿時代です。

あまり心配し過ぎても、仕方がありません。

とにかく無計画な浪費や、無謀な投資には気をつけて、

預貯金や年金・保険、予想される出費について、冷静に検討し、できる限りの準備をして、

その上で、楽しんで長生きしたいものですね。